第11話「エリアボス討伐戦①」
蓮達3人はこれまで一度も入ったことが無い入口の前に早朝から集まっていた。
まだ新聞配達の人がせっせと町を駆け回っている時間帯だが、この一帯だけはそんな静寂が一切無く人が群れている。
「みんな! 聞いてくれ! 今回このタワー攻略のリーダーを任された黒崎だ」
「今回はここに128人の人が集まってくれている。まずは感謝を述べたい」
周囲一帯に通る大きな声でその場の人々の視線を一手に受けた。
声の主はこの大所帯を束ねるリーダーの『
機関に配属する公式ホルダーの一人であり、ネット記事でも有名で今回10階層へ大規模パーティーで挑むきっかけとなった人物でもある。
ネット記事にもよく出てきており能力やスキルについても公表されている。
レベルは数日前に見た情報だと60を超えていた。
スキルは≪瞬身≫。
条件など詳細は分からないが、一定の距離を瞬間的に移動するスキルらしいが実際に戦闘で見た人は少ない。
名実共にリーダーを張れる人なのは間違いないので安心して任せられる人物だ。
「早速だが、今回の目的は10階層への到達及び10階層エリアボスの討伐になる!」
「ボスの情報は勿論無いので何が起こるかはこちらも分からない。その為、全員エスプカードを必ず所持してくれ。そしてピンチの際は迷わず使ってくれて構わない」
「詳しくは10階層前の扉まで行ってから説明するがこの時点で他に何か聞きたいことはあるかな?」
……
…
「無いようだね。それじゃー行こうか!」
黒崎の一声と共に100人を超える一団は正面に見えるタワー入口へと入っていった。
蓮達も後に続くようにタワーへと足を進めた。
◇
――タワー8階層
「はっ! よっと!」
先頭から少し離れたところでモンスターの相手をしている蓮達と他のパーティーのホルダーがいる。
「なんか今日はモンスターの数が多いな」
「チェイン使って一気にまとめて倒しちゃう?」
「いや、ここで使うと次使えるまで1時間掛かるからやめとくよ」
葵の提案ももっともなくらい敵の数は想像以上に多い。
しかし、チェインが使えない状態で10階層に上がるのは不安だったので他の改変効果を組み合わせて対処していた。
幸運にも他のパーティーがいるおかげで対処は間に合っている。
「――よしっ、大体片付いたしスピード上げて先頭に追いつこう」
「オッケー!」
「分かったよ!」
葵と百合もここまで体力はそこまで消費せずに来れている。
自分達だけで対処しなくても他の人達が倒してくれるからだ。
改めて大規模パーティの恩恵を感じていた。
◇◇
程なくして10階層の前の扉に全員が集合した。
「よしっ。これで全員が揃ったかな?」
「これより作戦を伝える……が、正直敵の情報もないので役割を持って動いてくれとしか言えない」
「そのため前衛と後衛、そして両方の援護部隊のざっくり3部隊に分けようと思う」
「識別・鑑定スキルを持つ者はボスモンスター出現と共にスキルを使って情報を皆へ伝達してくれ!」
蓮達は後衛組に割り当てられた。
主に前線のメンバーが仕留めきれず後ろへ流れてきた的を
――時刻は10時をもうそろそろ迎えようかという頃だ
「……そろそろ時間だな。それではこれより上の階に入る!皆遅れずに部屋に入ってきてくれ」
黒崎を先頭に100人を超えるホルダーが一斉に階段
を駆け上がり部屋に入場した。
部屋に全員が入ったタイミングで扉が勢いよく音を立てて閉まった。
部屋にはまだ敵の影はなく中央の碑が薄ら光っていた。
『時は満ちた』
どこからともなく聞こえてきた低い声と共に辺りにモンスターが出現した。
ゴブリン、コボルト、それに9階層から出現してきたオーク、その数は合わせてゆうに200を超えていた。
そして出現した敵の後方には一際大きな姿をしたモンスターがこちらへ視線を向けニヤリとした笑みを浮かべている。
ボスモンスター出現と共に識別スキルを発動したホルダーの1人は情報を見てゴクリと唾を飲んだ。
「ボスの名前はオークキング、9階層にいたオークの上位種になります! 武器はハルバードを使います」
「レベルは……180。それ以上の情報は私のスキルでは識別できません!」
驚きの声と共に一瞬全員の動きが固まった。
こちらは黒崎でさえやっと60を超えたぐらいなので180レベルの相手に挑もうとしていることがどれだけ厳しい事か分かる。
スキル次第ではレベル差を埋めることも可能だがそれも敵との相性次第ではある。
「動きを止めるなっ! まずは周りの奴らを少しでも片付けるぞ!」
黒崎の怒号とも呼べる荒々しい一声に再度全員の士気が高まった。
「うぉぉぉぉっ!」
円形の部屋は一瞬で戦場へと
周りからは武器と武器が重なり合う金属音、そしてモンスターの悲鳴が飛び交った。
前線で戦いが始まると後衛にもすぐにモンスターが流れ込んできた。
「そっち行ったぞ!」
蓮の方へ敵が3体ほど猛烈な勢いで襲ってきた。
「カスタマイズ[改変]ATK+、AGI +をロングソードへ!」
「ぜやぁぁぁぁ!!」
横方向へ剣を構えると、1体のコボルトの横腹に剣を入れ水平に切断した。
蓮は一言「葵!百合!」と叫ぶと同時に残りのコボルト目掛けて鋭いナイフが襲い、弓から放たれた矢が顔面を命中した。
「やるなっ!」
これぐらいの連携なら朝飯前と言わんばかりの動きで後衛にやってくる敵を倒していった。
「そういえばお兄ちゃんここに来る途中レベル30に上がった時にスキルもレベルアップしたでしょ?」
「ああ、けど何度か試したんだけど発動しないんだよな。効果自体詳細に書いてなくてさ」
蓮は10階層に上がる道中でレベルが30に上がっており、新しく[カスタマイズ]スキルで出来ることが増えてはいたが、書いてある内容から詳細が分からずに使っていなかった。
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【トレース】
特定の対象に対してトレースを実行する
ストック:0/8
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「そーなんだ、っと危ない」
「百合大丈夫か? 今は目の前の戦いに集中しよう」
話しながら次から次へと来る敵を捌いていく。
今はこれまでのスキルで対処するしかないようだと割り切り一旦忘れることにした。
これぐらいなら取り巻きの処理はなんとかなりそうだと思っていた矢先に大量のゴブリン、コボルト、オークが押し寄せてきた。
数は10体程ではあったがオークの数が多く、他のホルダーも苦戦している。
蓮は迷っている暇はないと思い、即座にロングソードに掛けている改変効果を書き換えた。
「カスタマイズ[改変]ATK+、チェインをロングソードへ!」
蓮は10体を同時に巻き込める位置へ移動するとオークの背後からチェインを掛けたロングソードで首元を一閃した。
攻撃を受けたオークの体から周りにいる他のモンスターへ攻撃は
その瞬間、他のホルダーが苦戦しているオーク達の体にも同様にダメージが入った。
「大丈夫ですか!?」
「ああ! 助かったよ! ありがとう!」
チェインを使い周りの敵を一掃したその時、前方で大きな衝撃音と共に何人かのホルダーが打ち上げられた。
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