106 第三十九話 シャロンのアザ/バロンとブルーノの末路1(22/04/20改稿)



◆高級ホテルの一室


Side女性陣


ケンツ達と別れた後、シャロン達女性陣はお高いホテルのエグゼブティブスイートルームに泊まっていた。


懸念された魅了の後遺症も、掛けられて時間も短く性的にドギツイことには至らなかったので、シャロン、それにキリスとキュイも特に心配する事は無さそうだ。


それでも癒しは必要なわけで、アリサ、アカリ、ミヤビは一肌ならぬ人肌を脱ぐことにした。



「あのー、皆さん。何故にそんなにくっ付いておられるのでしょう……?」

「私達にはソッチの気は無いです!」

「ミヤビさま!脚を絡ませないで!」



特大のベッドの上で一塊になって蠢く乙女達。


シャロン・キリス・キュイは体をよじらせて脱出を試みる!


しかし二人の聖女と一人の現人神はガッチリと身体を絡ませ離さない!



「シャロンさん、魅了の傷を早く癒さないと!」

「私だって百合属性は無いわ。でも添寝は究極の癒しなの!だからガマンしてね」

「やはり若い女子おなごの肌はいいですねぇ……すりすりすり」



アリサとアカリは真面目に癒そうとしているが、ミヤビは確実に趣味に走っているようだ。



「ふひひひ……聖女二人と現人神一人を交えるなんて、なんと豪華な添寝なのでしょう!」


「ミヤビ様、添寝というより肉布団状態なのですが……」

「うう、全然癒される気がしない……」

「むしろゾワゾワと悪寒が……」



シャロン、キリス、キュイに同性愛の趣味は無い。


同性の素肌にピチョリと張り付かれても嬉しくもなんともない。むしろ悪寒が走る。



「おかしいなぁ、聖女と添寝して癒されないわけが……ん?」



アリサは体位を変えて、シャロンの後ろからガバチョと抱き着いた。


その時シャロンのウナジに妙なアザを見つけた。



「あれ、ここに小さなアザがありますね?」


「アザですか?そんなところにアザだなんて……目立ちますか?」


「小さいアザだし、髪の毛に隠れているから全然目立ちはしませんけど……でもこれ、アザというより紋章のような?」


「紋章?どれ、私にも見せて下さいな」



シャロンのウナジに……じゃなくてアザに興味を持ったミヤビ。


エロ中年オヤジのような表情が、ウナジのアザを見た途端に真面目な表情に変わった。



「これ、邪竜の紋章と似ているような……でも妙な魔力とかは感じられないし、やはりただのアザかしら?」


「邪竜の紋章?そういえば紋章に見えない事も……」


「どれどれ?」

「見せて見せて!」



ワラワラとアカリ、キリス、キュイもシャロンのウナジに近づいて、マジマジとアザを観察する。



「あひゅっ!あんまり近づかないで!息がかかってゾワゾワしちゃう!」


「うーん、やっぱりアザじゃないの?」

「小さくて隠れた場所だし、気にすることもないんじゃない?」



キリスとキュイの目には何の変哲の無い小さなアザにしか写らず、大して心配はしていないようだ。



「これが紋章だとしたらどうなるんです?」



アリサはミヤビに訊いた。



「紋章を持つ者は、それすなわち邪竜アパーカレスの眷属ということです。紋章が強く発動すれば、将来的にアパーカレスの妻とか執事とか妾とかそんなポジションに……」


「え、それシャレになっていない……」



それを聞いたシャロンの表情が曇る。


ようやく召喚勇者から解放されたのに、すぐまた邪竜アパーカレスの眷属とか洒落にならない。



「本当に紋章ならえらい事だけど、ちょっと判断できませんね。だいたいシャロンさんはアパーカレスと如何わしい行為とかしてないでしょ?でも本当に紋章なら邪竜封じのアイテムで防がないと……」


