015 第七話 激突!ケンツvsバーク R1 01
「それでは受験者の皆さん、ギルド裏の試験会場広場へお集まりください」
今日は冒険者ギルドの試験日だ。
これから冒険者登録試験と冒険者昇級試験の二つの実技試験が行われる。
登録・昇級ともに受験者のジョブに適性した試験官が宛がわれることになる。
最初に行われるのは冒険者登録試験――新人達の試験だ。
俺は新人達の試験の様子を、懐かしい思い出に浸りながらボーっと眺めていた。
『ケンツ、やったよ!わたし武闘家と治癒士でいきなり四級下位合格したよ!』
『うぉおお!凄い!いきなり四級合格って天才かよ!さすがシャロンだ!』
『どうだシャロン、俺も魔法剣士で四級中位合格だぜ!』
『ケンツ凄い!四級中位合格なんて普通あり得ないよ。さすが!』
『『お互いの合格を祝ってカンパーイ!』』
『あのよう、シャロン……合格の勢いで言うのも何だけど頼みがあるんだ』
『え?いきなり思いつめた顔してどうしたの?』
『とにかくシャロン、絶対に断らないでくれ、頼む!』
『なによ、また借金の申し込み?お祝いの席で、そういうのやめて……』
『俺の女になってくれ、頼む!ずっとずっと前から……子供の頃から好きだったんだ!シャロン、お願いだ、断らないでくれ!』
『え!?』
『シャロン、頼むよぅ……幼馴染じゃなくて恋人になって欲しいんだ……』
『ケンツ、あんた何言ってんの?今までそんな目で私を見ていたの?』
『う……』
『酷いわケンツ……私はとっくにケンツの彼女のツモリだったのに……』
『え!?じゃあ!!!!!』
『ふふふ、断ったりなんかするものですか!今からケンツは私の男だからね!』
『シャロン!』
『ケンツ♡』
あの冒険者登録試験の日から、俺とシャロンの関係は、仲の良い幼馴染から相思相愛の恋人関係へと明確に変わったんだ。
そして俺は我武者羅(がむしゃら)に頑張った!
絶対にシャロンを幸せにする!ついでにハーレムも作っちゃる!
―そう決意してシャロンと共に支え合い、本当に本当に本当に本当に頑張った。
やがてパーティーの仲間も増え、実績をガンガン積み、俺は連邦認定勇者・今季最有力候補と言われるほどまでのし上がったんだ。
それがまさか、全て崩壊してしまうなんてなぁ……
しかも、実は俺の実力じゃなかったなんて……
いやいやまてまて、このまま終わってたまるもんか!
俺は必ず復活する!そしてシャロンをこの手に戻すんだ!
なんせこっちにはアリサがいるんだ、復活するのなんて楽勝さ!
待ってろシャロン、必ず迎えに行くからな!
だがしかし、アリサはアリサとしてだ……俺自身の力も底上げしておかねーとな。
流石に三級魔法剣士じゃカッコがつかねぇ、せめて二級以上に昇格しないとこのギルドでのさばるのは無理だ。
そして俺はアリサから学べる事を学び、さらに力を付けていつか必ず一級魔法剣士に返り咲く!
その暁(あかつき)には、俺をイジメた奴らを徹底的にイジメ返してやるんだ!
特にバロン、ブルーノ、ベラ、おめー達は念入りにイジメてやるぜ!
ぎっひっひっひっ!
などと思い出と妄想に浸っている間に、新人達の冒険者登録試験は終わり、冒険者昇級試験が始まった。
そして各担当試験官の紹介がされ、俺は愕然とした。
「なんでテメーが俺の試験官なんだよっ!」
漆黒の衣を纏い、漆黒の剣を携える一級魔法剣士――
俺の担当試験官はバークの野郎だった。
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【おまけ】
冒険者ランク分けと、一般的なハイファンタジー小説換算(読み飛ばし可)
(各等級はさらに上位・中位・下位に別けられる)
特級 → Sクラス SSクラス SSSクラス
人外級・兵器級とか呼ばれるめちゃくちゃお強い人達。
一級 → Aクラス
準人外級~人外級の強者。
バークと絶頂期のケンツはここ。
二級 → Bクラス
一般的な冒険者の頂点。
三級 → Cクラス
三級上位は町一番の冒険者さん的な?
四級冒険者達と共に冒険者の中核をなす存在。
落ちぶれたとはいえ、ケンツは一応このクラス。
四級 → Dクラス
ここからいっぱしの冒険者として通用する。
討伐受付も一気に広がる。
五級 → Eクラス
まだ半人前扱い。
六級 → Fクラス
駆け出し冒険者。普通はここから。
無級 → 該当なし
実技試験を受けずに冒険者登録した人。
非戦闘の依頼のみ受ける事ができる。
即興で書いてみました。
後から変更や矛盾があったらごめんなさい。
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