124 第四十三話 決戦!ケンツvsアパーカレス 07 【女戦】 


連休中に左手を負傷してしまい、執筆速度が落ちています。

リリース間隔が開き気味になりますが御理解の程どうぞ宜しくお願い致します。


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― ボシュウ……



『なっ……力が抜ける!?』



突然シャロンの力が抜けた。



『我と敵対すれば、当然我の力の傘から外れることとなる。まだサブドゴニュート亜竜人化は続いているようだが、もう思う通りの力は出まい』



しかしシャロンに慌てる様子は無い。


バークの、いやアパーカレスの力の傘から外れる事は、シャロンは当然想定済みだったようだ。



「シャロン、大丈夫か?それじゃ戦えねえだろう」


『大丈夫、少し力が抜けたくらい!』



いや、俺が心配しているのはそこじゃねえ。



「いやだって、おめえ胸がはだけちまってるし」


『え?…………む、胸を見られるくらい!』




シャロンはなんとか胸を隠そうと引き裂かれた武闘着を整えはしたが、どうしても方乳が隠しきれない。


俺は心配しながらもシャロンのオッパイをガン見した。


よかった…………


シャロンの程よく形の整ったオッパイは竜の鱗には浸食されていない。美乳のままだぜ!


て、いやいやそうじゃない。それじゃ戦いにくいだろうって話なんだが。



「シャロン、無理すんな。俺があいつら纏めてぶっとばし――――」



しかしシャロンは一瞬恥辱めいた顔をしたものの、キッと俺の方を睨んで言葉を被らせた。



『ケンツは女の子に手を上げるとか無理でしょ?キュイとキリスは私に任せて。ケンツはアパーカレスを!』



お、おう。シャロンがそう言うなら……


とりあえずオッパイの事には触れないことにするぜ。


でもなるべく隠してくれよ。



『およしよシャロン、さっき秒で私達にやられたのを忘れたの?』

『その上弱体化しちゃってさ。悪いけどシャロンに勝ち目などないわ』



キュイとキリスは悲しそうな顔をした。二人ともシャロンと戦う事を望んではいないのだ。


眷属化ってのは【勇者の魅了チャームアイ】ほどの絶対性は無いのかもしれないな。


ある程度の自我・自由意志はあるみてえだ。



「シャロンに勝ち目がないだぁ?果たしておまえらの思い通りに行くかな?」


『『どういう意味よ?』』


「言葉通りの意味だ。やってみりゃわかるぜ。それとアパーカレス、てめえの力は大体わかった。降参するなら今のうちだぜ!」


『人間がデカい口を……』



俺達は5人入り乱れた乱戦に突入!


しかし1分もしないうちに勝敗が見えてきた。



*



『はあああああああああああああああああああああああ!!!』



― ドゴッ!ベキッ!



『きゃああああああああああああああああああああああ!!!』

『あぶうううううううううううううううううううううう!!!』



シャロンはキュイとキリスを圧倒していた。



『な、なんで?さっきは秒殺したのに』

『全然動きが捉えられない!どうして!?』



キュイとキリスはついさっきシャロンを捕獲したときと違い、自分達がまるでシャロンに敵わない事に困惑していた。


弱体化したはずのシャロンだったが、実際はなぜか多少力が弱まった程度だった。



『思った以上に身体が動いてくれる。なぜ!?』



当の本人シャロンも戸惑っている。


ふふふ、皆驚いているな。


シャロンが弱体化しなかった理由――


それは俺が魔式身体強化をシャロンに掛けたからだ。


今のシャロンは2.75倍の身体強化をかけてある(今のシャロンにはその倍率が限界だ)。


だが、これだけではシャロンはまだキュイとキリスに敵わない。


だからさらにもう一つ味付けがあるんだぜ。



「それもう一丁、イビルデバフ邪竜の呪弱化!」



―ズオッ!!!!



俺の手の平から放たれる黒き波動!


それがキュイとキリスを包み込む!



― ガクンッ!



『やだ、また力が抜ける!?』

『こんな、こんなバカな!?』



そう。俺はさっきアパーカレスからパクった邪竜魔法、イビルデバフ邪竜の呪弱化をキュイとキリスに使っているのさ。


これのせいでキュイとキリスの実力は、一級下位クラスにまで落ちたようだ。



『おのれケンツ!そこをどけ!』



アパーカレスはキュイとキリスのピンチを救おうとするも、俺が「はいそうですか」と通す訳がねえ。



「やだね、テメーの相手はシャロンじゃねえ、この俺だぜ!」


『どかねば死あるのみだ、ケンツ!』


「何言ってやがる、とっくに殺す気のクセに!おら、テメーにも食らわせてやる。イビルデバフ邪竜の呪弱化!」



―ズオッ!!!!



