第5話激カワ美少女と話し合い 来澤真白ver.②
朝から岸川くんの謎の行動を見てしまい、教室に行くのを躊躇ってゆっくり廊下を歩く。
(会うの怖いなぁ、しかも隣の席だし。)
色々考えながら歩いていると教室と今あまり会いたくない人が見えてしまった。
(なんでこのタイミングで岸川くん居るの??)
ドアの近くに居る岸川くんは少し疲れている様だが何か考え込んでいるようにも見えた。
教室に入る為には2ヶ所扉があるものの私が歩いている方からだと岸川くんが居る扉が1番近いため、岸川くんを通り過ぎてもう1箇所の扉から入るのは不自然に思えた。
(どうしよ、岸川くんの所から入る方が自然だし・・・。時間もそんな無いし、んー、もう行くしかないかな。)
朝のHRの時間が迫っていたのもあり、緊張しながらも岸川くんに近づいていく。岸川くんは考え事に夢中な様で私が近づいても気づいていなかった。岸川くんの声がぽろっと聞こえてしまいそうな所まで来た時、岸川くんが一人言を呟いた。
「恥ずかしいな。」
「なにが恥ずかしいんですか?」
気付かれたくないからゆっくり静かに歩いていたのに、私はつい岸川くんの一人言に対して言葉を発してしまった。
(私バカなの??もう自分から話しかけちゃったよ~、でもこれがチャンスなのかな・・・。)
私は岸川くんの後ろにいた為、突然後ろから声が聞こえたことに驚いた岸川くんは勢い良く振り返った。私はもう話すしかないと思い、話しかける。
「おはようございます、岸川くん!」
可愛いと定評のある満面の笑みで挨拶をするが、岸川くんは私を見て固まってしまった。
(えっ、なんで固まってるの??
何か話してほしいのに、どうしよ、私から話しかけないとなのかな??)
心の中で私が混乱している中、いきなり岸川くんは怒った様子で話しかけてきた。
「おい、昨日達樹と話してたみたいじゃねーか。」
「えっと、お話したいことがあったので。
ダメでしたか??」
やはり昨日の出来事を達樹くんは岸川くんに話していたようだ。なぜ岸川くんが怒っているのか分からないけど私はとても嬉しい気持ちになっていた。
(達樹くんが私の事を話してくれるなんて、嬉しいなぁ!!お家に居る時とか私の事を思い出してくれてたのかな、、、)
幸せな気持ちに浸っていると岸川くんは少し冷静になったようで、優しい言い方になっていた。
「いや、んーダメとかじゃなくて俺の名前使ったことについて聞きたいんだよ。」
この言い方だと岸川くんは私がついた嘘に乗っかってくれたようで安心した。達樹くんと話したのは岸川くんにお願い事をする前だから勝手に名前を出したことを疑問に思っているようだ。
私なり理由を説明したいとは思ったけれど、廊下を歩く生徒の目線がこちらを向いている事や朝のHRの時間など冷静に周りを見ると今は無理なので放課後に会う約束をする事にした。
「ちゃんと話します!!でも、時間も無いですし皆さんも見てるので放課後にしませんか?」
少し強引だったかもしれないが岸川くんは納得してくれたようでお互い教室に入り席に着く。
(はぁ、これで放課後にちゃんと話せる。
でもどこで話すとか全然決めてない、んー、自由に使える空き教室無いかな?)
授業が始まっても私の頭の中は放課後のことでいっぱいになる。だが集中出来ていないのは私だけでは無いようで、隣の席の岸川くんも何やら考え込んでいるようだった。
私は私で話し合いに使えそうないい場所が思いつかないでいた。
(いい場所思いつかないなぁ、んー、掃除担当の理科室だったら先生に許可貰えば大丈夫かな?)
私が今掃除担当の理科室はあまり生徒が近寄らないため話し合いには持ってこいだし、おじいちゃん生生の為理由は深く聞かれないとも思ったからだ。
(放課後すぐに理科室行けばなんとかなるよね!その事を岸川くんに伝えないとだけど、話すのはちょっとなぁ、、、。)
今が授業中ということもあるけど、話すのは体力もいるためなるべく放課後まで静かに過ごしたいと思い手紙で伝える事に。
「岸川くんへ
朝はごめんなさい、達樹くんとの事ちゃんと話せなくて。放課後、理科室でお話したいです。」
(うんうん、中々良い手紙な気がする。
ちゃんと話せるように頑張ろ!)
隣の席というのは便利なもので、書き終えた手紙を岸川くんの机目掛け軽く投げればお届け完了となる。岸川くんはいきなり手紙が届いた事にびっくりしている様子だったが読み終わっても何も言ってこないので私は了承したと受け取った。
(はぁ、放課後までずっと緊張しちゃうよ・・・)
不安は残るものの放課後までの授業はなるべく集中して受けようと意識したからか、時間が早く過ぎていった。
あっという間に放課後になり、逃げたい気持ちもありつつ覚悟を決める。
行く場所は同じなので岸川くんに話しかけようとしたが興奮気味に走り去ってしまったので1人で行く事にした。
(岸川くん、なんであんな興奮気味なの?
詰められたりしないよね??怖くなってきた、、、。)
恐怖に怯えながらも目的地である理科室に着き扉を開ける。思っていた通り、おじいちゃん生生が居たので許可を貰うことにした。
「先生、こんにちは!
理科室の掃除担当をしている来澤真白なんですが、今から理科室借りても大丈夫ですか?」
「おー、こんにちは。
いつも掃除ありがとう、先生もう帰るから好きに使っていいよ。鍵だけ職員室に返してくれるかな。」
「ありがとうございます!!
分かりました、ちゃんと返しておきます。」
優しいおじいちゃん先生の許可も降り、先生が帰るというので1人理科室で岸川くんを待つことに。
私よりも早く教室から出た割には中々岸川くんが来ない為不安になる私。
(話すの怖いけど、来ないは来ないで不安だよ~、、、。
もしかして理科室の場所知らないとかかな?大丈夫なのかな~??)
不安になりながら窓から外を眺めているといきなり扉が開いた。私は驚き振り返るとそこには少し息を切らした岸川くんの姿があった。
(ちゃんと話さなきゃ。)
達樹くんと上手くいく為には岸川くんの力が必須な為、今から私の戦いが始まる。
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