第16話 ゴーレムの邂逅



 シルバンが仲間になったとき、出現場所の森には、たくさんの銀晶石ゴーレムがいた。シルバンの仲間たちだ。


 だけど、そう言えば、みんな同じサイズだった。それか、シルバンよりずっと大きいか。小さいゴーレムを見て、おどろいちゃったんだね。


「シルバン。この子は今日から僕らの仲間になった、ミニゴーレムのミニコだよ」

「シルコ?」

「ミニコ」

「シルコー!」

「ミニコだけど……」


 うーん。いっそ、シルコでもよかったか。お汁粉しるこも美味しいよねぇ。


 まあ、仲よくなってくれたみたいでよかった。ETよろしく指と指をタッチして何やら交信してる。


「さてと、じゃあ、研究所に行こうかぁ。街の南東って言ってたよね」


 街を出て南東。しかも、けっこう遠いって。街のなかに建てることはできなかったのかな? そうとう大きい建物だとか?


 考えていると、ミニコが南東の方角を指さした。


「あれ? ミニコ、研究所の場所、知ってるの?」

「ミー」


 あっ、ミニコのしゃべりがロボット調じゃなくなった!

 な、なんでだ? シルバンの影響かな?

 たしかに、こっちのほうが可愛いけど。意味はわからなくなった。


「かーくん。今のは『知ってるよ』って言ったんですよね?」

「そうみたい」

「この子って、もしかして研究所で造られたんじゃないですか?」

「かもね。電化製品作ってるのって、研究所っぽいもんね」

「でんかせいひん?」

「あっ、ごめん。電気で動く機械のことだよ」

「ふうん」


 ミニコが両手をふって歩きだす。

 ああ、ミニコはレベル1だよね。一人でワールドマップを歩かせるわけにはいかない。マップにはモンスター出るからね。


 僕は急いで、ロランに相談する。


「ワールドマップは後衛が必要なほどの敵は出ないよね?」

「かーくんと僕がいれば、たいていの敵に遅れをとることはないんじゃないですか? あとの二人は自動石化のケロちゃんと、素早さの高いぽよちゃんがいいかな。アンドーはもしものときに後衛から回復お願いします」


 蘭さんは言ったんだけど、シルバンが猫車に戻らないぞ?

 ミニコが気になるみたいだ。そのまま、ついてくる。

 変だな。馬車の外には前衛の四人までしか出られないはずなんだけどな。


 馬車のなかから、アンドーくんが声をかけてきた。


「あれ? かーくんやつ、外に五人おるね?」

「そうなんだよ」

「ミニコのステータスが見れんけん、数に入っとらんだない?」

「やっぱり、ミニコはNPCかなぁ?」


 とにかく、まあ、歩く。歩く。歩く。


 エレキテルの街の外は気持ちのいい草原だ。背の低いブッシュがときどき、ぽこぽこ顔をのぞかせてる。海岸が近いせいか、風に潮の香りが、かすかにまざってた。潮騒が聞こえるよ。


 ワールドマップって、旅って感じするよねぇ。雲の流れてくのがよく見える。


「はあっ、世界って広大だなぁ」

「ふふふ。僕らの知らない場所が、まだまだありますからね」

「早めにエレキテルの用事が終わったら、ヒノクニまで行ってみる? 武闘大会だって。見てみたいよねぇ」


 あっ、十億円発見。

 そうだった。モンスターが出るんだもんね。僕のスキルも発動だ。二、三十歩ごとに十億円。これで、研究費用がいくらかかっても安心だぞ。


 とかなんとか言ってるうちに、出た。出た。やっぱり、出るよね。



 チャララララララ〜

 モンスターに遭遇したときの効果音だ。

 そして、テロップ。



 野生のミニゴーレム(失敗作)が現れた!

 野生のこわれたブリキ人形が現れた!

 野生の鉄クズが現れた!



 ええっ? 鉄クズ?

 それってモンスターなの?

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