『ぐおおおお、力が抜ける……おのれ小癪な人間めぇ!』



おおお、ちゃんと効いてるぜ。


さすが邪竜魔法、元の術者にも容赦なしだぜ!


俺はイビルデバフ邪竜の呪弱化を数回放ちアパーカレスを限界まで弱体させた。

イビルデバフ邪竜の呪弱化には下限?上限?があるようで、ある程度敵を弱体化させると後はいくらかけても効果は止まるようだ)



― ガンッ!ガンッ!ガキンッ!



『グおおおお、押される!我がこんな人間ごときに!』


「ふははははは!アパーカレス、テメーはもうおしまいだぁ!うりゃ!うりゃ!うりゃああ!」



アパーカレスはもう戦いの体にはなっておらず、ただ必死で胸の黒魔石を庇うのみだ。



「いける!いけるぜ!なんだよ、バンバラから授かった対邪竜魔法・・・・・を使うまでも無く勝っちまうぜ!」



バンバラに誑かされて500年前に逆行したとき、無限魔法貯蔵ソーサリーストックにいくつか対邪竜魔法が仕込まれていたが、どうやら活躍の場はないようだ。


まあ使わないに越したことは無いぜ。


なんせ使えばバークが死ぬかもしれねぇからな。




*




『やあっ!とうっ!』



― ビシッ!バシッ!



『ぐっ……』

『うぐっ……』



シャロンの拳と脚が舞い、その度にキュイとキリスがダメージを負う。


アパーカレスの介入を阻止されたキュイとキリスは、シャロンの猛攻に対してされるがままだった。


二人は、サブドラゴニュート化しているおかげで打撃に対する耐久性があがり、辛うじて耐えてはいるものの、もはや敗色濃厚だ。



『このままじゃジリ貧だわ。キリス、時間を稼ぐからなんでもいいから大技を放って!』

『わかった、バークへの想いをこんな所で終わらせないんだから!そして勝ってシャロンも家族に!』



キュイが戦斧を振り回しながら前に出て牽制!


その間にキリスが魔力を最大に練り込める!



― ゴゴゴゴゴ……



『キュイ、いつでも撃てるわ!』

『了解!』



キュイが飛びのくと同時にキリスは両の手に魔力を集中させ放出!



インデンデアリー焼夷爆炎!』



― ズゴウッ!ボゴワアアアアッ!!



「 !? 」



まるで焼夷弾ナパームの炸裂!


一瞬にしてシャロンの周りが激しい炎に包まれた!



『どう、これならシャロンに逃げ場はないわ!アタイの勝ちね!』


『それはどうかしら』



しかしシャロンは全く怯んでいない!



『爆裂拳!』



― ドゴッ!



シャロンは慌てることなく地面に向かって渾身の一撃!


その瞬間に地面が広範囲に崩壊し、衝撃波とともに激しく燃え盛る炎は消滅した!



『うそ!?』



まさかこのクラスの魔法を武闘家が阻止できるとは思いもせず、キリスは狼狽の色を浮かべた。


しかしキリス渾身のインデンデアリー焼夷爆炎はオトリだった!


驚愕するキリスをよそに、今度はキュイの戦斧がシャロンを襲う!



邪竜怒号じゃりゅうどごう殲滅破せんめつは!』



― ドッパアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!



ジャンプ一番!


地上8メートルは飛んだだろうか。シャロンの直上より巨大な戦斧が振るわれ、十分に魔力を込めた殲滅の爆斧波が広範囲に広がった!


しかしシャロンは眉一つ動かさない。



『キュイ、戦斧使いのジャンプ攻撃は剣士とは比較にならない破壊力だけど、仕留め損なえば敗北必至よ!』



地表へのインパクトタイミングを読んでシャロンもまたジャンプ!


そのシャロンの背後から、キュイの放った爆斧波による地表猛爆の反動衝撃波が襲う!


しかしシャロンはその衝撃波を避けることなく背面で受け、逆に急速落下中のキュイへと急加速!



『つえええええええええええええええい!!!!』


『や、やられる!』



戦斧などという超重量物を持っていては、空中での落下中の姿勢制御は難しい。


そんな避ける事もままならない状態のキュイに対して、容赦ないシャロンのボディブローが炸裂!



― ズムッ!



鈍い音がしてキュイの右脇腹にシャロンの拳がめり込む!



『ぐふぅっ!』



そして空中での強烈な回し蹴り!



― ドカッ!



『きゃああああああ!』

『ひっ!』



― ドッコーンッ!



シャロンの一撃でキュイはそのまま地表のキリスに激突!


そして二人はそのまま動かなくなった。


シャロンvsキュイ・キリスの勝負は、シャロンに軍配が上がった!

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