125 第四十三話 決戦!ケンツvsアパーカレス 08 【総攻撃】
― ドッコーンッ!
シャロンの一撃でキュイはそのまま地表のキリスに激突!
そして二人はそのまま動かなくなった。
シャロンvsキュイ・キリスの勝負は、シャロンに軍配が上がった!
「よし、さすがシャロンだぜ。見事に勝ち切ったな!」
― ガキンッ!ギュルルルルル!
『おのれ、よくも我がファミリーを殺ったな!』
『心配するな、シャロンはあの二人を殺すなんてことは絶対にしねーよ!』
俺と戦いながらキュイとキリスの敗北を見て、アパーカレスは怒りを露にした。
それにしても意外だな。
邪竜アパーカレスは、キュイとキリスの事を眷属だとはいいつつも、いつでも使い捨てに出来る隷属的な関係かと思っていた。
しかし今見せたヤツの感情は、そんな上下関係とは少し違うものだぜ。
『何を不思議がっている。我は貴様達人間と違って仲間を想う気持ちは……』
「なにが仲間だ!ドラゴンナンチャラで二人をだまくらかしたくせに!」
『我とバークは表裏一体!我が復活した瞬間より、バークが欲するものは我も欲するし、バークが愛する者は我も愛する!』
こいつ何を言ってんだ?
テメーは自分が復活するためにあいつらを利用したんだろう?
バークを依り代に使ったせいで、なんか頭に障害でも出てんじゃねーか?
― ザンッ!ズバッ!
『ぬ、ぐぬぬぬぬ!』
ダメージは与えられるものの、与えた傷は相変わらずすぐに治癒しやがる。
まったく面倒くせえ!
「ケンツさん、竜族の家族や仲間を想う気持ちは人間以上なのです。この様子だとアパーカレスは本気でキュイさんとキリスさんを大切に想っているみたいですよ」
「ミヤビ!」
残った復活竜を全て屠り、ようやくミヤビが支援に来た!
ミヤビは巨大な蛇の下半身に上半身裸の姿、つまりラミア族本来の姿に戻っている。
しかもさらに!
「待たせたな!」
「翼竜型復活竜は全部やっつけたよ!」
まるで極東の島国の戦闘衣装のような鎧に身をつつみ、召喚勇者ヒロキと召喚聖女アカリも空から舞い降りてきた!
そしてもちろんシャロンもいる!
「ケンツ、あとはこの邪竜アパーカレスと、アリサさん達と高空で戦っている邪竜族の男だけよ!」
シャロンの言った通り、はるか上空で炎と雷が走っているのが見えた。
邪竜族の男は未だ健在。アリサとユリウスは少々手こずっているようだ。
「「「え、これがシャロンさん!?」」」
しかし集まった
そしてヒロキはシャロンを確認したあと、なんだか目のやり場に困っているようだ。
まあ仕方ねえ。シャロンの方乳は開けたままだし、その上ミヤビもラミア形態で生乳晒しまくっている。
「ヒロキ、見ちゃだめよ!」
「わかってるよ!でもどうしても目に入いるし!」
そう言ってヒロキは明後日の方向をむいた。
だがしかし!
おいおいヒロキ君、全部バレてんぞ。このムッツリ勇者め!
顔を背けつつシャロンのオッパイをチラ見するのはやめてくれ!
見るならミヤビだけにしてくれ!
などと思っていたら、アカリが持っていた長布でシャロンの胸を巻いてくれた。
よしよし、これで一安心だ。
しかしユリウスとアリサ以外集結か。これはもう勝ったな。
俺は剣を止め一旦アパーカレスと間合をとった。
「さあ邪竜アパーカレス、おまえの運命もここまでだぜ。いい加減降伏してバークの身体から離れやがれ!」
人語を理解する相手だから一応降伏勧告をするが、まあ応じないだろうな。
こいつはシャロンの事はもちろん、バーク・キュイ・キリスをいいように弄んだ奴だ。
だからぶっ飛ばしたい気持ちはもちろんある。
が、それとは別に疑問に思うこともあるんだ。
こいつはなぜ人間に災いを持たらそうとするんだ?
500年前に何があった?
今さら復活して何をするツモリだったんだ?
『降伏だと?我が怨敵人間に屈するなどありえぬ!!!』
やはりアパーカレスは降参する気はないよな。
しかも怨敵って……
仕方ねえ。尋問は諦めよう。
さっさとヤツを倒してバークを救出するぜ!
「なら終わらせてやる!みんな、やるぜ!」
「はいっ!」
「まかせて!」
「おうっ!」「やってやる!」
シャロン、ミヤビ、ヒロキ、アカリ、それぞれが力強く返事をして攻撃に入った!
「
―ボォシュッ!
ヒロキの持つ二本の聖刀に組み込まれた
「
―バシュッ!
そしてアカリの持つ聖刀に組み込まれた氷の魔石も強く煌めき、斬撃波とともに無数の氷刃がアパーカレスを襲う!
『バカめ、召喚とは言え勇者と聖女の攻撃は我にとって糧でしか……な!……ぐぼおおおおあああ!?』
― ドッゴオオオオオオオオオオン!
