第12話激カワ美少女の新たなる1面とまひちゃん??

謎の自信で歩き出し少しだけ迷ってしまったが何とか目的地に着くことが出来た。


「はぁー、マジで焦った。」


来澤には迷えないで来れると宣言してしまった手前、今回は来澤達よりも早く着いていなければならなかった。


(扉開けて居たら適当に理由つけるか・・・。)


出来れば居ない事を願い扉を開けると本当にまだ着いていない様で姿が無かった。

俺はほっと一息吐き、少しこもった空気を換気する為窓に近づく。運動部が大声を出し汗水流しているのを見ながら窓を開けると同時に理科室の扉が開く音が聞こえ俺は振り返った。


「お待たせしました!

良かった~、今日は岸川くん無事に着いたんですね。」


「おい、しろ!

ここはどこでなんで私が必要なんだ!?」


機嫌の良い来澤に少しバカにされた気がしたが、そんな事がどうでも良くなる位の大声を出す女子生徒が来澤の後ろに居た。


(うるっせー、もう少し音量調整しろよ。

はぁ、来澤の後ろに居るって事は・・・。)


話してもいないし来澤の後ろに居るため容姿もよく分からないが、とりあえず類は友を呼ぶ系親友なのだと察する。俺が冷静に考えている間いつの間にか来澤と親友の会話がヒートアップしていた。


「まひちゃんが必要な理由はお昼に言ったよ~!その時まひちゃん、「分かった」って言ってたもん。」


「ちゃんと話聞いてないから分からん。」


「えーっ、なんで話聞いてないの??

まひちゃんと私小学校からの仲なのに!!」


「仲だからだ、それに昼休みはいつもあの達樹とか言う男の話しかしないだろ!

だから今日の事もちゃんと話聞いてなかったんだ・・・。」


俺の事などフル無視で会話を続けていた2人だったが親友の子が悲しそうな声で言葉を発してから静かになった。会話を聞いていただけだが、話した事も無い親友の子に同情してしまう。


(2人の時も男の話するなんて流石にな・・・。

今日も無理矢理っぽいし、俺が間に入った方がー・・・。)


喧嘩という訳では無いが空気も重い為間に入ろうとした瞬間。


ダキッ、、、


「ごめんね、まひちゃん!!

この頃達樹くんと関わる事が増えたからって調子乗ってた・・・。

まひちゃんと2人の時はもう話さないから、ゆるしてぇ。」


抱き着きながらド直球過ぎる謝罪をする来澤に俺は引いてしまう。来澤が抱きついたので親友の子の顔が見え表情を確認すると何故か顔をうっすら赤くし笑っていた。


「いや、そんなに怒ってない・・・。

それに今後2人の時話題に出さないなら、私は大丈夫だ。だから、いつものしろに戻ってくれ。」


「う~、ありがとう!!

まひちゃん大好き~!!」


親友の子は満足した様に来澤の頭を撫でている、まるで俺の事など認識していないかの様に。


(なんだこの茶番は・・・。

俺もう帰っていいよな。)


一切俺は喋っていないが謎の疲労感に襲われ早く帰りたいという空気を身にまとう。これにはさすがの来澤も勘づいたのか、抱きつくのをやめ俺の方に振り向き話しかけてきた。


「あっ、その、岸川くんごめんなさい!!

えーっと、紹介します私の親友の【八百木磨央 ヤオキマヒロ】ちゃんです。」


紹介された八百木は初対面で俺の事を睨んで来た、まるで俺が来澤の事を狙っていると勘違いしているみたいだ。

警戒している八百木は俺に挨拶などして来ず、困った来澤が俺の事を紹介し始めた。


「まひちゃん、そんな顔しないで~!!

この人は私と同じクラスの【岸川万里キシカワバンリ】くん。今凄いお世話になってるんだ!」


来澤がお世話になっていると言った瞬間、俺への視線には殺意も混ざった様に感じ挨拶など出来る状況下では無かった。


(俺、殺されねーよな?)


助け舟を出して欲しい来澤は俺に挨拶してください!!という視線を送ってくる。時間は過ぎていく一方なので諦めて大人しく挨拶する事に。


「えーっ、初めまして岸川です。

来澤とは同じクラスでー・・・。」


話し始めたは良いものの俺らの関係をどう言おうか悩み詰まってしまう。考えても考えても何も思いつかず、視線は厳しくなるばかりそんな時来澤が突拍子も無いことを言い出した。


「えーっと、その、私と岸川くん凄い話が合ってそれで部活作ろうって話になったの!!だからまひちゃんを呼んだんだよ~。」



「「ぶ、ぶかつー!?!?」」


来澤の発言で俺と八百木の声が揃ってしまった。今の空気を何とかする為の打開案だとしてもいきなりすぎる為俺も着いていけなかった。


(いやいや、部活なんて入る気も作る気もねーよ!!これに乗るのは流石にリスキー過ぎる。)


八百木もそんな簡単には信じないだろうと思い視線を移すと先程までの強気な態度とは一変し来澤をとても心配しているようだった。


「しろが部活を作るのか??

あの時みたいになるかも知れないぞ・・・。」


「うん、だからまひちゃんも入って欲しいの。それは・・・分かんないけど大丈夫だと思う!」


来澤と八百木にしか分からないことがある様で俺はただ立たずんでいるだけだった。


(あの時って?

なんか引っかかるけど、この状況は何とか出来そうだな。)


俺は状況が好転することを願いながら、2人の様子を見守った。

会話を終えたのか八百木が俺に向かって歩いてきた。


(えっ、俺とうとうコロサれ・・・?)


死を覚悟した俺の前に八百木は立ち、深いお辞儀をしながら真剣な声で伝えて来る。


「さっきは殺意を込めた目で睨んでしまいすまない。

しろがお前を信用している様だから私も信用する様努力する・・・、八百木磨央だ、よろしく頼む。」


殺意を込めた事を白状し、改めて自己紹介してくる八百木にたじろぎ俺も思わずお辞儀した。

その様子を見た来澤は大喜びし、大きな声で話し始める。


「よーし、これで私と岸川くん・まひちゃんで部活動設立だ~!!」


そう八百木との問題は解決したが1番重大な問題が今から俺にのしかかってくる。

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