第4話 だが断る
「……貯めておいて、終末少女を召喚する……のが良いのかな……」
「勇者殿、それは違う」
騎士が、兜を振る。
「終末少女を召喚したからといって、自分に友好的とは限らない。また、フリーの終末少女は多いし、そもそも召喚した終末少女より、この世界で産まれた2世や3世の方が強いので
、終末少女は召喚するより、募った方が良い」
召喚主に絶対服従って訳では無いのか。
そう言えば、俺も別に、誰かに支配とかそんな状態ではないしな。
「騎士殿。貴方はかなり強い終末少女とお見受けしました。私に力を貸して頂けますか?」
「勇者殿。それはできない」
騎士は再び兜を振る。
断られた!?
「終末少女は、アライメントで分類される。人類と協力し、街に住む者、ロウ。人類には敵対しないが、あまり積極的に助力もしない者、ニュートラル。そして、人類に敵対する事すらある、欲望のままに生きる者、ケイオス」
「ケイオス……そんな存在もいるのか」
「まあ、頭の中身が12歳の子供だからな。理性的な者だけではない」
騎士が淡々と言う。
確かに。
「私は、人類を滅ぼす気は無いが……かといって、積極的に助ける気も無い……つまり、ニュートラルに属する終末少女だ。貴方が募るべきは、ロウに属する終末少女。街に行けば、街の長が便宜を図ってくれる筈だ」
「日が暮れる前に街に着いた方が良い。近くまで送ろう」
そう言うと、騎士は歩き出す。
残念。
この騎士さんが仲間になってくれれば……いや、序盤少し助けて貰えるだけでも、かなり助かったのに。
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途中、異獣を数体蹴散らし。
街へと到着した。
通常であれば、街の近くでこれほど異獣が湧くのは異常らしい。
勇者召喚の影響か、と訝しんでいた。
街の手前で騎士と別れ。
程なく、飛鳥とあっさり合流。
騎士の話をすると、驚いていた。
飛鳥が手続きを進めてくれ、何の問題もなく街に入る事ができた。
飛鳥の紹介で宿を取り──宿代も奢って貰いつつ。
そして。
日も沈む頃、身綺麗な服をきたおじさんが宿にやってきた。
「勇者様、よくぞご無事で」
おじさんが頭を下げる。
召喚の儀は、20名程の手練れで囲んで行ったのだが。
その後30分、1時間、2時間……待っても誰も現われず。
2日が過ぎた後、召喚失敗と結論。
全員引き上げたらしい。
たまたま飛鳥が根気強く、1人で待ち続け。
3日目にして、俺が現われたという訳らしい。
「いえ、飛鳥さんに助けて頂きましたし……ニュートラルの騎士殿にも助けて頂いたので」
「そうでしたか。飛鳥殿には、冒険者階級昇格が既に決定していますが。その終末少女にも、何か御礼をしたいところですな……それを嫌って、名乗らなかったのでしょうな」
おじさんが困った様に言う。
「私は、このマリヴェーザの市長をしております、
「初めまして、兼人さん。
「零次様の事は、報告書にて確認しております。最大限の便宜は図りますので、何でも仰って下さい」
市長が頭を下げる。
PTに加入候補の終末少女に関しては、明日紹介する。
市長はそう告げると、帰って行った。
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今何でもって言った?
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