「天国に行けないパパ 」(コメディ)

「天国に行けないパパ」(1990 アメリカ 97分)

監督 グレッグ・チャンピオン

脚本 ジョン・ブルメンタール、マイケル・ベリー

出演 ダブニー・コールマン


 定年退職間近の刑事・バート・シンプソン。彼には別れた妻と、心から溺愛する息子が居た。

 彼はもう退職が近いので危険は冒したくなく、犯人逮捕よりも自分の無事を優先するほど保身になっていた。


 そんなある日、バードは病院で健康診断を受けることに。その時、たまたま居合わせた薬物中毒のバスの運転手が自分の薬物使用を誤魔化すため、バートの血液と自分の血液をすり替える。

 しかし、そのバスの運転手は不治の病を患っており、しかも、もう末期の状態だった。

 そんなバスの運転手の血とバートの血がすり替わったことにより、バートは「自分が不治の病を患っていて、もうすぐ死ぬ」と誤解する羽目に。


 ショックを受けるバート。保険が降りないため、このまま死んでしまったら、息子を大学に入れる金を用意することが出来ない。

 なんとかして、金を手に入れたいバートは警務課に相談。

 すると、「刑事が職務中に死亡した場合、その家族に保証金が渡される」ということを知る。

 それを知ったバートは、定年退職までになんとか殉職して息子に金を残そうと、危険な仕事ばかりを選ぶようになる。


 この映画、まさに笑いあり、涙ありのコメディ映画。

 バートは息子のために死にたくて仕方がなく、そのためにあえて危険な事件に首を突っ込むのだが、逆に強盗犯とワイルドスピード並みにハードなカーチェイスをしてしまったり、コンビニに立てこもって爆弾で脅しをかけてくる犯人を下着姿で説得しに行き、そのまま改心させてしまったりと、死に急いでるはずなのに、次々と難事件を解決させていく。

 この切ない空回りが、とにかく面白い。

 だんだん悟りを開き始め、別れた妻と和解したり、急に相棒に優しくなって気味悪がられたりと、バートが変わって行く姿がおかしくも、どこか感動してしまう。


 誤解とはいえ「死」と向き合ったことで、自分の「生」を見つめ直し、人生をやり直していくバートの姿は素晴らしく、笑いあり、涙あり、爆破あり(?)の最高のコメディ映画だった。これぞ、まさにエンターテイメント。

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