リン

 そうですか。あのお二人はそんなことを……おかしな話でございますね。


 あの画像はわたくしが一人自ら撮影し、そして自分の意志で独り、あのような形で公開したものですのに。


 ねぇ尼僧長さま、突然ではありますけれど人間の聖性とは何だとお考えになりますか? そう、他者のために奉仕献身し身を捧げること。いつも仰っていらっしゃいますね。かつて聖ヘルミーナがそのように行ったように、わたくしたちもそのように行わなければならない、と。


 ところで献身とは何をするのが献身でしょうか。毎日毎日この島で祈りに身を尽くし、貞淑な生活を続けることはわたくしたちにとって本当の献身であると言えるのでしょうか?


 いえ、つい数ヶ月前まではわたくしもそうだとばかり思っていたのですが。


 少し、外の世界の考え方というものが気になったので、試しに聞いてみたのです。


 どこでって……あの、世間では有名であるらしい匿名の掲示板というものに行きまして、「神と宗教」というカテゴリーがありましたので、そこで。


 わたくしは孤島の修道院で暮らす一介の修道女なのですが何をしたら一番皆様のためになりますか、と。


 そうしたらいずこの方とも分かりませんが、そちらの方に「画像うp」と言われまして。ええ、撮って載せました。いえ、この時は普通に、服を着たままただの写真を撮ったのですが。


 何やらそれだけで大喝采になりまして……皆さまの望むところを伺い、そして可能な範囲でそれにお答えする、ということを繰り返しているうち、一ヶ月くらいのちに、「おっぱいうp」という書き込みがありまして。


 いえ。誤解されるといけないのでここははっきりと申し上げておきたいのですが、その書き込みをした方はおおむね、袋叩きというべきまでの批判をその場で受けておりました。


「漏れたちの女神になんてことを言うんだ」

「恥を知れ」


 といった感じです。


 わたくしが女神、と言われたのはそのときが初めてでした。ですので、わたくしは女神などではありません、一介の修道女ですと申し上げたのですが。


「やっぱり尊い……」

「女神」


 といった感想が大半を占めまして。


 わたくしはその日、はじめて服を少しだけはだけた写真を撮って、その場に公開しました。


 そのあとにあった絶賛の言葉はそれはもう……正直、いろいろの意味で頭が茹だるような経験でございました。それから一週間後、わたしは初めて素肌を晒しました。全て脱ぎ捨てて撮影するようになったのは一ヶ月ほど前からです。


 その頃には、わたくしは今のように、これこそが真の献身であり奉仕なのだと、理解できるようになっておりました。そして、現在の修道会の在り方に疑問を感じるようになったわたしは、一番新しい写真を一枚、


 尼僧長もご存知のように、この修道院の公の掲示板……


 つまり、、ひそかに印刷した写真を貼り付けて残したのです。


 わたくしがしたことは、娼婦のように汚らわしいことだとお考えになりますか?


 そう思われても構いはしません。


 それでこの修道院を放逐されることになろうとも、わたくしは自らの信じるままのことを確かに行ったのですから。



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