運転免許更新で健太郎に会う
そうだ。俺はこの運転免許センターで、高校の同級生にばったり会った。
今思えば、健太郎は年のわりに若々しくフットワークも軽い。美容師だからってのもあるが。
こいつとまた、高校時代みたいにつるむのも悪くないな。
結婚したあとは、疎遠になっていた健太郎。
写真撮影を終えた健太郎が、小さな並んだ古めかしいパイプベンチに座っている。もうすぐ俺に気づくな。
「おっカズ!奇遇だな!誕生日に来るなんて暇人か」
健太郎は6月8日生まれだった。
1日違いのよしみでよく昔は二人でケーキ食ったな。
あの頃は楽しかった。
あの頃くらいに、戻れたら良かったのに。なんで一年だけなんだよ......。
「おぉ久しぶり。たしかに暇人かもな。」
「おまえ、このまま独身貫く気か?」
「そういう健太郎は、どうなんだよ。俺はたしかになんにもないけどな。」
「俺?うん。俺もだ.....なっ!同窓会しようぜ。」
あぁ俺はここで、興味ないそぶりしたんだ。
今回は全力でいくぞ。なんでも行くぞ。
「しよう。同窓会!声かけられるか?名簿なんてないし。」
「俺さ、何気にFace pop友達、同級生多分7割は確保してる」
「マジですか」
「マジです。カズ、おまえやってねぇの?」
「いや、会社と店のアカウントだけ。個人ではしてないな。」
「やれ、やったら俺に申請しろよ。友達申請」
「分かった。」
よし、これでちょっとは変わるだろう。
「なぁカズ!おまえ何色?免許」
「は?あぁ乗ってないからゴールドだ」
「じゃ俺だけか、講習長いの。じゃあな」
「あ!カズ」
「ん?」
「サトミちゃん、絶対必要だろ?」
サトミちゃんとは
俺が高校時代片思いしてた子だ。
おしとやかで、コギャルとかが流行る中彼女は清楚な美人だった。黒髪ロングでよく俺たちのしょーもない話を聞いて笑ってたな。笑うと出るエクボが可愛かった。
いや、全部が可愛かった。
きっと、俺が好きだったなんて知らないだろう。
もし会えたら、好きだったとだけ伝えよう。
「あ あぁ、見てみたいな」
絶対サトミちゃんは結婚してるだろう。
子供を連れて公園を歩く綺麗な彼女が浮かぶ。いやもしかしたら中学生の子供くらいいるかもな。
あっ母さんだ
「もしもし」
「免許終わった?」
「うん 終わった」
「お誕生日なんだし、食事に行きましょう。家族水入らずでね」
あぁ、この食事で俺は見合い話をゴリ押しされたのだった。
なんとしても、阻止する。
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