「サラマンダーの休息地」

「出てこいサラマンダー!」


 作倉さんから指令を受けて、今日はサラマンダー捜し。右手に網を、左手にカゴを持って目撃現場を練り歩いているところ。サラマンダーってどこにいるの?


「どこにいるか知りませんか?」


 かれこれ一時間以上探し回っている。疲れてきちゃったし、そろそろ休憩でもと提案しようとしたら、たーちゃんがノラネコに話しかけていた。ついにおかしくなっちゃったの。おいたわしや。ネコの手も借りたいけど、ネコの手は前足だから借りられないの。


「知らないらしいです」


 ノラネコに無視されたことを、たーちゃんは前向きに捉えたっぽいの。わたしも大概ポジティブシンキングだし、たーちゃんはもっとリスペクトしてくれていいの!


「サラマンダー 探し方」


 こうなったら検索検索ぅ。バッチリ今回のパターンに当てはまる捜索方法が出てきてほしいの。もし今回のパターンには適用できなかったとしても、ヒントぐらいはほしいし。


「出てきますかね?」

「インターネットの力を信じるの!」


 おっ。出てきた出てきた。


 なになに。

 なんかのゲームのサラマンダーの倒し方。

 サラマンダーっていう別名を持つオオトカゲの飼い方。

 サラマンダーの姿煮の作り方。


 どれも違うの。


「インターネットがわたしを裏切った……」


 もう何も信じられない。信じられるのはわたし自身だけ。でももうわたし、疲れちゃったし。作倉さんには「頑張ったけど無理でした!」って言おう。そうしよう。


「秋月さん、新しくできた喫茶店に行ってみませんか?」

「キッサテン?」

「カフェ?」


 なになに。喫茶店でもカフェでもどっちでも気になるの。


「これ、さっきチラシを渡されまして」


 サラマンダーを捜している警察官姿の男にチラシを渡すなんて、商魂たくましいというかなんというか、行きたくなっちゃうの。


「これは!」


 デニッシュの上にソフトクリーム。さらにシロップをたっぷりとかける……!?


「絶対美味しいやつ!」

「ですよね。行ってみませんか?」

「行く!」



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