「フューリーズ 復讐の女神」(スプラッター)

 たぶん、人生で誰もが一度は思うことはあるでしょう……。

「設定は面白いのにな……」

 今回は、そんな映画。


「フューリーズ 復讐の女神」(2019 オーストラリア 82分)

監督・脚本 トニー・ダキーノ

出演 エアリー・ドッズ、リンダ・ヌゴ、テイラー・ファーガソン


 ある日、主人公が友人と居たら、急に何者かに拉致される。

 気づけば、森の中。そして、殺人鬼に襲われる……と、ここまではよくあるスプラッター映画の導入部。


 だが、この映画は一つだけ、他のスプラッター映画とは違っていた。


 殺人鬼に追い詰められる主人公。だが、そこに別の殺人鬼が現れ、主人公を助ける。

 主人公を助けた殺人鬼は、主人公を襲わない。だが、他の者は襲う。

 この殺人鬼。まるで、なにかルールを守っているようだ。


 実はこれ、殺人鬼と一般人がペアを組まされ、二人で協力して最後まで生き残るというデスゲームだったのだ。


 では、この映画のルール説明を。

・女性と殺人鬼の二人一組でペアになっている。殺人鬼は自分のパートナーの女性が誰だか知っている。女性の方は、誰がパートナーなのか知らない。そもそも、このデスゲームのルール自体知らない。

・殺人鬼は自分のパートナーとなった女性を殺せない。パートナー以外の人間を殺さなければならない。

・殺人鬼は、自分のパートナーを守らなければならない。もし、パートナーが殺されてしまった場合、殺人鬼はパートナー死亡と同時に自爆する仕掛けがされている(だから、パートナーを殺害できない)。

・逆に女性の方は、自分のパートナーとなった殺人鬼を含め、誰を殺しても良い。ペナルティはない。

 このデスゲーム。被害者側と殺人鬼側で見えない協力関係があるのだ。


 以上がこの映画のルールです。

 おさらいとして、仮にこのデスゲームをやってみたとして……。


 女Aと殺人鬼Aがペア。女Aは誰が自分のパートナーなのか知らない。

 女Aが殺人鬼Bに殺されそうになると、殺人鬼Aは女Aを助けなければならない。

 もし、殺人鬼Bに女Aが殺されたら、仕掛けで殺人鬼Aも死亡。

 女Aが女Bを殺した場合。その瞬間、殺人鬼Bも死亡する。

 女Aは、自分のパートナーである殺人鬼Aを殺害することが可能。ペナルティはない。

 最後に生き残った者の勝利となる。


 ……という風に、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の「スタンド能力とスタンド使い(本体)」か、ノベルゲーム「Fate/stay night」の「マスターとサーヴァントの契約」みたいなルールと駆け引きが設けられたスプラッター映画なのだ。


 この映画の設定が斬新。

 ただ、この設定をもう少し上手く活かせなかったのかなー……と思ってしまう映画ではありました。

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