第20話
火曜担当だった君へ
君がこれを読んでいる時、私はもうこの世にはいないのか。
なんか変な感じだね。
突然だけど、君にいくつか告白があります。
まず、最初の告白。
君を火曜担当に任命した時、本当は空き枠なんて一つもなかったの。
でも、この人と付き合ったら、なんか面白そう。
君を見てそう思ったの。
だから、火曜担当だった子には申し訳ないけど、
担当を上書きすることに、とっさに決めちゃった。
二つ目の告白。
実は、君と付き合ってすぐに、他の曜日担当とは全員別れてたの。
月曜から日曜まで、本当は毎日君と一緒にいたかった。
でも、それを君にどう伝えたらいいのか分からなくて、
もたもたしてたら、また病気になっちゃった。
前に一度、日曜担当と別れて落ち込んでると思われたことがあったけど、
それは君の勝手な勘違い。
前日の病院での再検査で、異常があるかもしれないって言われたから、
落ち込んじゃってて、暗い気持ちのまま君には会いたくないと思った。
余計な心配はかけたくなかったし、もし本当にガンが再発してたなら、
君とは別れようって、そう思ってたから。
最後の告白。
私は、君のことが大好きでした。これは、バレバレだったかな。
でも多分、君が思っている以上に、私は君のことが大好きだったよ。
愛してる、とまでは、さすがに言えないけど(笑)。
もっと色んなことを、君と一緒にやりたかった。
君の好きなオードリーの生漫才を見たり、
私の好きなオードリーの映画を一緒に見たり、
沖縄でやり残したことだっていっぱいある。
沖縄以外の場所にも行ってみたかった。
結婚して、子どもが出来たらどんな感じなのか、味わいたかった。
全部、全部、君と一緒にやりたかった。
最後に直接伝えたかったけど、面と向かっては言えそうにないから、
この手紙に託しました。
大好きな君のために、新たな契約書を作りました。
以下に同意する場合は、所定の場所にサインをしてください。
*
ひとつ、自分は不運だなんて、もう思わないこと。
ひとつ、自分の幸せを見つけること。
ひとつ、荒野美咲のことは、早く忘れること。
ただし、一年に一度、命日の日には、ほんの少しだけ思い出すこと。
以上。
*
死人と契約したって意味がないなんて思わないでね。
天国から(もしくは地獄から)、ずっと君のことを見てるんだから。
もし契約違反してたら、地獄から容赦なく呪いをかけるよ。
臼井友樹くん。
あなたのことが、本当に、本当に、大好きでした。
いっぱい、いっぱい、ありがとう。
幸せになってね。
天国に行っても、君のことを忘れません。
瑠璃色の世界から、ずっとずっと、見守っています。
荒野に美しく咲く者より
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