「邪竜封じのアイテム?私、竜族の魔法や呪術を封じる宝珠を持っていますよ!これでどうですか?」



アリサはベッドから出て、自分のポーチをガサゴソとさぐった。



「あった、これです。政都の大使館員さんに頂いた品ですけど使えますか?」



アリサから宝珠を受け取り、ミヤビはそれを調べた。



「どれどれ……これなら大丈夫じゃないかな。というか、かなり上質な逸品ですよこれ!シャロンさん、アザが消えるまではこの宝珠を肌身離さず身に付けて下さいね」



ミヤビから宝珠を手渡され、シャロンは安心した。



「ありがとうございます!これで安心できます!」



シャロンは宝珠を受け取りミヤビとアリサにお礼を言った。





「さあそれじゃ、添寝の続きをしましょうか。」

「あなた達には癒しが必要よ。さあ私達に身を任せて」

「今夜一晩で嫌な事など全て忘れさせてあげる……じゅるり」



「「「 ひいいいいいいいい!!! 」」」



別に性的にエロやらしい事をしようというわけではない。


純粋に癒しとしての添寝をするだけだ。


アリサも、実はアカリも魅了被害者。


そしてミヤビは魅了を掛ける側だ。


三人とも魅了の恐ろしさを十分知っているだけに、必死にシャロン達を救済しようとしているのだ。


ただそれだけなのだ。


(もっとも魅了が絡む案件となると、アリサとアカリは後遺症のせいなのか思考が斜め上になってしまうのは否めない)



Lu~~La~~♪


Χαρίζει την απόλυτη θεραπεία.Έλα, δεχτείτε μας. ~♪

(さあ、私達を受け入れなさい。究極の癒しを与えましょう~♪)


Lu~~Lu~~♪



中々添寝を受け入れないシャロン達に業を煮やし、アリサとアカリは聖女の唄セイントボイスを奏ではじめ、ミヤビは指をワキワキ催眠効果を発しながら三人に迫った。


強烈な聖気と神気の癒しに飲み込まれるシャロン、キュイ、キリス!



