第四部 武闘大会の行方
第十章 準々決勝
第143話 大将戦は蘭さん
https://kakuyomu.jp/users/kaoru-todo/news/16816700428561624432挿絵
力50000、防御5の勇者。
ただ、装備品はめちゃくちゃいい。ふつうの同レベルの敵相手なら苦戦はしない。
問題はむこうの大将が、どのくらい強いか、そこだよね。
「準々決勝第一試合、いよいよ大将戦です。両チーム、大将、所定の位置についてください」
ズン、ズンと足音を響かせ、玄武組の大将が前に出る。
で、デカイなぁ。
このパーティーのほかのメンバーの身長は三メートル五十センチくらい。だけど、大将のヴィクトリアだけは、確実に四メートルある。四メートル五十かなぁ? もうビルだよね。小型のビル。
対する蘭さん。
身長は百七十センチなさそう。こっちの蘭さんは現実の世界の蘭さんより十歳若いので、身長も少し低いみたいだ。
女装するって言ってたから、今日はドレス姿だ。精霊王のよろいはドレスの下に着てるんだろう。華奢なよろいだから、見ためも変じゃない。
長い髪をアップにしてリボンや花飾りをつけてる。
ウットリ。綺麗だなぁ……。
外見は完全に男女が逆転した対戦相手同士だ。
観衆はワアワア言って、蘭さんを応援してる。まあね。誰が見ても絶世の美女だから。
「かーくん。大変だぞ。あの大将。HPが一万超えてる」
「えッ?」
「力は五千。防御は四万だ。ほかは大したことないけど、それでも一番低い素早さでも三百五十だ。蘭、苦戦するぞ」
防御四万……しかもHPが一万超えてるなら、蘭さんの力五万プラス武器の攻撃力五万でも、一撃で倒すのは難しいかもしれない。
そうなると、次のターンで力五千の攻撃をくらうわけか。蘭さんの防具に頼った防御力で耐えられるのか……。
いや、ムリだろうな。
精霊王のよろいは防御力220。盾は防御力じたいはないし、ブーツは30。ブーツには体力、素早さ、器用さの数値を二倍にしてくれる魔法がついてる。
かぶとは精霊王のシリーズがなかったから、前のときに買ってた炎の帽子のまま。これが防御力10。
これにあと装飾品の精霊のアミュレットが全ステータスプラス20で、体力も20あがる。装飾品の赤いマントが防御力15。よろい下が防御力プラス10%。
つまり、蘭さんの総合防御力は体力こみで335か。
ふだんの戦いでなら、決して弱くない。いや、むしろ強い。体力5しかないのに、よくここまで固めたなってくらい。
だけど、力5000の相手に対して、防御335……あまりにも心もとない。
一撃でもくらったら即終了だ。なんとか相手の攻撃を受けないうちに倒してしまうしかない。つまり、特技の先手必勝で相手を戦闘不能にするしかないんだけど……。
「兄ちゃん。あの大将の素早さ、何って言ったっけ?」
「350」
素早さ350か。そうとう早いぞ。今までの巨人たちの素早さは60前後だった。だから、おおむね、蘭さんパーティーのほうが多く動くことができた。でも350だと、そうもいかない。
「えーと、蘭さんの素早さは」
ああ、まだレベル28のままだ。バグのせいで一晩寝るとレベルが28に戻ってしまう。素早さは191。これが流星の腕輪の効果で二倍。さらに精霊王のブーツの効果で二倍。764か。なんとか二回行動できるていどだな。
二撃。力五万プラス、武器五万。マックス攻撃力で二回攻撃か。四万防御力の相手に対しても、それなら、なんとか……。
「大将戦、始めッ!」
始まった。
直後、やっぱり、蘭さんが動く。
「先制攻撃!」
通常攻撃で行ったか。
たしかに、蘭さんの技のなかで、攻撃力を高めてくれるのは『ブレイブツイスト』なんだけど、あれって勇者の技だ。群衆の前で使うと、勇者だってことがバレてしまう。
いろいろ条件が厳しいな。蘭さん。
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