第191話 改ざんしまくる、かーくん



 さて、そのあと、しばらく、僕はいろんな数値をいじりたおした。


「僕もさ。大富豪のマスターボーナスで幸運プラス10%になったから、99998だと、じっさいには109997なんだよ。でも、ステータス上は99999までしかならないから、9998がムダに消えてるんだよね。そのぶんをほかに割りあてようかな。なんの数値がいいかな?」


「ふつうに力だろ」と、猛は言うんだけど、そう言えばさ。僕、前に器用さをあげて、スイスイ攻撃よけるのも楽しそうだなぁって思ったんだよね。


「よし。決めた。器用さをあげてみる」


 計算機で計算したら、90909にしたら、10%のマスターボーナスで、99999になる。だから、9090だけ、器用さに足した。


 あと、気になってたのは、小説を書くランク2の、アイテムの説明を書きかえられるってやつだ。


 最初は便利だった風神のブーツも、一回で上昇する数値が、素早さ最大値の10%なんだよね。もっと、ドドンとあがってくれれば、あんなにパタパタしなくてすむのに。そして、上限値1000%って、最大10倍までなんだよね。もっとあがんないかなぁ?

 欲張りかーくん。


 風神のブーツ

 防御力500

 装備品魔法(スピードファイター)戦闘中、歩くたびに、最大値の300%素早さ、器用さが上昇する。重ねがけの上限は10000%


 これで、どうだ! 百倍まであがる。しかも器用さもいっしょにあがるようにしてやったぞ。へへへ。


「あっ、充電量が5%減った。アイテムは書きかえると一品につき5%の電力消費するのかぁ」

「かーくん。なら、みんなが持ってるアイテムの数値をよくしたら、もっと恩恵があるよ」と、猛。


 なるほどね。さすがは兄ちゃん。


「じゃあ」


 流星の腕輪

 素早さプラス500

 装備品魔法(流星の速さ)素早さが最大値の三倍になる


「どうだ! あっ、必要電力は3%か。書きこみの内容を大きく変えるほど、たくさん電力を使うってことだね。じゃあ、みんなが着てるオリハルコンのよろいは、こうだ」


 オリハルコンのよろい

 防御力500

 魔法防御力200

 ブレス攻撃のダメージを20%軽減する


 電力5%か。魔法防御力とブレス耐性を書きくわえたしな。防御力も300以上あげた。


 ああ、電力、33%も使っちゃった。あと17%しかない。ちなみに僕の幸運値を器用さに振り分けたのには電力かからなかった。一度足したものを振りなおすのには電力いらないのかも。


 あとは妖精のネイルかな?

 ぽよちゃんと、クマりんが装備してる。アンドーくんや猛も持ってるから、爪装備ができれば、それにも効果アリだ。


 妖精のネイル

 攻撃力500

 装備品魔法(スピードファイター改)行動回数を二倍にする


「あっ! いっきに10%減った。行動回数を増やす効果は電力消費激しいんだ。うーん。電力が……あと7%だ」

「かーくん」


 急にワレスさんに呼びかけられる。


「な、なんですか?」

「数値はそのままで、おれのレベルだけを1にすることはできるか?」

「えっ? 1に?」

「そう。1に。下方修正だ」

「やってみます」


 ワレスさん。せっかくレベル62まであげたのに、さげるのか。

 あれ? でも、数値はそのままでレベルだけさげれば、当然、また戦闘でレベルはあがる……。


「そうか! そしたら、レベル61ぶん、数値が上昇する!」

「そういうこと」


 くうっ。そこに思いいたるなんて、憎いね。

 試しにワレスさんのレベルを1に……。


「あっ、できた。電力も減ってない」

「やはりな」


 そうか。大幅に上方修正すると、それだけ電力を食い、下方修正ならほとんど消費しない。そういうことか。


 そのあと、僕はそこにいる全員のレベルを1にした。へへへ。この方法なら、まだまだ大勢の仲間を強くできるぞ。


「明日から、また特訓だねぇ」

「そうだな」


 ワレスさんは立ちあがった。

「では、ゴドバの居所がわかったら知らせにこよう。毎晩、夜にはこの宿舎に帰ってくれ」

「わかりました」


 ああ、またミルキー城攻略のときみたいに、ワレスさんと遠征できるのかな。楽しみ。


「ああ、そうだ。かーくん。おれの渡した手紙、読んだか?」

「えっ? なんのことですか?」

「携帯充電器とともに渡したろう?」


 あっ、そうだった。


「すいません。まだ読んでません」

「おれの知る職業ツリーを書いてある。必ず参考になるはずだ」

「ありがとうございます!」


 職業ツリーだったのか。ちゃんと見とかないと。


「ではな」と言ったあと、ワレスさんはふところから何かとりだした。

「優勝おめでとう。祝いの品だ」


 サラッと手をふって去っていく。

 はぁ……カッけぇ。

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