「い、いや!私にはケンツが!ケンツがぁぁぁ!」

「やめて!堕ちる!癒しに堕ちちゃうよぉぉ!」

「許して!こんなのいやぁ!助けてバーク!バークぅ!! はうぅぅぅ……」



その夜、六人は仲良く癒しの深淵へと堕ちて行ったのだった。







Sideシャロン



「はっ!?」



私はガバっと目を覚ました。


心臓が早鐘の如く痛い程に打ち続けている。


そして辺りを見回した。


隣のベッドではアリサさんとアカリさんがスース―と寝息を立てて熟睡している。


床にはラミア形態のミヤビさんに巻きつかれたキュイとキリスが眉間にしわを寄せて眠っていた。


時々呻き声を上げているところから、どうやら悪夢を見ているようだ。


そして私は一人でベッド寝かされていた。



「な、なんだ夢だったのね。あービックリした。癒されるどころか寝汗を掻いちゃったわ」



ここはお高いホテルのエグゼブティブスイートルームではなく、少し高めのツインルーム。


今までの強制癒しは全て夢だったのだ。



「そりゃそうよね。あんなふしだらな事なんてするわけないもの」



私は寝汗を落そうとシャワーを浴びに……



― シャアアアアアアア……



「ふぅ、気持ちいい」



夢の中で癒しに襲われるよりも、流れるお湯の方が何倍も落ち着くわ。


でも酷い夢だったなぁ……



「こんなもの見つけたから変な夢を見ちゃったのかなぁ……」



浴室の鏡に向かい、髪をたくし上げ、ウナジを確認する。


そこには邪竜の紋章に似ていると注意された小さな痣がクッキリと……



「痣よね?痣じゃ無かったとしても宝珠を頂いたし、きっと平気よ」



痣と宝珠の件は、着替えている最中たまたまアリサさんが見つけてくれた。


ミヤビさんは邪竜の紋章と似ていると首を捻り、アリサさんは念のためと言って、竜族の呪術を無効化する宝珠を渡してくれた。


これで何も問題は無いはずだ。



「ふぅ、散々な目にあったなぁ……でもケンツが無事で良かった、本当に良かったわ……」



人生で一二を争う酷い日だった。


ケンツは死にはしたけど、アリサさんのおかげで一命を取り留めた。そして私も。



「アリサさん、皆さん、感謝しています。本当にありがとう……」



シャワーから出て、アリサさんをはじめ一人一人に「ありがとう」と言って回った。


ケンツはもちろん、誰もが私を助けるために必死で動いてくれたんだ。


いくら感謝しても感謝しきれない。



でも、許せないのはバロンさんとブルーノさんだ。


まさかあの二人が絡んでいたなんて……


でも今はケンツにとって一分一秒と無駄に出来ない大事な時。



「今回ばかりは許せないわ。バークさんとの勝負が終わったら、改めてケンツと問い詰めに行こう」



今すぐバロンさんとブルーノさんに問い詰めに行きたい気持ちを押さえ、私は再び眠りについた。







*





◆同時間 冒険者ギルドの一室



Sideバロン&ブルーノ



「というわけで、俺達は敢えて召喚勇者パーティーに潜入していたんだ」

「ひどい目に合わされたシャロンさんには申し訳なかったが、リットールを救うためだったんだぜ」



バロンとブルーノは、先手を打って冒険者ギルドに嘘と真実を混ぜて報告していた。



「へー、そうなんだ。でもそんな事で営業時間外に突撃しないでくれる?」



夜間当直の受付嬢ベラは、面倒くさそうに言った。



「そういうなベラ。これも仕事のうちだろう?」



ベラの横では、現ギルド長のゲパルトが、禿げた頭をボリボリ掻きながら迷惑そうな顔で二人を睨んだ。



「(おい、なんでギルド長が戻ってきてやがるんだ?)」

「(ヤバイぞ、とにかく早く話を切り上げて、長期クエスト受けてズラかろうぜ)」



このゲパルト、元は副ギルド長だったのだが、前ギルド長がケンツの降格事件後少ししてから突然退いたため、それに伴い昇格している。


ゲパルドは、副ギルド長時代から何かと他の支部への出張が多く、ギルド長に昇格してからも暫くは出張の日々を送っていた。


だがギルド主催の武闘会が近い事もあって、この日戻って来たばかりだった。



「おまえ達のいう事は俄には信じられん話だが、職員数人に現調させたところ、確かに召喚者と冒険者の争いがあったことは確認された」


「だろう?俺達は嘘は言ってねえぜ」

「それじゃ俺達はこのまま長期の仕事を受けて失礼させて貰うぜ」


「まあまて。これから俺はテラリューム教会と国家保安委員会に確認に行く。それまで大人しく待っていろ」


「じゃあ確認が取れたら俺達は自由の身なんだな!」

「よっしゃ、勝ったぜ!」



喜ぶバロンとブルーノだが、ゲパルトは首を横に振った。



「おまえら、安心するのはまだ早いぞ。シャロン誘拐事件最大の被害者、シャロンからの聞き取り無しで終わるわけないだろう」


「なんだって?」

「そんなバカな!」


「いや、そんな驚くなよ。当然の事だろう?うちは警察じゃないんだし、召喚者達の悪行云々は本来どうでもいいんだ。だが、冒険者が反社会的活動をしたり、冒険者同士で行き過ぎた傷つけ合いがあった場合は介入・調査をする。今回はうちの冒険者が巻き込まれ被害が出たからな。早い話、この案件は最大の被害者シャロン次第ってところだ。じゃあベラ、行ってくるから後の事は任せたぞ」



そう言ってゲパルトはギルドから出て行った。



「おいおい、これってヤバく無いか?」

「シャロンはどれくらい真実を知っているんだろう……」


先手を打ってテラリューム協会に駆け込み、国家保安委員会に協力したまでは良かったが、シャロン次第でどう転ぶか分からない事を告げられ、バロンとブルーノは顔色を青くした。



