第6話 予想的中
俺は基本的な会話なら理解できるようになっていた。
ただ、ほとんど発音することができない。
それでも、興味を示すふりくらいはできる。
例えば、最近よく俺の周りにいるハッツェンという侍女(大体11歳くらい?)がほかの侍女と何か話をしているのを見るたび、申し訳ないと思いつつも「なぁに?(首をコテンとしながら)」と聞く。
コテンが重要なんだ……そうすると彼女は嫌な顔一つせずに「それはですね~」と話している内容を教えてくれる。
またこれが、子供にもわかるよう丁寧に話してくれるんだ。
―――なんていい子なんだぁ。
内容としては「今日裏庭の花が咲いていたんですよ」とか「スレクトゥのお菓子は美味しいですよ」とか本当に雑談らしい雑談だ。
でも暇を極めていた俺にとってはその雑談一つ一つが目から鱗なわけで、俺が約半年経過したと考えることができたのも
曰く、この世界にも西暦のような暦は存在しており今は王国歴573年であるらしい。一年は360日とされており一月を30日としてそれが12個で一年となる。またこれには寸分の狂いもないのだとか……ホントかなぁと思ったが、いやーどこの世界にも天才っているもんだねー、と強引に自分を納得させた。
ちなみに、
1月 雨月
2月 風月
3月 芽月
4月 花月
5月 草月
6月 収穫月
7月 熱月
8月 実月
9月 葡萄月
10月 霧月
11月 霜月
12月 雪月
となっている。
今は
「アル~、みてみて、これねお母さまにつくってもらったの~、どお、にあう~?」とリア姉が赤色のマフラーを見せてきた。
金髪金眼の美幼女に赤のマフラー、しかもその赤マフラーよく見ると繊細な模様が縫ってある。似合わないわけがないので素直に感想を言った。
「かぁいい」
「~~~!?」
リア姉は着けているマフラーと同じくらい顔を真っ赤にして声にならない叫びをあげ走って部屋を出ていく。そんな姉を早足で、それでも部屋を出るときは丁寧に礼をしていったアグニータが追っかけていった。
―――そんな出来事があった為、今は冬にあたる季節であると分かったのだ。
また、この世界にも四季があるらしい。
侍女たちの服装が薄手のものから厚手のものに少しずつ変わっていることからの推測だ。ハッツェンに触らせてもらったから生地の変化については間違いない。
他にも、彼女から聞く話には驚かされるような内容がたくさんあり、中でも今俺が生活している館が建っている場所は辺境都市スレクトゥで、そのスレクトゥを領都として発展しているのが我が家<ヴァンティエール辺境伯>の領であるということを知った時は大いに慌てたものだ。
―――え、うち大貴族じゃん……と。
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