Sleeping well!
そのサイトを開いてまず見えてきたのは、
『be動詞、一般動詞、名詞…………過去形、疑問形、副詞………』
という文字の羅列だった。
「おぉマイゴッド!!!」
僕は並べられたそのお経のような文字列を前にして、膝から崩れ落ちた。
そんな、そんな専門用語なんてずるいじゃん!
僕がわかると思ってんのねぇ!!?
僕は涙で滲む視界で、どうにか助けを求もうとさらにマウスを動かす。
『初心者はこれ!動詞系と疑問形。これを覚えれば最強です!』
「キタコレぇ!!!神は僕を見捨てなかったぁ!!!ありがとう神様!!ありがとうアダムとイブ!!ありがとう仏様ぁ!!!ありがとうハゲの校長先生!!ありがとう道でみんなに無視されてもくじけなかった市長!!ありがとう総理大臣!!!!アイ、ラブ、ワールド!!」
僕は思いつく限りの偉そうな人たちに感謝しながら、その『疑問形』のところを押した。
「ふむふむ……なるほど………そうなのか……!!」
僕は文法を4時間勉強した上に、さらに単語を2時間勉強した。
◇ ◇ ◇
「ふっはっはっはぁ!!!」
気分は世を統べる魔王。
ドカドカと廊下を進んでリビングへと向かう。
勉強しすぎてもう日が傾き始めたけど、これで完璧だ!!
「Do you want something to drink?」
ぐっふっふぅ………これでありすさんも反応せざる負えないだろう……。
「sorry,You're waiting.」
さっき勉強した『ごめん、待たせた』を華麗に披露しながら僕は彼女の様子をうかがおうと部屋を見渡す。
「あれ?いない?」
入り口で見渡した感じ、ありすさんがいないんだけど……。
「あっ!」
ソファの方に歩いていったらようやく彼女を見つけた。
ソファによりかかるようにしてその大きな瞳を閉じたありすさんは………
「って、寝てんじゃん。」
スヤスヤと寝息をたてていた。
これどうしようかなぁ…………。
僕は彼女の寝顔を覗き込む。
本当にきれいな顔してるよな。
「…………えぃ」
気がついたら僕は、彼女の頬を指でつついていた。
な、なんで?
僕はこんなことやる予定じゃなかったのに…。
多分この幸せそうな寝顔のせいだろう。うんそうだよ、そういうことにしておこう。
「……………ふぇ……ぇ……」
僕がツンツンを続けていると、ありすさんからそんな声が漏れた。
なにそれかわい。
「ッ!!!…………Sleeping well.」
僕はそのあまりにも大きい破壊力に胸を撃ち抜かれながら、姿勢を横にしてそっとタオルケットをかけた。
「……なんか、ごちそうさまです。」
僕は横たわって寝ている彼女の横で、ソファに取り掛かりながら、そう感謝の言葉を述べた。
◇ ◇ ◇
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