第13話八百木と俺

無事に八百木と和解出来たのは良いのだが、次は来澤が暴走し始め頭を抱えてしまう。


「おい、来澤。

部活ってまじなのかよ?」


「あー、えっと、ちょっと待ってて下さい。

まひちゃん!!私喉乾いたからジュース買ってきて欲しいな。」


「むっ、別に良いが・・・。

直ぐ帰って来るからな。」


「うん、ありがとう!」


来澤が八百木に頼み事をし、理科室には俺と来澤の2人だけになる。


(八百木には聞かれたくないことなのか?)


何故八百木を追い出したのか分から無かったが、来澤が話し出すまで俺は静かに待つ事にした。


「えっと、まひちゃんの前だとキャラ違いすぎましたよね。小さい頃からあんな感じだったんで普通だと思ってたんですけど・・・。」


「まぁ、驚いたけど。

でも親友の前で自分を偽る事は違うと思うからいいんじゃないか?」


自分の意見を伝えただけなのに、来澤は嬉し泣きしそうな表情をしている。


「やっぱ優しいですね、岸川くんは。

えっと、その、部活の件はまひちゃんを説得させるために言ったことなんです。」


「いや、普通だろ。

八百木はお前が言ったことには反対しない様に感じたけどな。」


「あはは、そう見えました?

確かにまひちゃんは何でも賛成してくれます。でも男の人が絡むと心配して反対するんです・・・。」


「まぁ、俺の事睨んできたくらいだしな。

でもそんなに心配するのは親の役割だろ?」


「その中学の時に色々あって、そこから親以上に心配してくれて・・・。

だから最初岸川くんの事睨んじゃったのかも知れません。」


今度は凄く悲しそうな顔をし、来澤は俺の事を見てくる。過去の事を思い出しているのかもしれない。


「あー、別にお前の過去にはそんな興味はねぇよ。だからそんな悲しそうな顔するな・・・。別に八百木とも和解?出来たし。」


「ふふっ、やっぱり岸川くんにまひちゃんを紹介して良かったです!

まひちゃんも納得してたみたいですし、部活の件は一旦保留で。

まひちゃんが帰って来たら、今朝の達樹くんボイスを聞きましょう!!」


「はぁ、元気になったと思ったら結局鑑賞すんのかよ・・・。」


「もちろんです!」


表情をコロコロと変えていた来澤がようやく笑顔になり話し終えた瞬間、タイミングを見計らった様に八百木が扉を開け戻って来た。


「しろ、ジュース買ってきたぞ。

あと、お前の分もだ・・・ついでだからな!!」


顔を赤くしながら俺にジュースを差し出してくる八百木を来澤はからかい始めた。


「ありがとう!

もー、まひちゃん素直じゃないな~。」


「ほ、ほんとだ!!

別に睨んだことの詫びでは無い・・・。」


何となく八百木の思いを汲み取り、俺は差し出されたジュースを受け取ることに。


「あー、ありがとな。」


まだ八百木と来澤はギャーギャー話しているようだが、疲れたので椅子に座りぼーっと2人のことを眺めた。


(はー、なんか2人ともよくわかんねー女だな。)


来澤は整った顔立ちに少しタレ目で茶髪のロングThe可愛いという感じであり、人当たりも良いタイプ。

八百木は来澤同様整った顔立ちだが目は少しつり目気味であり黒く長い髪をツインテール?にしている、話し方は口調が強くあまり人当たりは良くないのかも知れない。

そんな正反対とは言わないが類似している部分が少ない2人が親友とは意外だと思っていると来澤が声高らかに話し始めた。


「まひちゃんも戻って来たし、達樹くんの声を鑑賞しましょ!!」


「そ、それは私も居なければダメなのか?」


「んー、まひちゃんが居てくれると嬉しいな。退屈だったら岸川くんとお話してても良いよ??」


「うっ、しろがそう言うなら居る。

話すかはわからん・・・。」


「ありがと~!

じゃあ準備して永遠ループで再生するね!」


「わ、分かった。」


「岸川くんもいいですか~?」


「俺はここに居るから好きにしろ。」


「分かりました~。」


そうして、来澤はバックからパソコンを取り出し達樹の声をまぁまぁな音量で再生し始め大興奮していた。


「はぁあ、カッコよすぎる!!」


絶叫している来澤の声をBGMにしながらぼーっとしていると八百木が俺の対面に座り話しかけてくる。


「その、今日はあまり良くない態度を取ってすまなかった。」


「いや、そんなに気にしてない。

こっちこそ飲み物ありがとな。」


「べ、別に大したことじゃない。

お詫びとかでも全然ない、ついでだ!」


これが俗に言うツンデレなのか?と思いながら、俺はある疑問をぶつける。


「まぁ、ありがとな。

それにしても来澤のアレは知ってたのか?」


顔で来澤の方を示す。


「しろのアレはいつもの事だ。

ちゅうが・・・いや、達樹とかいう男に恋してからずっとあんな感じだからもう慣れてる。」


呆れたような表情をしながらもどこか優しく来澤の事を見守っている様な視線を向けている八百木に俺は率直な意見を伝えた、


「俺はまだ慣れねぇな。

来澤のことが少し怖いくらいにはな。」


「それが普通なんだ。

しろのアレは中々ヤバいからな、あと犯罪ギリギリだと思う。」


「だよな。

八百木でも来澤の事ヤバいって思うんだな、なんでも受け止めるイメージだったけど。」


「なんでもは無理だ、でもしろはただ素直でいい子なだけなんだ。

少し愛情の向け方がおかしいだけで・・・。」


「なんか安心したわ。

八百木は結構常識人なんだな。」


「むっ、それじゃあ最初は非常識な奴に見えてたのか??」


「まぁ、来澤の親友だし。」


「・・・、それを言われると何も言えん。」


「なんかごめん。」


「うむ、、、」


来澤が達樹の声に集中している間、意外にも八百木と打ち解ける事が出来て良い時間になった。八百木が俺と似たような思考を持っていることに安心し、俺の味方が増えた気分になる。

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隣の席の激カワ美少女は、俺の親友のことが死ぬほど好きらしい 秋花 犀 @secret-garden

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