第13話『人の世の流れ』

たった独り取り残された

哀れな彼…

煙りのように消え失せた夢を

今尚追い続ける

恐ろしい運命の手が

待ち受けているとも知らずに…


薄汚れた古い服に

穴のあいた靴を履き

負け惜しみの様に戯けて見せる

そんな戯けたマスクの陰に涙が在っても

誰にも分らない

たった独りだけの秘密…


冬の氷が手足を痺れさせ

人の世の河の流れが 

尚一層増す様な時にも

世間の人々は振り向きもせずに せわしく歩き去って行く…


そんな冷たい現実の世界が

厳しい人の世の激流であり

恐ろしい運命の手なのかも知れない…




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