ヒロキとアカリの斬撃波をまともにくらい、アパーカレスは吹き飛ばされ大ダメージを負った!
片膝をつき、全身にダメージを負いボタボタと血を流すアパーカレス。
びっくりだぜ、聖属の力はアパーカレスにはタブーじゃなかったんか!?
『なぜだ、この力……聖属のものではないのか!?』
「俺達は勇者と聖女である前に【素浪人】なんだぜ!」
「聖属の力に頼ってばかりの他の召喚勇者達とは違うのよ!」
ヒロキとアカリは、異世界召喚された直後は何のギフトも得られなかった【無能力者】だったそうだ。
しかし、その無能力者期間にトレーニングを重ね、独自に剣技を向上させていたらしい。
そして勇者と聖女の祝福を得る前に名のっていたが【素浪人】。
完全無属性の剣客冒険者として活動していたのだ。
つまりこの二人に限っては、聖属の力を使わずともある程度戦闘可能!
もっとも、聖属の力を使わないと当然ながら威力は格段に落ちる。
だが今の弱体化したアパーカレスなら相当堪えるだろう。
「今度は私の番です。ラミア式神武術、
― ゴゴゴゴゴゴゴ……ズコッ!
ミヤビは亜神ラミアが残したと言われる神道術、【
周りを取り囲むように【六本の御柱】が立ち上がり、それぞれの柱と柱の間に強力な結界が張られ、アパーカレスは捕らわれの身となる!
『これは異界の魔法結界か!?』
戸惑うアパーカレスを無視してミヤビの無情なカウントダウンが始まった。
「
― ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!ボゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!!!
六角結界内で爆裂魔法が断続的に炸裂開始!
爆風、爆炎、衝撃波、爆圧、が濛々と荒れ狂い続ける!
『ギゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!』
断末魔のようなアパーカレスの悲鳴が響く!
ミヤビ、やりすぎだ!あれじゃバークが死んじまうだろう!
「ケンツさん、邪竜の耐久力を舐めてはいけません。これくらいしないと絶対にダメージを与えられない!」
やがて爆裂は止まり、濛々とした煙が晴れると…………
「グではぁあああああああぁぁぁっ!』
そこには両膝を突き大ダメージを負ったものの、未だ健在のアパーカレスの姿が!
げ、今のでも死なねーのかよ!?なんつー耐久力だ。
― フワッ
呆れる俺の傍から何かが駆け出した。
今度はシャロンか!
『バークさん、ごめんなさい!
シャロンは申し訳なさそうな顔でアパーカレスに……いやバークに一言謝ってから大ジャンプ!
そこから武闘家の気功波攻撃!
シャロンの手の平から闘気が放たれる!
― ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
『ムうううううおおおおおおおお!!!???』
シャロンの
アパーカレスの周りがクレーター化するほど猛圧をかけ押しつぶす!
シャロンのやつ、「ごめんなさい!」とか言いながら全く容赦ないぜ!
しかしアパーカレスはさらにダメージを負いながらも健在!
こいつの耐久力は底抜けか?
『こ、この程度の攻撃など屁でもないわ!』
何が屁でもないだよ、テメーもうフラフラじゃねーか!
「おいアパーカレス、誰が見てもテメーの敗北は一目瞭然だ。最後のチャンスだ、もう降伏しろ!降伏してバークを返せ!」
『我が人間に降伏など、世界が滅びても有り得ぬ!一目瞭然だと?そんなこと認められぬわ!』
仕方ねえ、降伏せず黒魔石も触らせねえのなら……もうアレしかねえな。
テメーを一旦殺す!
その上で黒魔石をはぎ取り、速攻で生き返らせてバークを助けてやるぜ!
「こおおおおおおおおおおおお……」
呼吸を整え力を練り上げ……
「食らえ、
雷撃系魔法剣技最大の奥義!
雷を纏った
― ガラガラガラ、ドッシャーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!
『ヌおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?』
激しいスパークとともに直接剣身がヤツの胴を割き、ついで雷斬波がゼロ距離で炸裂!
巨大な電気破裂も発生し、アパーカレスの周囲が濛々と煙につつまれる。
が、…………
「くそ、手ごたえが鈍い!」
アパーカレスは
だが腹部からはポタポタと血が流れだし、かなり重いダメージを負わせたのは間違いない。
アパーカレスはついに両の手を地につき、苦しそうに大きく肩で息をしている。
よし!
もう一撃、もう一撃でヤツは必ず倒れる!
『おのれ……竜化さえ出来ればこんな人間などに……』
怨嗟の目で睨むアパーカレス。
何があればこんな憎しみの目になるんだ?
いや、それより竜化だと?
やはりこいつはまだ完全じゃないんだ。
完全復活したのは精神だけ。強いことは強いがダンジョンで見たドラゴン形態にはまだ戻れないんだ。
なら、今この場で確実に仕留めないと!
今度は五人同時攻撃で確実に屠ってやるぜ!
『忌まわしい人間め……うっ?』
邪竜アパーカレスの表情が驚いた表情に変わった。。
刹那!
― ドッコオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
轟音とともに、俺達とアパーカレスの間にボロボロになった竜族の大男が墜ちてきた。
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