086 第三十五話 デス オブ シャロン・ケンツ 01
Sideケンツ(前々話の続きから)
「
― ボンッ!
「なっ!?」
シャロンの手の平から気功弾が放たれ直撃!
無防備かつカウンターになったこともあり、俺は見事に弾き飛ばされた。
「うぐぐ……そんな、シャロン!」
しかしシャロンが俺に向ける目は、またしても敵意に満ちたものに変わっている。
シャロンは再び魅了されてしまった。
「いぢぢぢぢぢ……滅多にお目にかかれない上玉の女、そう易々と手放すかよ!それより、よくも俺の大切な歯を折りやがったな!てめえは死刑確定だ!」
口からダラダラと血を流しながら、カンカンに怒るユキマサ!
「くそ!シャロンを戻せ!シャロン、戻って来い!」
― ぷいっ
しかしシャロンは俺にソッポを向き、口から血を流すユキマサを心配する。
「ユキマサ様、大丈夫ですか?ケンツ、よくも……私が必ず引導を渡してやる!」
鬼の形相で睨むシャロン。
駄目か、駄目なのか。
やはりシャロンにも手を上げなきゃだめなのか。
シャロン!
しかし、意外にもユキマサはシャロンを下がらせた。
どうやら本気で俺を殺す気になった以上、もはやシャロンにチョロチョロされるのは邪魔なだけらしい。
「ふぅ、不自然な姿勢からの
「はい……」
一緒に戦わして貰えずしょげるシャロン。
「そんな顔をするな、トドメは譲ってやるぜ」
「はい!」
シャロンの顔がパァッ!と明るくなった。
ユキマサの野郎、ホントに陰湿なやつだぜ。
シャロンにトドメを刺させるだぁ?
そんなシャロンが病むような事、絶対にさせるかよ!
それに、そううまく行くと思うなよ?
シャロンが前に出て来ないのなら、メンタルが削られる事はねぇ。
激痛は癒え、動揺もどうにか落ち着いたぜ。
たとえ死んだとしても、テメーら何人かは道連れにしてやるぜ!
「こぉぉぉぉぉぉ……
― バシュッ!
俺の姿が瞬時にして召喚勇者達の視界から消える!
「また消えたぞ!?」
「どこだ!?」
「なんだ、どこにも見えねえぞ!」
「
大ジャンプ一番!
アリサ由来の雷撃魔法、
―
「くそ、真上だ!」
「直撃する!」
「耐えろ!」
― カッ! ガラガラ!ドッシャアアアアアアアアアン!
「ぐぅっ!」
「ぬぅっ!」
「むおっ!」
直撃!
しかし召喚勇者達はダメージを負ったものの健在だ!
「ちっ、あれを耐えるとは流石勇者と言ったところだぜ!」
「野郎、魔法剣士のクセに雷撃魔法を使えるのか!」
「舐めたマネしやがって!」
「お返しだ、
― カッ!バリバリバリ、ゴッシャアアアアアン!
今度は召喚勇者ショーゴから、着地の瞬間を狙って勇者の雷撃魔法、
こんなもん食らえば、普通に人間なら一瞬で全身電気破裂を起こして木端微塵になっちまう!
「イエース、直撃だぜ!」
「消し飛べ、バーカ!」
「俺達相手に空中からの攻撃なんて舐めたマネしやがって!」
しかし、次の瞬間やつらは信じられないものを見る!
― シュルシュルシュル……ポン♪
ショーゴが放った
「げ!?」
「なんだそりゃ!?」
「もう一回、今度は全員で斉射だ!」
「「「
― カッ!バリバリバリ、ガラゴロッシャアアアアアン!
勇者三人よる広範囲殲滅雷撃魔法!
それを一点集中させ俺に放ちやがった!
おいおい、冗談じゃ無いぜ!
オーバーキルもいいところだろう!
三人分の
ま、どんな魔法でも同じことだけどな。
― シュルシュルシュル……ポン♪
勇者の放つ雷は、直撃する直前、全て俺に吸収された。
「また消えた!?」
「なぜだ!?」
「どういうことだ!?」
召喚勇者最大の殲滅魔法、
「ユキマサ様、魔法はダメです!いくら撃ってもケンツに吸収されてしまいます!」
「はぁ!?」
「なんだそのチート!?」
「なんで魔法剣士がそんな能力を!?」
召喚勇者達は、俺の前で初めて大焦りしはじめた。
「だったら剣で斬り伏せるだけだ!」
「バカめ、雷で死んだ方が楽だったものを!」
「野郎、ぶっ殺してやる!」
召喚勇者達は剣を振りかぶり突撃してきた!
