第145話 準々決勝、第二試合



「準々決勝、第一試合。勝者はトーマスパーティーです!」


 よかった。蘭さんたち。なんとか勝てた。だいぶ危うかったけど。


「ああっ、ドキドキしたね。本戦はやっぱり強いパーティーが多いなぁ」

「そうだな」


 よく考えたら、一国のなかで一、二位を争うほどの強者が集結してるんだもんな。それは超人集団同士の戦いってことだ。千や二千の数値でおどろいてちゃいけないんだ。


「うーん。あんな敵ばっかりだったら、僕らも勝てるかどうか怪しいよね」

「いくらなんでも、あの巨人集団は特別だろ? 一人ずつがボスなみに強い」


 会場のポップコーンを買って、わやわやしてるうちに次の試合だ。

 デギルさんはキャラメルチョコレートがけか。めっちゃ甘党だ。お口がアジと同レベル。猛はシンプルに塩バター。僕はトリプルチーズミックスにしてみた。


「第二試合は青龍の推薦枠と、玄武の勝ちぬきチームだな」


 猛が言うんで、僕は対戦表を見なおした。一部十円で売られてたやつだ。


「青龍の推薦枠って、ゴライだ。おととし、去年の優勝チームだね。玄武の勝ちぬきは強いってウワサのドムドか」


 ドムドパーティーの試合は昨日も見たけど、まだ大将は出てこなかった。今日は出るかな?


「スゴイね。優勝候補最有力のゴライと、ドムドのパーティーか」

「うちだってゲンチョウとあたるんだから、気はぬけないぞ」


 アナウンスがあった。

「本日第二試合です。両チームの入場!」


 ゴライパーティーは、みんなが民族衣装っぽい変わった防具を着てる。ウールの服にあざやかな色の刺しゅう。


「あれ? ウールリカの近くのオリヤ村の人たちが、あんな服を着てた」


 すると、デギルさん。

「ゴライの出身はウールリカだ」


 この人、なんでも知ってて便利だな。解説つきで試合を見てる感じ。もしかして特等席だった。


「でも、ウールリカって、魔王軍に襲われて、今、往来がとだえてますよね?」

「ボイクドからはな。海側からまわれば行けないことはないみたいだ」

「そうなんだ!」


 いいことを聞いた。海か。船さえあれば。この前のゴドバの船、返してもらえないかな……。


 デギルさんは続ける。

「ただ、国内は混迷をきわめてる。人間が行けない街も多い。ウールリカの王都は魔王軍に占拠されてるって話だ」

「そうなんだ……」


 それは大変だなぁ。

 予言の巫女はウールリカの王女様らしいんだけど、無事かなぁ?


「ゴライはウールリカの国境に近い村の出で、父がヤマノクニの巨人らしい。だから、アイツだけ、やけにデカイんだ」


 なるほど。たしかに、ほかのメンバーにくらべて、一人とびぬけて大きい。二メートルは超えてる。


 相手チームはドムドか。

 見たところはふつうの戦士系の男たちだ。さほど大柄なわけではない。一番大きいドムドでも、たぶん一メートル八十まではない。人相は悪い。玄武組だから北の国から来たのかな。


「では、両チーム先鋒、位置についてください。始めッ!」


 ウールリカの男は武闘家系みたいだ。防具も軽よろい。身ごなしがかるく、器用さが高いようで、相手の攻撃をヒョイヒョイかわす。カウンターもよく出す。


 ドムド側は典型的な戦士。ためてテンションあげてガンガン攻撃。


 先鋒はウールリカの勝ちだった。次鋒はドムド。中堅はまたウールリカ。副将はドムド。


「おおっ、また二勝二敗だ。大将戦になるな」

「だねぇ。兄ちゃん」


 いよいよ、ゴライとドムドの戦いぶりが見れるんだ。ワクワクするなぁ。ほんとにウワサどおりに強いのかな?

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