「チェンジリング」(2008　アメリカ　142分)

監督　クリント・イーストウッド

脚本　J・マイケル・ストラジンスキー

出演　アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ

　3回目となる今回。アメリカ映画界が誇る名優であり、名監督であるクリント・イーストウッドが監督した作品。

　本作は1928年のロサンゼルスで実際に起きた、ゴードン・ノースコット事件が基になっている。登場人物はすべて、実在の人物である。

　1928年ロサンゼルス。シングルマザーで電話会社に勤める女性・クリスティン。彼女の息子、ウォルターがある日、突然行方不明になった。

　警察に捜索を依頼するクリスティン。5か月後、警察から「ウォルターを見つけた」と言われ、クリスティンは息子に会いに行くが……。そこに居たのは全くの別人の子供だった……。

　それをキッカケに当時のロス警察の腐敗っぷりと、陰に隠れたもう一つのおぞましい事件が徐々に明らかになっていく……。

　とにかく恐ろしい映画だった。

　警察はクリスティンに全くの赤の他人を息子として突き出し、「この子は息子じゃない！」と反発し続ける彼女を口封じのために精神病院に隔離するなど、この時代のロス警察の腐敗っぷりに激しく嫌悪した。

　もはや、人間のやることじゃない……。

　そして、もう一つ、この事件の裏には、背筋が凍るようなおぞましい誘拐、殺人事件が起きていた……。

　「行方不明になった息子が別人だった」という奇妙な事件から、徐々に吐き気のするおぞましい事件へと変貌していく。

　これが実際に起きた事件だというのが、本当に恐ろしい。

　しかし、腐敗しきった警察に決して屈せず、息子のために抗い続けたクリスティンの姿に心を強く打たれた。

　彼女は希望を手放さず、気丈に哀しみに耐えた。そんな彼女の姿に、母親の愛と強さを見せられた。

　そんな彼女が終盤、「ある男」に摑みかかって叫ぶシーンが切ない。

　エンディング。

　この映画は一抹の希望を残して、エンディングロールを流す。

　私はこの映画の視聴後、実際にこの映画の基になった「ゴードン・ノースコット事件」について調べた。

　……。

　やはり、現実というものは残酷であった……。

　だが、それでも、クリスティン・コリンズは生涯、諦めなかった。

　彼女は死を迎えるまで、一体どんな想いでいたのだろうのか？

　息子を奪われた彼女の生涯を想うと、胸が張り裂けそうな切ない気持ちになる……。

参考文献

「映画になった戦慄の実話100」(鉄人ノンフィクション編集部　鉄人社)

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