「アンタ達、いったい何をやったのよ。正直に言ってごらん?」


「「実はな……」」



バロンとブルーノは、今度は真実を話した。



「アンタ達、確実に終わったわね」


「言い切るなよ、まだ終わってないぜ!」

「そもそもシャロンは俺達の存在は知らないはずなんだ。だからどうにでもなるはず」


「甘いわね、シャロンだけが調書を受けるワケないでしょ。ケンツとバークも当然一緒ね。シャロンから訴えがあった時点でアンタ達は終わりよ」


「終わりって、どうなるんだ?」

「し、死刑とかないよな?」


「聞いた話じゃ最終的に冒険者側は誰も死ななかったし、死刑は無いわよ。そもそもギルドに死刑する権限なんてないし。そうね、シャロンから訴えがあったら査問委員会を開くわ。そこで有罪となれば冒険者資格剥奪もしくは降格ね」


「冒険者資格剥奪か降格!?俺達かつてのケンツみたいにド底辺行きかよ!」

「じゃあシャロンから訴えが無かったら?」


「査問委員会は開かれないわ。いくつか尋問されたあと解放ね。でも場合によっては更生プログラムを受けるかも」


「更生プログラム!?」

「あの地獄の奉仕活動!?」


更生プログラム……


それは法的に処罰できない不良冒険者に課せられるもの。


高難易度クエストを無償で強いられるなど、命がいくつあっても足らない案件を幾つも課せられボロボロにされる。


その上更生プログラムが全て終わるまでは冒険者として扱ってはもらえない為、他の冒険者からの風当たりは非常に厳しく、時にはイジメの対象にされることもある。



「頼むベラ、なんとかしてくれ!」

「なんとか穏便に済むよう取り計らってくれよ!」



しかしベラは面倒臭そうな顔をしながら手をフリフリした。



「一介の受付嬢にそんな事できるわけないでしょ。もう運を天に任せないな」


「そんな事言うなよ!おまえなら出来るだろ!?」

「俺達三人で愛し合った仲じゃねーか!」


「愛し合った?さあて、何の事やら。それじゃ私は夜食を食べて来るから。アンタ達は夜食の代わりに残り少ない冒険者としての時間でも噛みしめてなさいな♪」


「そんなぁ!」

「待ってくれ、ベラ!ベラーーーー!」



ベラは踵を返し無情にも部屋から出て行った。





◆翌朝




「なんで俺達が拘束されなきゃならないんだ!」

「俺達は召喚勇者から街を救おうとした功労者だぜ!」



冒険者ギルドの一室で、バロンとブルーノはギルド長とケイトに食って掛かった!


ベラの姿はすでにない。


夜勤が明けた後、早々に帰ってしまったようだ。



「たしかにおまえ達はテラリューム系教会に駆け込み、街を結界で守るよう頼み込んだ。連邦国家保安委員会に協力して召喚勇者達の所まで案内したことも裏は取れた。だがしかし、独自に集めた情報によると、元をただせばおまえ達が召喚勇者にケンツ暗殺を頼んだそうじゃないか。おまえ達、召喚勇者とはツーカーの仲だったんだろう?」