へん!接近戦に持ち込む手間が省けるってもんだぜ!
「斬り伏せる?ふん、やれるもんならやってみろ!縮地!縮地!縮地!」
― バシュッ! バシュッ! バシュッ!
縮地による超スピード領域の撹乱近接攻撃!
これならどうだ!
「こ、この!」
「奴を捉えられねえ!」
「卑怯だぞ、じっとしやがれ!」
誰がじっとするか、クソ野郎ども!
「食らえスピード地獄! 縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!」
― バシュッ! バシュッ! バシュッ!バシュッ! バシュッ! バシュッ!
― ザンッ!ザザンッ!バシュッ!ズバッ!ビシッ!シュバッ!
「ぎゃっ!」
「うぉっ!」
「あぅっ!」
召喚勇者達は俺のスピードには全く対応できず、なます斬りにされていく。
しかし致命傷には程遠い。
逆に俺の剣がダメージを受け、ピシピシとヒビが入り出した。
くっそー、頑丈な奴らだ!
なら!
「縮地!縮地!縮地!
― ザンッ!ドッシャアアアアアアアアアン!
高速斬撃プラス雷撃魔法!
雷が暴れる中で剣が舞う!
これならどうだ!
「うぎぎぎぎぎい!」
「こ、こんなもの!」
「ちょこざいなぁ!」
まだ参らねえか!
「縮地!縮地!縮地!
「「「ぐぼああああああ!!!」」」
ついに召喚勇者達が悲鳴をあげた!
やったぜ!
― ビシッ!ビシシッ!
「 !? 」
しかし縮地の連続使用は今の俺には無理がありすぎた。
筋肉繊維が一本一本剥離していくような激痛が!?
負荷を与え続けた反動が、身体中の筋肉に走る。
くーっ!耐えろ!
ソーサリーストックが使えなくなる!
― ザンッ! ザザンッ! ザンッ!
「ぎゃあああ!」
「いってええ!」
「こ、この!」
俺の攻撃は確実に奴ら召喚勇者にヒットしているが、まだまだ致命傷には程遠い!
こんな事なら頑丈で切れ味の良いミスリル剣に買い換えておくべきだったぜ。
そうすりゃ奴らの聖闘衣を結界ごと切り裂けたかもしれないのに!
いやいや、無いものねだりみたいなこと思っても仕方がねえ。
やはり現状では強く魔力をたっぷり込めた魔法剣技でなけりゃ、奴らに傷を負わすことが出来ねえぞ!
それに――
「そろそろ時間切れになるぜ、早く勝負を決めねーと!」
そう、
「
ウネウネと地面から野太い鋳薔薇の触手が出現、アリサ由来の植物魔法だ!
それらが召喚勇者の足元を覆い、動きを鈍らせる!
「いででで、なんだこりゃ!?」
「セコイ魔法を使いやがって!」
「ふん、こんなもん聖剣の一振りで蹴散らせるぜ!」
召喚勇者達は足元の触手に気を取られた。
バカめ、それは囮だ!
このスキに魔力を練り上げて溜めに入るぞ!
「はああああああ!!!」
― バチバチバチ!
魔法付与剣に魔力が籠り、バチバチと
「いくらなんでもコイツなら!
ようやくこいつらに引導を渡せるぜ!
そう思った時。
「させない!」
「 !? 」
俺の最強魔法剣技、
「またか!シャロン、どいてくれ!」
「いやよ!」
しかしシャロンは両腕を広げて邪魔をする。
「なら、縮地!」
シャロンを回避、少し距離を開け召喚勇者達の側方へ!
「これで終わりだ、
今度こそ、
やや細身の
― ガラガラガラ、ドッシャーン!!!!!!!
「うぎゃあああ!!!」
「るぼぇえええ!!!」
「あびょびょえ!!!」
奴らの悲鳴!
どうだ、俺の
― パキーンッ!
今の一振りで、俺の剣は限界を超え砕け散った。
もうこれ以上は戦えねえ。
頼む、倒れていてくれ!
だめならせめて戦闘不能状態に!
願いを込めて状況を覗う。
やがて雷斬波が起こしたスパークと粉塵が治まると……
「ふうっ、ふうっ……」
「ぜえっ、ぜえっ……」
「はあっ、はあっ……」
そこにはダメージを深く負いながらも、いまだ健在な召喚勇者達の姿があった。
「くそったれめ……!」
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次回、ついにケンツと召喚勇者達との戦いが決着!
……するのか!?
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