「サマー・オブ・84」(ジュブナイル/サスペンス)
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」
「サマー・オブ・84」(2018 カナダ・アメリカ 106分)
監督 フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセル
脚本 マット・レスリー、スティーヴン・J・スミス
出演 グラハム・ヴァーチャー、ジュダ・ルイス
1984年の夏。連続誘拐事件が起きている街に住む少年・デイビー。彼は仲間達と、毎日楽しく過ごしていた。
デイビーはある日、自宅の向かいに住む警官・マッキーに不審な動きが多いことから、「もしかして、この街で起きている誘拐事件の犯人ではないか?」と疑い始める。
連続誘拐事件が起き続ける街で、不気味な警官の正体を暴こうと少年達が冒険するジュブナイルストーリー。
【警告】ここから先は映画本編のネタバレを含んでおりますので、未見の方は本編をご覧になってから読まれることをお勧めします。
最初、マッキーが誘拐事件の犯人かどうか、半信半疑だったデイビー。
だが、仲間達と協力して、マッキーを探っていくうちに、徐々に疑惑が確信へと変わって行く。
そして、デイビーは「マッキーの家に忍び込み、証拠を見つけ出して、連続誘拐事件の犯人はマッキーだって証明しよう!」と決断する。
しかし、その決断は、彼にとって地獄行きの片道切符だった……。
一人の少年の好奇心と決断が、最悪の結果となった衝撃のサイコサスペンス映画。
こんなに、ビビった映画はあのスティーヴン・キング原作のホラー映画「ミスト(2007 アメリカ)」以来だ……。
ラストまでなら、スティーヴン・キング原作の名作ジュブナイル映画「スタンドバイミー(1986 アメリカ)」を彷彿とさせる、少年達のひと夏の冒険を描いた映画だった。
なのに、ラストですべてが一転。
近年稀に見るほど、強烈に後味の悪いエンディングに愕然。
視聴後のダメージが凄かった。(この映画のスタッフは、スティーヴン・キングが大好きなのか?)
とにかく、この映画、衝撃のエンディングが待ち構えています。
ですが、思い返すと主人公・デイビーには、あのエンディングを回避出来るチャンスが何度もあったのです。
だが、彼は「勇気」を出して退かなかった。
しかし、それは「勇気」ではなく、ただの「無謀」だった。
デイビーは犯人の家から証拠を見つけ出したのはいいが、それで犯人に逃げるチャンスを与えてしまった。それが、大きなミスだった。
「彼は退くべき時に退かなかった」
その結果が、あの衝撃のエンディング。
すべてが崩壊。
もう、デイビーには絶望しか残されていなかった。
「引き際で引かなかった」
「勇気と無謀を履き違えた」
「正義とはいえ、自分の力量(子供と大人の差)を考えずに犯人を追及し続けた」
主人公・デイビーは、自分がしたことをどう思うのだろうか?
彼はこの先、どんな人生を歩んでいくのだろうか?
ずっと、恐怖に怯えていくのだろうか……?
近年のサスペンス、ホラー映画界に、冷水を思いっきり浴びせたジュブナイル映画の皮を被った衝撃のサイコサスペンスだった。
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