クレイジーマッド映画ジャーニー

「デイ・ドント・ダイ」(ゾンビ/ホラー/SF？)

　あなたは、ゾンビがお好きでしょうか？

　ゾンビっていいですよね。

　誰にも邪魔されず、自由で、なんていうか、こう、どこか救われていて……。

　そんなわけで、今回はゾンビ映画です、はい。

「デイ・ドント・ダイ」(2019　スウェーデン・アメリカ　104分)

監督、脚本　ジム・ジャームッシュ

出演　ビル・マーレイ 、アダム・ドライヴァー 、ティルダ・スウィントン

　警官がベテラン、若手、女性の三人しかいない、のどかな街。個性豊かな住民達が住んでいる。

　だが、ある日、地球の自転軸が狂ったというニュースが入って来る。地球の自転軸が狂うと、なにか異変が起きるとのこと。

　ベテランの警官は嫌な予感がするというが、相棒の若い警官はあまり緊張感がない。

　そんな二人の乗るパトカーから流れるラジオの音楽。それに不快感を示すベテラン警官。若い警官は気にしない。

　しばらくして、墓地の中から、死者が蘇り始める……。

　典型的なゾンビ映画……ですが、なんだ、これ……？

　ゾンビ映画なのに、主人公であるベテランと若手警官二人のテンションがやけに低い。

　画面も低体温な感じで、ゾンビ、パニック映画特有の緊張感はあるにはあるんですが、警官二人が変に冷静でなんかシュール。

　この警官二人のテンションが低い理由は、ラストで明らかになるのですが……。

　これは野球で例えたら、もう試合開始前から試合を放棄してて、コールドでゲームセットになるまで、デッドボールをひたすら投げ続けているような……そんな感じでしょうか？

　これは視聴者によっては、笑って許すか、ふざけるな！？のどちらかになると思います。

　でも、まあ、怖いぐらい冷静な若手警官。ゾンビ相手に日本刀を振り回す謎の女性など、シュールすぎる映像の数々は見応えありかと……。

　ゾンビの歴史は長い。

　ゾンビは低予算で作りやすく、またいろんなアイデアを取り入れることの出来る自由度の高いホラージャンルであり、いつしかゾンビそのものがジャンルとして確立しました。

　そして、現在。様々なパターンのゾンビが増え、斬新なゾンビ、新感覚ゾンビ、奇抜なゾンビ、佐賀県を救うためにアイドルをやるゾンビ(？)など、様々なゾンビがこの世に生まれました。

　しかし、そう言った新しさを模索し続けているゾンビ界に対し、「ちょっと冷静になれよ」とでも言いたげな無気力さが、この映画から感じられました。

　それにしても、なんていうか、やっぱり、こうゾンビは自由で、どこか救われていないと……。