104 第三十八話 悩めるバークと召喚勇者の末路 04
Side 召喚勇者達 バロン&ブルーノ ???
「テメーらのせいで酷い目にあったじゃねーか!」
「すんませんでした!」
「まさかアニキ達が負けるなんて思いませんでした!」
再開発エリアにて、ブルーノとバロンは激昂するユキマサを始めとして召喚者達に囲まれ正座させられていた。
「俺達が負けただぁ!?」
「あ、いえ違いました!」
「負けていません!向うが勝手に勝ったツモリでいるだけです!」
「おう、それでいいんだ。言葉には気を付けろ!それでこの落とし前をどう付けるんだ?」
ユキマサは激しい怒りの捌け口に、バロンとブルーノに当たり散らした!
「(おいおい、冗談じゃないぞ。別に俺達が頼んだワケじゃねーだろ)」
「(あんたが勝手に買って出たんじゃねーか。今更俺達のせいにするのかよ!)」
落とし前を付けろと言われても、ブルーノとバロンにはどうする事も出来ない。
召喚勇者をフルボッコにするような
「(くっそー!まさかケンツが召喚勇者を負かすほど強かったとは!)」
「(信じられねーぜ。そりゃ俺達ではどうやっても勝てねーわけだ!)」
「いつまで黙ってやがる。何とか言えや!」
「なんで俺達が痛い目に合わされたうえ、呪いまで掛けられなきゃならんのだ」
「
ユキマサは相変わらず当たり散らし、タケヒサとショーゴは頭に寄生された
しかしここでバロンとブルーノに以外な反応が。
どうやら二人は
「
「たしかラミア族特有の呪術ですよね?」
「おう?知っているのか」
「はい、知っています!」
「解呪方法もわかります!」
「なんだと!?」
「本当か!?」
「で、どうやるんだ?」
解除方法があると聞いて、ユキマサ、タケヒサ、ショーゴは身を乗り出した。
「はい、術者を殺せば解呪できます!」
「なので、あのミヤビという蛇女を……」
「バカ野郎!殺そうとした瞬間に
「俺達のドタマの中が蛇に食い荒らされるだろ!」
「もういい。こいつら殺してストレス発散しようぜ」
話にならないとばかりに、ユキマサ達三人の召喚勇者は抜剣した。
「ま、待ってください!」
「それがそうでもないんです!」
「あん?何がだよ」
「
「呪術が発動する前にミヤビを殺せば大丈夫なんですよ!」
「なに、そうなのか!?」
「はい、間違いありません!」
「それにミヤビから離れて攻撃すれば、比例して呪術の発動も遅くなります!」
「おおっ!?」
「ならミヤビが一人の時を狙って瞬殺すれば……」
「いや、それよりもっと良い方法があるぜ。遠方から俺達の最大魔力の奥義でこの街ごと消滅させてやるのさ。そうすりゃミヤビだけでなく、あのクソ忌々しいケンツやバークもろとも屠れるぜ!」
我ながら名案を思い付いたとユキマサはほくほく顔で喜んだ。
もっともその目は狂気が宿っていたが。
だが、それを聞いてバロンとブルーノの顔色がサッと青ざめた。
「あの、まさかとは思いますがこのリットールの街を消滅させるんじゃないですよね?」
「
「はぁ?そんな訳ないだろう」
「こんな気の悪い街などもう知ったことか!」
「俺達のかっこ悪い噂が流れる前に全て消し去ってくれる!だがおまえ達は見逃してやるぜ。とっとと町の外に消えやがれ」
「「ひいいいいいいいいいいい!!!!」」
バロンとブルーノは一目散にその場から逃げ去った。
直後!
「ぎゃあああああああ!!!」
「ぐべえええええええ!!!」
「わぎゃんんんんんん!!!」
「ぐびゃああああああ!!!」
「あびゅわしいいいい!!!」
「るっきゃあああああ!!!」
仲間の召喚者達の悲鳴が轟いた!
「なんだ!?」
「どうした!?」
「なっ!?だ、誰だてめえ!!」
三人の召喚勇者が驚いて振り向けば、そこには青黒い
「テメーは……もしかしてバークか!?」
「バークだと!?」
「バカな、全然姿が違うじゃねーか!」
ショーゴはバークとのファーストコンタクトにて敗退したとき、薄れゆく意識の中でバークが変貌していく様を見ていた。
だがそれは、ショーゴ自身も記憶が曖昧だったこともあり夢か幻だと思っていた。
だがそうでは無かった。
目の前の黒き大男は確かにバーク(邪)なのだ!
「本当にバークなのか!」
「他には誰も居ないようだな。テメー一人か」
「バカな野郎だ。三対一なら余裕で倒せるぜ!」
しかしバーク(邪)は鼻で笑った。
『500年経ってなお、召喚勇者の頭の悪さは何もかわっておらぬな。
「はっ!?」
「そうだった!!」
「俺達には手が出せねえ!!!」
圧倒的不利な状況に気付き、召喚勇者達の顔色がサーッと変わる!
