第3話激カワ美少女と話し合い 岸川万里ver.

「はぁはぁ、やべぇ疲れた・・・。

もう人前で叫んだりするのやめよ。」


朝の下駄箱前で叫んだ後、俺は全力疾走で学校を1周していた。流石に疲れてしまいやっとの思いで教室に辿り着いたが中に入るのを躊躇してしまう。理由は来澤に会うのが怖いからだ・・・。


(反抗期を迎えているような年齢の男が女をしかも激カワなあいつに怖がるなんて・・・。)


「恥ずかしいな。」


「なにが恥ずかしいんですか?」


昨日聞いた悪魔の声が後ろから聞こえ、俺は勢い良く振り返った。


「おはようございます、岸川くん。」


キラキラ~ニコッ


(えっ、なんか効果音聞こえたんだけど。

あーやっぱ顔だけは激カワだな・・・、じゃなくてちゃんと話さねーと。)


そう思い勇気を出して聞いてみた。


「おい、達樹と昨日話してたみたいじゃねーか。」


「えっと、お話したいことがあったので。

ダメでしたか??」


「いや、んーダメとかじゃなくて俺の名前使ったことについて聞きたいんだよ。」


「ちゃんと話します!でも、時間も無いですし皆さん見てるので放課後にしませんか?」


来澤に言われ周りを見ると通り過ぎていく生徒達の目がこちらに向いている様な気がした。時計も見ると授業がそろそろ始まりそうだった為、来澤の案に乗り大人しく席に着いたの。


(なんか、昨日から俺来澤の言いなりになってないか??)


授業が始まっても色々と考えてしまい集中出来ないでいると、俺の机の上に手紙がまわってきた。隣からまわってきた為、来澤からの手紙であると思い紙を広げ読んでみる。


「岸川くんへ

朝はごめんなさい、達樹くんとの事ちゃんと話せなくて。放課後、理科室でお話したいです。

来澤真白」


申し訳なさを感じる手紙を読み終え、聞きたいことをちゃんと聞こうと改めて思えそこからはあっという間に時間が過ぎた。昨日は放課後なんて来るなと思っていたのに今日は早く来て欲しいと思ってる。


(話したいことが色々あり過ぎて、まとまってないんだよなー。まぁ、なんとかなるだろ。)


今日の授業が終わり、帰りのHRも終わると俺は一目散に理科室を目指し教室を出た。

でもしばらくして俺は気づいてしまった。


「理科室ってどこだよ!?!?」


そうだこの頃は近場しか出歩いて居なかった為忘れていたが、俺は大の方向音痴。焦りに焦りまくった俺はすれ違う生徒達全員に場所を聞くことにした。


「ねぇ、理科室知らない?」


「えっ、いや、知らない、です。」


「理科室知らない??」


「あー、そこの突き当たり右だったかな?」


有力な手がかりを掴んだ俺は勢い良く走り出すが・・・。


「いや、家庭科室やんけ!

ごめん、理科室知らない??」


「えっと、家庭科室の向かいにあります。」


「あっ、ほんとだ・・・。

教えてくれてありがとな!!」


振り向けば目的地があった事を知り恥ずかしくなったが、これからが本番だと思い気合いを入れる。


(よし、相手が激カワ美少女だからって今日は簡単に頷いたりしないぞ!!)


緊張しながらもドアノブに手をかけ扉を開ける、これから地獄の様な時間を過ごすとは思いもしないで。


ガチャ


扉が開く音に反応したのか、先に着いて待っていたらしい来澤が振り返りこちらを見た。


「あ、遅かったですね?

もしかして迷いましたか?」


心配してくれている来澤にも流石に方向音痴の事はいえず、素直に謝った。


「いや、まぁちょっと色々あってな。

待たせてごめんな。」


「いえ私がお呼びしましたし、一緒に来たら良かったですね!」


笑顔でそう言われても、来澤は激カワな為一緒に居れば注目を浴びてしまうのでそこはきっちりお断りした。


「いや、今度からはちゃんと着くようにするから大丈夫。」


遅れて来てしまったものの色々と聞きたいことがあった為自分から話を切り出した。


「集まったし、本題に入ろう。

どうして達樹に俺と友達なんて言って話しかけたんだ?」


「その、勝手に名前出したのはごめんなさい。でもその方が達樹くんの記憶に残るかなって・・・。」


来澤は達樹と話した日の事を思い出したのか、顔が赤くなり照れてる様子だった。


「えっ、いやいや照れないでもらえる!?

まぁ記憶には残ると思うけど、勝手にはダメじゃないか?俺が話を合わせなかったら不審に思われるだろ?」


「その為に昨日岸川くんに放課後時間を貰ったの、先に私の事情を話しておけば登校の時にその話が出ても合わせてくれると思って、、、。」


「えっ、めちゃくちゃ利用されてんじゃん。」


激カワなだけでなく策略家であったことに驚きわを隠せなかった。俺の反応を見て、次は自分の番だとばかりに来澤が話し始める。


「えっ、そんなつもりは無くてただ達樹くんに言いよる女達に勝つには記憶に残らないとって思って、やっぱり岸川くんに協力してもらえて良かったぁ。」


満面の笑みでこちらを見てくるが可愛さよりも怖さの方が勝ってしまった俺は苦笑いしながら会話を続ける。


「えっと、協力してって言ってたけど何すればいいの?」


「達樹くんとまたお話したいので取り持ってくれませんか??」


意外にも難易度の低いお願いをされ、逆に色々と疑っていると・・・。


「まずは私のことを沢山知ってもらいたいので!(まぁ、達樹くんのことは色々と知ってるんですけどね。)」


なにか小声で言っていたがスルーして、今日の朝達樹が言っていた来澤の印象を伝え俺の力などいらないことを伝えたが。


「そういや達樹が来澤のこと可愛い子だって言ってたぞ?

だから俺が居なくても会話とか出来ると思うけど。」


「えっ、ほ、ほんとですか!?!?

あの達樹くんが??すごい嬉しい、産まれてきて良かった~。」


反応が凄すぎて俺はちょっと引いてしまった、恋する女子はこんなにもパワフルなのか。


「そんなに嬉しいのか?」


「はい、嬉しいです!

好きな人から可愛いなんて最高すぎます!!

だからこそ達樹くんに話しかけるのもう恥ずかしくて無理なので、岸川くんお願いします。」


「はぁ、、、そうなるのかよ。」


俺はもう疲れてしまい了承したような事しか言えなかった。きっちり話し合うと決めたが俺には手に負えない奴だ。


(達樹ごめんな、お前を差し出すよ・・・。)


俺は晴れて激カワ美少女のアドバイザーになることが決定したのだった。


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