第3話 ここ、どこ?
「あうあ、あうあううあ~(ここは?知らない天井だ)」
(きゃっ、言っちゃったっ)
異世界に転生したら言ってみたいランキング第13位の言葉を
いや、大変興奮していた。(変態ではありません)
ここ1か月――正確には2か月といったところか。
俺はある程度今自分が置かれている状況を把握していた。
「正確には2か月」と言った理由としては生後1か月までの間の記憶がほとんどないためだ。
それもそのはず、初めの1か月は起きておっぱい吸って、げっぷして、泣いて、チョメチョメして泣いて、寝て。これを永遠に繰り返していただけ。
知性のかけらもない。
(まあ、今も変わらんが…。)
要するに、2か月目に入ってようやく起きていられる時間がちょぴっと増え、思考・観察する時間がつくれるようになった―――というわけだ。
そしてその思考の結果、わかったことが5つ。
1つ目は俺の名前がアルテュールである。ということだ
異世界言語なんてわかりゃしない。
小説などでは「神様かなんかがいろいろ便利な能力を授けてくれる」なんていうテンプレが存在するがそうは問屋が卸さない。現実は世知辛いんだ。
しかし、言語が分からなくても名前だけは何度も連呼されるのでいやでもわかる。
そんで
これも同じで何回も同じ顔から同じ名前が出てきたためさすがに分かった。
今俺が把握しているのは3人―――
父:ベルトラン(ダンディイケメン・青髪金眼)(愛称:ベル)
母:アデリナ(おっとり美人のぼんっきゅっぼん・金髪碧眼)(愛称:アナ)
姉:オレリア(お転婆美幼女・金髪金眼)(愛称:リア)5歳
ん?何でリア姉の年齢だけ知っているのかって?そりゃ、毎日毎日俺が起きている時を見計らって会いに来て「アル~、5歳のお姉ちゃんが来たよ~。」って言うからだよ。
弟ができたことが余程嬉しいのだろう。天使のような容姿も相まって見ているこっちもほっこりする。0歳にしてもうシスコンになってしまったのかもしれない。
なお、リア姉が言っているように俺の愛称はアルだ。家族は基本的にアルと言い、メイドさん的な人たちにはアルテュール様と呼ばれている。
俺の異世界言語最初の理解は「様」でした。
(なんか貴族っぽいね。)
そう貴族っぽいと言えば、うちは貴族っぽい。これが3つ目だ―――。
その理由は2つ――『豪華な家』と『使用人の数』だ。
まずは家の、というよりは1部屋の大きさ。
俺はまだ部屋を出たことがほとんどないが、今生活している部屋だけでも嘘だろってくらいに広い。そして決して過美にならず、かといって尊厳を失わずと絶妙なバランスを装飾品の数々が演出。
子供部屋でさえこれなのだ。ほかの部屋は言わずもがなだろう。
また―――
「ねぇ、アル~?お姉ちゃんって言ってみて~♪」
「きゃっきゃっ♪」←俺氏
何度目になるかわからないリア姉からの質問に対して、俺が天使の笑い声でスルーしている状況でも周りには5人の使用人らしき人がいる。
これで「えっ、うちは平民よ」なんて言われたら、俺はこの世界の何を信用すればいいのだろうか。
(貴族じゃないにしても、豪商以上ってことは確信してもいいんじゃないかなぁ)
そして4つ目。これが俺の中で最大のニュースである。それは―――
ちなみに……
2日に1回くらいの頻度で父上が俺の寝ている間に「アル~、パパでちゅよ~。初めの言葉はパパでちゅよ~。パ~パ、パ~パ♪ママじゃないでちゅよ~」って耳元でささやいてくる。
刷り込みをしようとしているのだろうか。
(パパん、こえーよ)
さすがに何度もやられると起きちゃうよ。
パパ・ママ刷り込み戦争は世界が変わっても変わらないということか……
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