第2話『入院』

高い鉄格子の門をくぐってから 半年が過ぎようとしている

冷たく光った腕の手錠も

真青な坊主頭も

今は過去の出来事


門から分類迄の道のりが あの時程 

辛く長く感じられた事はなかった


裟婆の衣類を脱ぎ 灰色の制服に着替えると

一人のサラが出来上がる


何も知らずに不安に打ちひしがれながら

冷たい風の吹き抜ける小さな考査室に入ると

俺は少年院に来たのだと

つくづく感じさせられた事を覚えている


あの時の緊張しきった一瞬は

今も忘れる事が出来ない


人生の中の一頁として…

心の深い傷跡として…

いつまでも残り続けるだろう…




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