50話 日常へ
「うう……ここは……」
「よかった。やっと目が覚めたんだね」
「あ、お父さん……」
あれから私は気絶してしまったらしい。気絶何て初体験な気がするよ……。
「シアとガウレスは? あとグートも怪我は大丈夫だったの?!」
「横見て。3人ともまだ眠っているよ。その内目が覚めると思う」
「本当だ……たこやきも戻って来てる! よかった。途中からはぐれちゃってて……」
「みなも様。お水をどうぞ」
「あ、先生も無事だったんだね! ありがとう!」
「いえいえ、一時はどうなるかと心配しました……」
私は貰った水を一気に飲み干して一息ついた。
「ふう……大変だったよね。本当に皆無事でよかった……」
「ええ」
「……」
私は言うか凄く迷った。けど、正直な気持ちを伝える事にした。
「ねぇお父さん。ガウレスはこれからもここに居られるよね?」
あんな事をしてしまったガウレスだけど、本人の意思じゃなかったと確信している。
でも、ガウレスはあんな性格だ。きっと出ていくとか言うに違いない。
それをお父さんにも一緒に反対して欲しい……!
「うん。もちろんだよ。でも何も言わずに消えちゃうかもって思って……」
お父さんはガウレスの布団を少しめくった。
「がちがちに縛ってるよ☆」
「え……いや何でこの縛り方……!」
何で亀甲縛りみたいな縛り方なのか……。
あえて何も言わないみなもだった……。
「先生、そういえばたこやきに[レジストレント]できたよ!」
「ほう! それは素晴らしいです。今も発動中ですか?」
「どうだろう……」
そうおもって私は自分の腕を少しつねってみた。
「あれ、普通に痛い……」
「やはりそうですか」
「え、やはりって?」
「気絶したみなもさんを運んでいた時、右足首に光る輪っかが付いていたのに気がつきました。そして、戻る途中でたこやきと合流出来ました。シアを見るや否や、喜んでそちらへ向かったのですが……その時、みなも様からガラスが割れるような音がしまして……」
「ガラス……!」
「何かと思ったらその足首の輪っかが砕け、消え去っていました」
「輪っか……全然気がつかなかったよ」
「もしかしたら、パフボールラビットにレジストレントをした時にも輪っかがついていたかもしれません。今度確認して見ましょう」
「借りてる証明みたいなものなのかな?」
「かもしれません。とにかく、現況を見ると魔物との信頼度? が一番じゃないと、即座に借りている効果が解除されてしまう様ですね」
「たこやきの目の前に、私より大好きなシアが現れたから、その時に解除されちゃった説が濃厚だね!」
「そういう事です!」
話をしている内に、ガウレスが目を覚ました。
「う……ぐ。な、なんじゃこの状況は……!」
・・・
・・
・
「ガウレス、落ち着いたか」
「はい……本当に申し訳ございません……」
「いやもうガウレス謝り過ぎよ! 本当に気にしないでって!」
「しかし……」
ガウレスはまず、飛び起きるとともに縄をぶち破り、切腹しようとしたので、みんなでそれを止めたり色々大変だった。
この会話ももう何週目か分からない。
「ガウレス! いい加減にしろ!」
「は! シア様……!」
ガウレスは瞬時にシアの前で跪いた。
「ガウレス、今まで通りにして。シアもそんな態度のガウレスは見たくない。分かった?」
「はい……!」
「そうだよガウレス。本当に君のせいじゃないんだ。誰かのせいだとするなら、呪いを完全に取り切れてなかった私のせいだ。ガウレスが切腹するなら私もするべきだね」
「そんな……! 勇者様はよくやってくれましたぞ!!」
「悪かったのは魔王。皆は悪くない! いいか?」
シアは大声でそう言った。
ガウレスは少し涙目になり……
「シア様……本当に申し訳ありませんでした……有難うございます」
「とりあえず、そういう訳で、これからも宜しくねガウレス!」
「ええ。みなもちゃんも有難う……!」
「終わったか……? 申し訳ないけど俺にも水、くれないかな?」
「グート! 目が覚めてたのね! 早く言ってよお、心配だったんだからね!」
「ああ、心配かけたな……」
そんなこんなで今日は終わり。
長いようで短い事件だったね……。
魔王……か。
もう会わずに済めばいいんだけどね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます