041 第十六話 ラミアの祠と亜人レイミア 02
「あら、お客さん?」
突然現れた女は俺達を見て軽く微笑むと、湖面からこっちに向かって来た。
「で、でけえ!」
長い青黒髪のその女は、スイカ級の巨大双丘をユサユサさせながらどんどん岸へ近づいて来る!
俺の目もユサユサに合わせて上下する。
はぁー、こりゃまた凄いスイカップ美人だぜ!
しかしなんで真冬の湖から現れたんだ?
「 ん? 」
な、なんか様子が変だぞ?
なんであの女の後ろは、あんなに波打っているんだ?おかしい、なんかおかしいぞ?
その疑問はほんの数秒後に解消された。
岸に上陸してきた女を見て俺は仰天した!
「お、おまえは!?」
上陸してきた女の上半身は超絶爆乳美人、しかし下半身は大蛇!
「くっ、レッサーラミアか!」
俺は抜剣して戦闘態勢を取る!
しかし――
「誰がレッサーラミアよ!」
なんとレッサーラミアが否定してきやがった!?
て、はぁ?
レッサーラミアって喋れたっけ!?
「あなたねぇ、人を見るなりレッサーラミア呼ばわりするなんて酷いんじゃない?私のどこがレッサーラミアに見えるのよ!」
レッサーラミアじゃないのか?じゃあこの蛇女はなんだ?
「いや、何処からどう見てもレッサーラミアにしか見えないんだけど……さっきダンジョンで襲われたレッサーラミアにそっくりだし?」
「失礼な!この巨大にして美しく張りのある双丘!それにキュッっと引き締まったウエスト!光沢のある下半身!どこをどう見てもレッサーラミアよりも上質でしょうがぁぁぁ!」
いや、そんなん言われてもわからねーよ。
てか、知らんがな。
「レッサーラミアでないのなら、あんたいったい何者なんだ?」
「私は亜人ラミア族のレイミア。下等な
ラミア族?あの絶滅危惧種の?
リットールには、現人神扱いされている亜人ラミアが一人いるのは知っていたが他にもいたのか。
なんにせよ亜人であるからには俺達人間側なわけだな。
「で、あなた達は何者?見たところカップル冒険者みたいだけど」
いやぁ、俺とアリサがカップルだなんてそんなぁ~。
「ああ、俺達は冒険者だ。ダンジョンを通ってここまで来たんだ」
「ダンジョンから?よく石板を操作できたわね?」
「まあな、こいつがラミア遺跡の扱い方を知っていたんだ」
「ふーん?でもその子、なんだか危なそうなんだけど」
相変わらずしゃがみ込みブツブツと心ここにあらずのアリサ。
く、本当に痛ましい……
「実はさっき、こいつの想い人が次元の狭間に彷徨ってしまった事がわかってな。もう二度と会えなくて塞ぎ込んでいるんだ。そっとしといてくれ」
「あらまあ、それは気の毒ね。良かったら元気づけに一緒に食事しない?美味しそうな寒鱒(かんます)を獲って来たの」
レイミアの両手には大きな寒鱒が四本も握られている。
たしかに美味そうだな。アリサも元気付けてやりたいし、ご馳走になるか。
「ありがとう、それじゃせっかくだしご馳走になるぜ」
「ふふふ、じゃあ付いてきて」
レイミアは湖で寒鱒のわたぬきを済ました後、島の中心へと向かっていった。
「ほらアリサ、しっかりしろって」
「………」
「まだ想い人を諦めるには早いだろ。後でもう一度島を探ってみようぜ、な?」
「うん……」
項垂れるアリサを連れ持って、俺達はレイミアの後を追った。
レイミアが向かったのは、さっきのラミアの祠だった。
レイミアは早速火を熾して寒鱒を串に刺し塩焼きにした。
「そう言えばあなた達の名前は?」
「俺はケンツ、こいつはアリサって言うんだ」
「ケンツにアリサね。ん、アリサ?どこかで聞いたような……まあいいわ。でもよく来れたわね?ダンジョンにはレッサーラミアがうようよしていたでしょう?」
「まあな、生意気にも俺様を魅了しようとしてきたけど、俺様にチンケな魅了なんざ通用しなかったぜ!」
「もしかしてレッサーラミア達を殺した?」
レイミアの顔が少し曇る。
「いいや、みんな俺様に恐れをなして逃げちまったぜ」
「よかった。あの子達、この祠を守るガーディアンなの。へー、そんな強いようには見えないけど凄いんだ。レッサーラミアの魅了が通用しないなんてね」
「ま、まあな!」
ほんとはオッパイ責めされたあげくズッポシ魅了されたけどな。
かっこ悪いから黙っておこう。
「それにしても、ついこの間にもお客さんが来たばかりだというのに、こんなすぐに新しいお客さんが来るなんてね」
確かにこんな所に訪ねるやつなんてそうはいないだろうぜ。
レアアイテムがある訳でも無し。
「で、レイミアはここで何をやっているんだ?見たところ、この島には他に家みたいな人工物は無いし……?」
「ふふふ、私はこのラミアの祠の守護者なの。まあ管理人みたいなものなんだけどね」
― ピクッ
お、アリサがなんか反応したぞ?
「管理人さんか。最近何か変わった事はあったかい?」
「そうねぇ……男が一人、この祠に転送されてきたくらいかな?」
― ピクッ ピクッ
おお、またなんか反応したし?
「なんだって?そいつはどんな男だった?」
「うんとね、なんか転送事故にあったようでね、片腕を無くして凄い出血をして死にかけていたのよ」
「ひゅっ……」
おおお、なんかアリサが変な息を吸い込んだぞ!
と言うか、その男ってもしかしなくても……
「それでその男はどうなった?」
「それがね、血を失って死ぬ直前くらいまで身体が冷えちゃってさ、仕方がないから私が素肌を合わせて抱きしめて温めてあげたの。
そしたらその男、意識が朦朧としていたせいか私の事を想い人と勘違いしてさ、『アリサぁぁぁぁぁん』って何度も胸に顔を埋めてブリュブリュと甘えるの。ほんと可愛いたらありゃしない♪
………あれ、そういえばソチラの彼女さんの名ってたしか……?」
― ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
やべぇ、アリサの気が何倍にも膨れ上がった!
「私がそのアリサです!ねえユーシスは?ユーシスは生きているの!?」
― ガバッ!
突如アリサがレイミアに襲い掛かるように迫った!
「わ、もしかしてあなたがユーシス君の想い人のアリサさん!?こりゃマズイ!
寝ぼけてオッパイブリュブリュの件は、絶対に秘密にしてくれって頼まれていたのに!」
「オッパイブリュブリュなんてどうでもいい!ユーシスは!?ユーシスはどこおおおおおおおお!!!!」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「オッパイブリュブリュって……想い人君よ、あんた一体なにやってんだ……」
どうやらアリサの想い人は、このレイミアって
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