「 モンスター上司」「 モンスター上司2」(ブラックコメディ)

 今回は、豪華二本立てです。


「モンスター上司」(2011 アメリカ 98分)

監督 セス・ゴードン

脚本 マイケル・マーコウィッツ

出演 ジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、 ジェイソン・サダイキス


 出世のため、ゲスな上司にひたすら従ってきたが出世を破棄され、裏切られた男。

 婚約者が居るのに、勤め先の歯医者の女医からセクハラを受け続ける歯医者助手の男。

 尊敬していた社長が死に、新たに社長になったのは、モラルと常識のないヤク中のバカ息子で苦悩する男。


 彼らは我慢の限界を迎え、「自分の上司を殺す」という考えに至る……。

 そこで、殺し屋を雇おうとするのだが……。

 上司に恵まれなかった三人の男たちがゲス上司、セクハラ上司、クズ上司を殺そうとするブラックコメディ。



 当然だが、良識ある人間にそんなことができるワケがなく、裏社会のコネもないので殺し屋も雇えない。

 更に殺人計画のアドバイザー的な男も、あまり役に立たない……。

 そんな三人が頑張って人殺しをしよう(物騒な発言だな……)とするのだが、事態は思わぬ方向へ向かってしまい、とんでもないことに……。


 やっぱり、相手がどんな人間であっても、人命を奪うという行為だけはやってはいけないんだなー、と考えさせられた。




「モンスター上司2」(2014 アメリカ 108分)

監督 ショーン・アンダース

脚本 ショーン・アンダース、ジョン・モリス

出演 ジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、 ジェイソン・サダイキス


 前作(上記)で、モンスター上司から解放された三人は、シャンプーとシャワーを両方出せるシャワーヘッドの開発に成功。

 散々、上司に苦しめられてきた三人は、今度は自らが上司になれるので会社を立ち上げる。

 だが、取引先の企業に騙され、莫大な借金を背負うことに。

 あまりの理不尽さに腹を立てる三人。

 今度は、自分たちを騙した企業の社長の息子を誘拐し、身代金を取ろうと計画する。

 しかし、誘拐計画の実行中、予想外の事態が……。


 会社を立ち上げるも、今度は騙されて、誘拐を計画するブラックコメディ第二弾。



 どこか抜けている三人組はドジを連発し、計画が順調に行かない姿が笑える。

 だが、三人組は前作にも登場した犯罪アドバイザーから、こんな言葉を浴びせられる。


「お前たちは、いつも被害者ぶっている。上司が気に食わないから殺す。今度は騙されたから誘拐する。犯罪を犯そうとしているのに、お前ら、いつも被害者ヅラだ。本当に成功させたいのなら、完全に犯罪者になれ」


 視聴者としても、このセリフで目が覚めさせられた。

 いくら理不尽な目に遭ったとはいえ、それを理由に「自分たちは被害者だ」と言い、人の命を奪おうとしたり、誘拐などの犯罪行為をするのは、よく考えたらおかしいことである。


 この主人公三人組は、上司や大企業から理不尽な目に遭わされてきた。

 なのに、何故かイマイチ感情移入が出来なかったのは、こういう部分が根底にあったからだと気付かされた。


 まさか、おバカキャラだと思っていたアドバイザーの口から、核心を突くセリフが出るとは。

 もはや、このセリフを聞くために、この映画は存在していると言っても過言ではない。


「自分たちは被害者なんだから、あいつらに復讐しても良い」


 本当に、それでいいのだろうか……。

 やられたからやり返す、でいいのだろうか?

 理由があれば、なにをしてもいいのだろうか?

 ふと、考えさせられたブラックコメディ映画だった。


 たぶん、監督も脚本家もそこまで考えてないとは思うが……。

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