047 第十九話 誘導拉致!?バロンとブルーノ 01
バロン&ブルーノ スペック
バロン
19歳男性
2級冒険者 剣士
2級冒険者パーティー〈天翔ける雷光〉リーダー。
元はケンツの腰ぎんちゃく。今はケンツの天敵
剣士でありながら雷撃魔法を操るマルチファイター。
また、剣技は魔法剣士のような雷斬撃を放つことが出来る。
ブルーノ
18歳
2級冒険者 剣士
2級冒険者パーティー〈天翔ける雷光〉所属のナンバー2。
やはり元はケンツの腰ぎんちゃく。今はケンツの天敵。
普段使いは魔法付与された長剣を振るう。
バロン・ブルーノともに、ケンツの絶頂期の頃からシャロンに対して【歪んだ想い】を抱いていた。
また腰ぎんちゃくでありながら、当時のケンツに激しい嫉妬感を抱いていたようだ。
ケンツが落ちぶれたことに乗っかり、それなら自分達がシャロンを手籠めにしようと画策していたが、その前にケンツはシャロンをバークに託してしまい、バロンとブルーノは手出しが出来なくなってしまった。
その鬱憤をさらにケンツに叩きつけ、より激しくケンツをイジメ追い詰めた。
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Side バロン
ふふふ、そーかい。
シャロンはバークから離れるってか。
ならもう遠慮はいらねーな、シャロンは俺達が頂くとしよう。
それにしても長かったぜ。
シャロン欲しさにケンツを徹底的に落ちぶれるよう、俺とブルーノでどれだけ暗躍してきたことか。
ベラをベッドの上で誑し込み、ギルド職員達に働きかけてケンツをガン無視するように仕向けた。
おかげでギルド長とケイト以外は掌握に成功した。
間抜けな冒険者達にも有ること無いこと吹聴しまくって、徹底したイジメの空気を作り上げたぜ。
元々リットールは他の(アドレア連邦内の)国と比べれば差別意識はマシな方だが、それでも異物に対しての偏見・差別は激しいものがある。
それを上手に突いて、
ただでさえ落ちぶれイジメに遭い始めたケンツだったが、俺とブルーノの工作で拍車をかけたわけだ。
ざまーみろ、ケンツ!テメーはそのままゴミムシになって消えちまえ!
――そう思っていた。
それがだ。
いい感じにケンツがボロボロになり、シャロンにDVを働くまでクズになり下がって、頃合いも良くなって来たとほくそ笑んでいた時……
ニヤニヤと余裕ぶっていたのに計画が台無しだ!
おかげでシャロンに対して全く手が出せなくなっちまったぜ。
ためしに何度か人を雇い、バークを闇討ちしてみたが、全員返り討ちにされちまった。
アイツの強さ、というかアイツの成長は異常だぜ。
仕方がねーから溜まった鬱憤の捌け口に、その後もケンツをイジメて憂さ晴らししていたんだが、それも最近はおかしな方向へ向かい出した。
なんだがケンツを取り巻く状況が好転しやがったんだ。
まずはケイトの存在。
地元リットール生まれでありながら、ベクトルがどこか違う正体不明の受付嬢。
ハンターギルド(冒険者ギルドとは違う、別の上位互換組織)から派遣されて来たなんて噂まである女だ。
こいつは昔から何かとケンツに目を掛けていやがる。ケンツが今まで生き残れたのは、間違いなくこの女のせいだ。
一度ケイトの事を良く思わない冒険者達が脅すつもりで闇討ちを仕掛けたが、全員仲良く返り討ちにされてしまい、冒険者資格を剥奪された。
少なくとも三級冒険者以上の力はあるようだ。
そして外国人冒険者ユリウス。
今でこそ姿を見かけないが、あの日あの時、半ば殺すつもりでケンツを殴る蹴るしていたら、突然介入してきて俺達をボコボコにしやがった!
ベラに聞いた話じゃユリウスはそのすぐ後に、本来一級以上の案件である【復活竜ティラノドラゴン】の討伐に向かい、翌日には涼しい顔で討伐を終えて戻って来たらしい。
本当だとしたらとんでもない猛者だ。
噂だが、最近召喚勇者パーティー一組が、近隣の【ミヤビの村】付近で行方不明になり、
そんなヤツが潜在的にケンツの味方なわけだ。
さらには女冒険者アリサ!
こいつが登場してから流れは本格的におかしくなりやがった!
冒険者二人に殺されたケンツを信じられない強烈なヒールで蘇らし、油断していたとは言え俺を圧倒しやがった。
その後、どういう訳か
おかげで浮浪者同然だったケンツが、今ではリットール冒険者ギルドの五本の指に入る程の実力者に復活したとまで囁かれ始めている。
冗談じゃねーぜ!今さらケンツが俺達より強いなんて認められるか。絶対に何かの間違いだぜ!
まあ俺はそんな事信じちゃいないし、このアリサって女も実はたいした事はねーと思っている。
昇級試験時、ギルドの強固な結界を破壊して試験会場に侵入、バーク全力の
しかしこのアリサは、油断していたとは言え俺達の腕をブチ斬りやがった。
女だと思って優しくしてやりゃなんてことしやがるんだ!おかげで治療費に八千万ルブルもの借金を背負っちまったぜ。
この女は徹底的に汚してから借金のカタに娼館に売り飛ばしてやる!
俺は広場に戻って来たアリサを見て舌なめずりした。
「ふふふ……へへへ……」
「おいバロン、さっきから何をブツブツ言ってんだ?なんかちょっと危ないぜ」
狂気の笑みを浮かべて呟いている俺を、ブルーノが気持ち悪そうな横目で見る。
「んあ?ただのイメトレ(イメージトレーニング)だよ」
「イメトレ?」
「おうよ、ちょうどアリサって女を徹底的に汚して娼館に売り飛ばしたところさ。これからシャロンをベッドの上で自分の女にするぜ!」
「うわっ、引くわ。ただのエロ妄想じゃねーか」
「そんなこと言って、テメーも家ではイメトレしてんだろう?」
「否定はしないけどな。しかしそれを
「俺は欲望に忠実なんだよ。それにイメトレは大事だぜ」
「そうかよ。それより奴ら動いたぜ」
広場中央にいたケンツ、シャロン、アリサは周囲が暗くなった事もあり解散したようだ。
「よし、行くぞ」
「おう」
俺とブルーノは、一人別方向に歩くシャロンの後をつけはじめた。
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