クレイジーマッド映画ジャーニー

「好きにならずにはいられない」(恋愛)

　気づいたら、周囲の同級生が結婚してて、子供も生まれてて、家や車を持ってたりしてて、休日には自宅の庭で仲間達とＢＢＱやってたりしているのを見ると「ああ、ワイルドスピードの真似してるんだな」って思う時がありますよね？

　今回、紹介する映画はそんな気分にピッタリな映画です。

「好きにならずにはいられない」(2015　アイスランド・デンマーク　94分)

監督、脚本 ダーグル・カウリ

出演　グンナル・ヨンソン、リムル・クリスチャンスドッティル

　空港で働く40歳をすぎた肥満体型で、オタクの独身おじさん・フーシ。

　母に言われてダンス教室へ行くと、そこで出会った女性に恋をしてしまいます。

　40年以上、独り身だったピュアなおじさんが遅咲きの恋愛をする心温まるラブストーリー……かと思ったら、ひたすらシビアな視点で描かれたリアル系ラブストーリー……。

　普通に仕事をし、家では趣味を嗜み、地道に生きてきた主人公のおじさん。

　そのおじさんの姿が妙に生々しく、更に家庭環境や職場での立場も生々しく描かれており、何故か観てて辛かった……。

　そんなおじさんですが、ダンス教室で出会った女性に恋をします。

　しかし、その女性はかなりのワケありだったのです。

　それでも、恋を知ったおじさんは真剣に彼女のために尽くします。

　頑張れ、おじさん！負けるな、おじさん！！

　だが、残酷なことに人間関係と言うものは複雑です。

　しかも、それが男と女の関係であれば、なおさら複雑になってしまいます。

　その男と女の心のズレみたいなものが、おじさんに襲い掛かります。

　頑張れ、おじさん！負けるな、おじさん！！マジで頑張れ、おじさん！！

　しかし、応援虚しく「え、これで終わり……」という形のエンディングを迎えてしまいます。

　おじさんは本気の恋をしました。だけど、短い間だけの恋愛で精一杯なのでした。

　おじさんには、これから先の人生を彼女と一緒に歩んでいくのは難しかったのです。

　映画の途中から、もうハッピーエンドは無理だと思いました……。

　映画なんだから、もう少し夢や希望を与えてくれたっていいじゃないかと思いましたが、現実はそんなに甘くないと突きつけられました……。

　孤独なおじさんが、ほんのひと時だけ、遅咲きの恋をすることができた切ない映画でした。

　……何故だろ、何故か、目と鼻から水が出る……。