32話 違反者講習会
――商業特区
「ナブート、今日もありがとう! じゃぁ早速買い物を……」
「ちょっと君」
「え……私?」
いつも通り、ナブートに乗ってお買い物に来たんだけど、突然警備兵の様な人に声をかけられた。
「ドラゴンを乗りこなしているようだけど、念の為ライセンスを見せてもらっていいかな?」
「ふふ、ちゃんと持ってますよ!」
そういって私はライセンスカードを提示した。
「……えっとみなもさんですね?」
「はい!」
「ライセンス……ホワイトですので違反ですね。ちょっと来てもらえますか」
「え!? なんでえええ!」
・・・
「みなもさん」
「は、はい……」
私が連れてこられたのは警察の取調室みたいな場所だ……。
まさか異世界で捕まるなんて……。
「ライセンスを取得して日が浅いですね。違反も今回が初めてという事で、簡単な講習を受けたら帰れますよ」
「本当! 良かった!!」
「正直、ホワイトライセンスを取得したばかりの方はこういった事を起こしてしまう場合がよくあるんですよ……特におうちで上位の魔物を飼っていたりするとそれに乗って出かけてしまったり……」
「それもダメなの?」
「ええ。その辺のルール講習をこれから受けてもらうのです。今日はみなも様ともう一方居ます。あちらの部屋でお待ちください」
「分かりました!」
そういって講習室へと案内された。
「……」
先に誰かが座っていた。
もう一人の講習を受ける人だろう。
「……えっと、今日はよろしくね!」
「……」
……無視ですか! 感じの悪い人……というより人……?
私がそう思ったのは、この少年には狼の様な耳が生えていたからだ。
少年と言うが、見た目は私と同じくらいで綺麗な赤髪、ツンツンショートヘアーだ。
「お前、見すぎだろ」
「え!」
しまった、ついつい耳とかをめっちゃ見てしまった。
「はぁ、こんな奴と一緒に講習か」
「いきなり失礼なやつね! 別に一緒に何かする訳でもないじゃん。関係ないでしょ誰が居ても」
「……ちっ」
何なのこいつ……感じ悪いなぁ。
私と同じで違反でここに来てるんだろうし、イライラもするだろうけどさ!
――ガラッ
それから一言も話さず、しばらく待つと、講習担当の人が入ってきた。
「えー……と、早速違反者講習を始めますね」
(なんだか険悪なムードが漂っている気が……)
「では、点呼をとります。違反内容と名前に相違が無いか教えてください」
「はーい」
「……はやくしろよな……」
「えーと、まずグートさん」
「俺で間違いないよ」
「違反内容はホワイトランクにも関わらず、ブルーラインウルフに乗って街を駆け巡ったと。間違いないですね?」
「間違いねえよ」
「ブルーラインウルフはシルバーライセンスが無いと飼う事を禁止されています。所有者によっては施設での保護になりますので覚悟してください」
「……くそ。何でこんな事に」
グートは相変わらずの態度だ。
私のクラスにも居たなこんな不良っぽい奴……。
「えー、続いてみなもさん」
「はい!」
「違反内容はホワイトランクにも関わらず、ブルードラゴンに乗って空を駆け巡ったと。間違いないですね?」
「はい……間違いないです」
「ブルードラゴンはゴールドライセンスが無いと飼う事が出来ません。所有者によっては施設での保護になりますので覚悟してください」
そう言った瞬間、グートは立ち上がり私の方を見た。
「ブルードラゴン!? 嘘つくなよお前! ありえねーだろ!」
「え? 何が? 現にそれで捕まってるんですけど私……」
「ならお前が所有者なのか?」
「いや、えっと知り合いのオジサンが所有してるドラゴンだよ」
「それはそれでありえねーよ! 何故ならドラゴン種はな!」
そういってグートは先生は退けて突然説明を始めた……。
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