第4話 観察者《葵》 ~ ③ニューロアクティビティ学習ツール『リトル』の構築

 フィリオクェプログラムの開始から1年ほど立った頃から、あおいは、AIが作り出す映像リソースを「自動採点」することを目指しているメタ認知アルゴリズムの発展と応用とを目指す研究を目指そうと考えている。このアルゴリズムの第一の入力は、AIが内部のパラメーターを用いて生み出したコンピュータ・グラフィック(CG)。第二の入力は、そのCGを見た人々の脳神経活動である。メタ認知アルゴリズムは両者を紐付けた機械学習を行うことで、人がリアリティを感じる映像を生み出す内部パラメーターを探り出す。

 このアルゴリズムは、元々はクラウド・サービスを提供する香港・深セン系の大手IT企業アタピ社の研究開発者により開発されたもの。開発から数年後には、アタピ社提供のクラウド・ゲーム・プラットホーム「ATARI!」の新たなCGレンダリング・エンジンとして組み込まれ、実用化されている。

 


 メタ認知アルゴリズムは、近年では好みのCG画像を予め登録することでゲーム画面をパーソナライズできるアタピ社の新サービス「PiPi」にも活用されている。「PiPi」は既に中華圏を超えて普及が進みつつあり、「ググるよりピピッと。」のキャッチフレーズのもと、日本のゲーマーたちにも親しまれるようになっている。

 CGによる表現には大いに興味関心を持っているあおいだったが、CGを用いたゲームにはさしたる関心はなかった。とはいえ、メタ認知アルゴリズムによるCG表現のパーソナライズには興味あるところであったため、葵は「PiPi」にログインしてみることにした。

 

 いるAIが作り出す映像リソースを「自動採点」することを目指しているメタ認知アルゴリズムの発展と応用とを目指す研究を目指そうと考えている。このアルゴリズムの第一の入力は、AIが内部のパラメーターを用いて生み出したコンピュータ・グラフィック……

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