第3話 蒼天の騎士

くすり


飛鳥は微笑むと、


「行って下さい、零次様!」


飛鳥が取り出したのは──拳銃。


チュンッ


異獣に当たり、銃弾が砕け散る。

これが異獣……熱核兵器に耐える個体もいたとか。


確かに、俺は足手まとい。


「すまない、無事でいてくれ」


叫ぶと、街道を駆ける。

後ろで銃撃、爆砕音、飛鳥が叫ぶ誘導の声──


そして──


程なく、絶望に遭遇した。


--


異獣。


先程のタイプは、重装型。

今目の前に立ち塞がるのは──小型、狼っぽい外観の異獣。

それが6体。


どう逃げても回り込まれるだろう。

恐らく、速度も尋常ではなく早いはず。


詰んだ。


せっかく飛鳥に逃がして貰ったのに──


ガルッ


一陣の風。

初速から音速を超えるのか。

訝しむ程の速度で、俺を目掛けて翔ぶ。

それは最早、自身がミサイル。

多くの人類の命を奪ったソレは、俺の命をあっさり刈り取り──


ドム


そうはならず、俺の前に立ち塞がった影に阻まれる。


「敵性個体を確認、アサルトモード行使」


低い、抑揚の無い声で、その影が告げる。

女性の声……?


まさか……この人が、終末少女?

少女と言うには、背格好が大きいようだけど。

全身を空色の金属鎧で覆っている。


ザンザンッ


異獣を遥かに上回る速度で、異獣を串刺しにしていく。

2匹……3匹……


しかし、異獣の1体が口から漆黒のブレスを吐き出し──


ゴウッ


騎士が掲げた手に、巨大な盾が出現。

ブレスは、盾に吸い込まれるように消失する。


ジャッ


騎士は飛び上がると、


ヒュッ


槍を投擲し──


ザザザザザッ


投げた槍は1本の筈が、無数の槍が降り注ぎ、異獣達を全滅させた。


強い……

圧倒的……これが、終末少女。


「状況の終了を確認」


騎士は、そう告げると、


俺の方を向き、


「勇者殿、怪我はありませんか?」


機械的な声音で尋ねる。


「いや、大丈夫です。助かりました」


……はっ。


「すみません、俺が来た方向にも、巨大な異獣が出現していまして……俺を逃がしてくれた人が危ないかも知れないんです。助けて頂けないでしょうか?」


騎士は、兜を左右に振り、


「その心配は不要。貴方の懸念する異獣は、既に倒した」


そう言うと、俺に黄色く光る宝石を渡す。

何だこれは?


「異獣を誘導しつつ、別経路にてマリヴェーザの街に向かう人影を見た。貴方の言う知り合いは、その者で間違いないだろう。貴方が街に辿り着いた後、程なく合流できる筈だ」


騎士が続けて言う。

有り難い。

異獣を倒した後で、飛鳥にその事を伝えてくれると更に嬉しかった。


騎士は異獣の残骸に近付くと、槍で突き始め。

程なく、赤い宝石を4つ、黄色い宝石を1つ回収してきた。

俺に手渡す。


「これは?」


「赤い宝石は、コモンマテリアル。黄色い宝石は、レアマテリアル。コモンマテリアルは、一般コモン神具アーティファクトの燃料、神具アーティファクトの修復や強化、終末少女の強化……ゲームにおける便利ポイントと思ってくれれば良い」


ソシャゲとかある世界なのかな。


「レアマテリアルは、コモンマテリアルの用途にも使えるが……召喚遺跡にて、神具アーティファクトガチャ、終末少女ガチャ、勇者様の召喚に使えるので、一般用途では使わない方が良い」


ガチャ言っちゃったよ。


************************


ぬまぬま。

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