「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(伝記/ヒューマンドラマ)

「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(2016 アメリカ 115分)

監督 ジョン・リー・ハンコック

脚本 ロバート・シーゲル

出演 マイケル・キートン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ


 この映画は、世界中の誰もが知るある有名ファーストフード店を生み出した兄弟と、そのファーストフード店を世界規模に拡大させ「ファウンダー(創設者)」となった男の奇妙で複雑な因縁関係を描いた実話である。


 1954年。ミルクシェイカー用ミキサーの販売をやっていたレイ・クロック。全くミキサーが売れず、途方に暮れていた。

 そんな時、あるドライブインからミキサーの大量発注が来た。

 冗談かと思ったレイ。実際にそのドライブインに訪れると、店の前には行列が。

 そして、カウンターで店員にハンバーガーを注文をすると、1分もかからないうちにハンバーガーが出てきた。

 またもや、冗談かと思うレイ。だが、出てきたハンバーガーが美味い。

 安くて、美味いハンバーガーを効率よく販売するシステムに感動するレイ。


 そう。このドライブインこそ、あの「マクドナルド」本店だったのだ。


 レイは、この革命的な効率の良さを生み出した「マクドナルド」の生みの親であるマクドナルド兄弟(モーリス・マック・マクドナルド、リチャード・ディック・ジェイ・マクドナルド)の二人に、フランチャイズでの全国展開の話を提案するのであった……。

 しかし、それは後にレイがマクドナルド兄弟から「マクドナルド」を奪っていくことへと繋がって行く……。


 この映画は、ビジネスとは、時に人の想いや情熱すら踏み台にする弱肉強食の世界であるということ。そして、肥大化する欲望の恐ろしさを描いている。もはや、半分ホラー映画にもなりかねない。

 「マクドナルド」のフランチャイズ化の成功で店舗が増えるにつれ、レイは次第になにかを見失って行く。コストダウンのためにミルクシェイクを粉末のものにするなど、マクドナルド兄弟を裏切るような行為をしていくのだ。


 ビジネスのために手段を選ばなくなったレイに、マクドナルド兄弟は激怒。後半からはビジネスマンvs職人という構図となり、やるせない展開に……。

 肥大化していく欲望。そして、それによって、奪われていくものがあることを生々しく描いている。


 レイも最初は純粋に兄弟の作るハンバーガーに感動し、それを世界中に広めたいという気持ちだった。フランチャイズ第1号店の経営が順調ではなかった頃、自ら店の掃除をするなど、彼も彼に苦労したのだ。それが、よりやるせなさを強調させる。


 ラスト。どうして、「マクドナルド」が世界中に広がったのか?

 何故、レイは「マクドナルド」にこだわったのか?

 それが、明らかになる。

 答えは、残酷なまでにシンプルだった。


 今や、どこにでもある「マクドナルド」。

 その「マクドナルド」の歴史には一人のビジネスマンと、生みの親である二人の兄弟の深い因縁の物語があった。

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