『心配するな、命までは取らん。だが
― ドスゥ!
ショーゴの鳩尾に深々とバーク(邪)の拳が突き刺さった!
「おぐっ!?」
― ドサッ……ビクッ……ビクンビクン……
地面に崩れ落ちるショーゴ!
「て、テメーいったい何を!うぶっ!?」
「何をする!やめ……あぼっ!?」
―ギュリリリリリリィィィ グイッ!
バーク(邪)はユキマサとタケヒサの顔面を鷲掴みにして持ち上げた。
地に足が付かず、足をバタバタさせる二人の勇者!
そして――
― ズキュン、ズキュン、ズキュン、ズキュン、ズキュン……
召喚勇者特有の膨大な魔力を手の平から吸収する!
― オオオオオオオオオォォォォォォ
すると、まるで邪竜復活を喜ぶかのように、バーク(邪)の胸に埋め込まれた黒魔石が“オオオオオ”と不気味なうなりを上げた。
「うう…………」
「ぐう…………」
全く抵抗する事も叶わない。
急激に大量の魔力を吸われ、ユキマサとタケヒサの意識が遠のき、やがて気を失い沈黙する。
― ドサドサ……
バーク(邪)は、満面の笑みを浮かべ、ユキマサとタケヒサの顔から手を離した。
『いいぞ、復活の起爆剤となる聖属の魔力は十分頂いた。後はバーク自らの意思で我に肉体を譲るか、聖女達の魔力を喰えさえすれば完全復活できる!フハハハハハ!!!』
バーク(邪)は、満足そうな笑みを浮かべて悠々とその場から離れて行った。
「うう、おまえら大丈夫か?」
「なんとか生きているぜ……」
「あの野郎、今すぐ殺してやる!」
ユキマサ、タケヒサ、ショーゴは大したケガも無く無事だった。
仲間の召喚者達も首を振りながら起き上がった。
どうやら全員無事なようだ。
そしてユキマサ達は沸々と怒りがこみあげて来る。
今日一日で召喚勇者達のプライドはズタズタだ。
このままでは留飲が下がるわけもない。
「よーし、やるか!」
「ああ、ここまでコケにされて黙ってられるかよ!」
「ぶっ殺してやる……ぶっ殺してやる……ぶっ殺してやる……」
三人は顔を見合わせ頷く。
そしてリットール中心に身体を向けて全身に魔力を込め始めた。
だがその時、またしても別の誰かが現れる!
「おまえ達、誰をぶっ殺すって!?」
「「「 !? 」」」
三人の召喚勇者はまたしても驚いて振り返った。
*
Sideケンツ
「おまえ達、誰をぶっ殺すって!?」
俺が来た時、召喚勇者達は明らかに何かを始める直前だった。
だがこの後に及んで何をするつもりだ?
「ちっ、今度はケンツか!」
「次から次へと邪魔が入りやがって!」
「とりあえず、テメーは一番最後に殺してやる。おまえら、時間を稼げ!」
「「「おうっ!」」」
「「「まかせとけ!」」」
剣、戦斧、ロッド、
召喚達はそれぞれの獲物を振りかざした。
やはりな、こいつ等に約束事など無意味だったか。
おそらくミヤビの掛けた
「何をするツモリかわからねーが……そのケンカ買ったぜ! 縮地!」
― バシュッ!
「「「消えた!?」」」
「「「どこだ!?」」」
勇者でない召喚者などもはや恐れる対象ではないぜ!
身体強化不要、縮地だけで十分だ!
抜剣して瞬殺してくれる!
― ガンッ! ガンッ! ガツッ! ガツッ! ガキッ! ガキッ!
「「「うぎゃっ!?」」」
「「「めごっ!?」」」
召喚者全員、渾身の一撃を浴びアッサリとその場に崩れ落ちた。
シャロンの脅威になりそうな輩は徹底的に排除あるのみ!
さあ、残りはユキマサ、タケヒサ、ショーゴ、おまえ達だけだぜ!
そう思い、奴らの方を見ると……
なんだ?
なにを勝ち誇ったような笑みを浮かべてやがる??
いったい何をするつもりだ???
「ふははは!ケンツ君、残念だったな」
「おまえの大切な宝物は今この瞬間に失われる」
「現地人の猿のクセにおイタが過ぎたんだよ!」
「一体何を……むおっ!?」
奴らの聖剣から尋常ではないプレッシャーを感じるぜ!
はっ、まさかこいつら!?
「まさかこいつら街ごと全て消滅させる気か!?」
「後悔してももう遅い!」
「ふはははは、全て滅びてしまえ!」
「勇者の真の力をその目に焼き付けろ!」
「「「
― ドッギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
召喚勇者の気合と魔力を全乗せした斬撃が、リットールの街・中央に向かって放たれた!
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