「頼んだ!?そりゃ違うぜ、俺達がケンツにボコられたことを話したら、勝手に敵討ちを買って出たんだ!」

「俺達は止めたんだぜ!だけど言う事を聞かなかったんだ!」


「シャロンを魅了堕ちさせて奴隷化しようとしたとも聞いているが?」


「そりゃ召喚勇者達が勝手にやったことだ!」

「俺達はシャロンのことが好きなんだぜ!そんなこと有り得ねえ!スキを見て助けようと思ったくらいだ!」 


「さあ、どうかな」



ゲパルトは元々冒険者上がりのギルド長だ。


かつてはクランを率いていたこともあり、人を見る目はある。


もちろん嘘を見抜く事も朝飯前だ。


バロンとブルーノの話を聞いて、ゲパルトは嘘と誠を巧みに混ぜて話していると感じた。



「ふん、召喚勇者が敵討ちを買って出たというのは本当らしいが……だが他は全て嘘だな。おまえ達の事だ、ついでにバークの抹殺も頼んだんじゃないか?」


「「 ドキッ! 」」


「図星か?」


「な、な、な、何の事だか」

「い、い、い、言っている意味がわからないぜ」




目を泳がせる挙動不審なバロンとブルーノ。



「まあいい。この後一時間ほど尋問したのちおまえ達は解放だ。どういうわけか最大の被害者であるシャロンが許してやってほしいと願いがあったからな」


「シャロンが!?」

「マジか!!」



ゲパルトの言葉に二人はグッと拳を握りしめた。



「(よっしゃ、勝った!)」

「(これで俺達はお咎めなしだぜ!)」


「じゃあケイト、尋問係を部屋に入れてくれ」



ケイトは言われるがまま隣室で待機していた尋問係達を招き入れた。


その顔を見た瞬間、喜んでいたバロンとブルーノの表情が凍りつく。


その尋問係とは……



「よお!」

「バロン!ブルーノ!」


「ケンツ!?それにバーク!?」

「まさかおまえ達が尋問係!?」




そのまさかのケンツとバークだった。



「ぐっふっふっ……まさかテメーらを公的にボコれるなんてなぁ。どうせ吐いたりしないんだろう?なら時間一杯たっぷり可愛がってやるぜ!」


「ケンツさん、それは甘い!僕はどんな方法を使ってでも口を割らしてみせる!おまえ達、覚悟するがいい!」



ケンツはニチャアと悪魔の様な笑みを浮かべ、バークは阿修羅のごとく怒りを露にした。



「ケンツ、バーク、一応事情聴取だからな?制限時間は一時間だ」


「わかってるぜ!」

「承知してます」


「じゃあバロン、ブルーノ、たっぷり可愛がって貰え。教会と保安委員会の証言があるから厳しい処分は無いが、それでも暫くは更生プログラムをこなして貰うからそのツモリで。ケイト、ここは二人に任せて部屋を出るぞ。俺達は邪魔だ」


「はい」


「ふ、更生プログラム!?やっぱりあるのかよ!!!」

「待って!行かないでくれええええ!!!!」



バロンとブルーノは去り行こうとするケイトに縋ろうすがろうとした!


しかしケイトは、凍えるような冷たい目でバロンとブルーノを一瞥してから、ゲパルトとともに部屋を出た。



「ケケケ、ケンツさん、すみませんでした!」

「バババ、バーク君、僕達冒険者仲間じゃないか!許してくれ!」



バロンは一年ぶりにケンツに敬語を使い、ブルーノはバークに慈悲を乞う。


だが、そんなものはもちろん一蹴だ。



「無抵抗な者をボコるのは趣味じゃねえが、何故か今だけはボコりたくて仕方ねえ♪」

「許せだと?諸悪の根源が何を……おまえ達のせいでシャロンさんは一度死んだんだぞ!」



語尾に“♪”が着いて笑みを浮かべてはいるものの、ケンツの目は全く笑っていない。


それどころか、目が合うだけで絶殺ぜっさつされそうなほどの殺気が漲っている。


裏表のない性格のバークにいたっては、怒りを露にした怒髪天状態だ。



― シュゴゴゴゴゴゴゴォォォ……



ケンツとバークは濃密なドス黒いオーラを爆噴!



「「 ひっ!! 」」



その迫力に気圧けおされたバロンとブルーノは短い悲鳴を上げて縮こまる。


そしていよいよ尋問を開始。



「シャロンに感謝するんだな!あんな目に遭ったのに、シャロンはおまえらの更生を望んだ・・・・・んだぞ!」

「しかもシャロンさんから『絶対に殺さないで・・・・・・・・』とまで言われている。何でこんな奴らを……シャロンさんは優しすぎる!」



― バキッ!ドキャッ!メキョッ!



「いぎゃああああああああああああああああ!!!!」

「えぼおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



その後、一時間に渡りバロンとブルーノの断末魔のような絶叫が、冒険者ギルドの一室から延々と響き続けたのであった。






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なぜ、シャロンはバロンとブルーノを許したのか?


奇妙な違和感を残しつつ、バロンとブルーノの話は、第一章終了後の幕間に続きます。


7月18日公開

幕間 140 第49話 バロンとブルーノ、そしてベラ 01

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