第2話俺と親友
「岸川くんの親友の如月達樹君の事が大好きなので協力して下さい!」
「いいよ👍、じゃねーから!?」
自分の寝言で目覚めた今日この頃。昨日の来澤との会話が夢にまで出てくるとは思いもしなかった。
きっと思っていた以上に衝撃的だったのであろう。〆られるかもしれないと無駄に不安がったあげく、俺の親友が好きだから手助けしろなんて言われたらそりゃ引きずるに決まっている。
(はぁ、今日も会わなきゃなのかよ・・・。)
昨日まではあんな激カワ美少女と話せるとかラッキーだと思っていたけれど今は地獄の様に思えてきた。だが、グズグズしていても遅刻するだけなので学校に行く準備を始める。
自室でほぼほぼ準備を済ませ、朝飯を食べる為にリビングに行く。
「おはよ~、万里。朝ごはん出来てるから食べちゃって。」
「おはよ、へいへい。」
キッチンでまだなにか作業をしている母親に挨拶をして、食べ進める。やはり不安なことはあるものの腹は減る様で直ぐに完食した。
「ごちそーさん。」
「はいはい、もう達樹君家の前に居るから早く行きなさーい。」
「えっ、うそだろ?」
「ほんとよ~、だから早く行きなさいよ~。」
「はぁ、、、。」
思わずため息が出てしまった。毎朝一緒に登校するくらい仲の良い親友の達樹の事が嫌いになったわけではない、ただ来澤の問題がある中で今はなるべく一緒には居たくなかったのだ。
(でも、もう来てるみたいだし今日は諦めるか・・・。)
「じゃあ、いってきまーす。」
「はいはい、行ってらっしゃい。
達樹君に迷惑かけんじゃないわよ~。」
(いや、迷惑かけられてるのこっちな!!)
心の中で母親にツッコミながらも達樹の元へ向かう。
達樹は分かりやすく言うとThe良い奴って感じだ。優しいのはもちろん気づかいも出来るし良い意味で男女平等に見てくれる、それにまぁまぁカッコよかった気がする。
改めて親友について考えていると俺の名前を呼ぶ声がした。
「万里、おはよ!」
「あっ、おーおはよ!」
「なんだよ驚いた顔して?」
「いや別になんでもねーよ笑」
「そっかー、なら早く行こうぜ!」
少し先に歩き始めた達樹の後を追いかける様に俺も歩き始めた。達樹の事をずっと考えていた為か俺は当たり前の事に気がついて、声をかけられた時に驚いてしまった。
(そういや長く居すぎて忘れてたけど、達樹って普通にイケメンだったわ・・・。
てか、俺よく今まで隣で歩けてたな。)
当たり前の事を今気づいた為、とてつもなく恥ずかしい気持ちになり少し立ちつくしていると達樹が心配したようで声をかけてきた。
「どした、なんか今日変だぞ?」
「えっ、いや、なんでもねーよ。」
(来澤とお前のせいなんだよ!!
はぁ、もうなんか疲れたし喉乾いたから水飲も·····。)
またまた心の中で突っ込んでいたが、次に達樹が発した言葉に俺は飲みかけていた水を綺麗に吹き出してしまった。
「なぁ、万里のクラスに居る可愛い子ってなんて名前だっけ?」
(は、今こいつなんて言った・・・?)
「ぶーーっ、はぁはぁ・・・。
急にどうしたんだよ??」
「うわっ、きたな。
大丈夫かよ、てかお前ホントにどうしたんだよ??」
「あー、ちょっと水が変な所に入って。ゲホゲホ、でもお前が女子の事聞くなんて珍しし。」
「そうかー?ならいいけど。
いやー、まぁあんな可愛い子見たことないしな・・・。
それに昨日話しかけられたんだよ。」
「は、えっ、うそだろ??」
「嘘じゃねーよ。
お前みたいに俺は妄想しないからな!笑」
「う、うるせーな!!」
(いやいや、達樹と話してたなんて思ってもなかったんですけど・・・。
でも達樹がこの感じなら俺の手助けいらなくねーか?)
ドキマギしている俺の事なんてフルシカトで達樹は話を進めていく。それだけ来澤の事が気になっているのだろう。
「んで、その女の子の名前教えろよ。」
「んー、あー、来澤真白って名前だよ。
でも、名前覚えた所でどうすんだ?」
「ふーん。まぁ、どうするもこうするもないけどその来澤さんが万里の友達って言ってたのが気になってよ。」
「えっ、トモダチ?」
「そう、トモダチ。
万里に女子の友達なんて珍しいから気になって。でも違うのか?」
「あー、いや、違わないかも?」
「いやなんでハテナマーク?笑」
達樹は俺の反応が面白かったのか楽しそうにしているが俺の頭の中はグルグルしていた。
(来澤といつ友達になったんだ?
話したのも昨日が初めてなはず・・・、今日会う時に色々聞かねーとか。)
「はぁ。」
思わずため息が漏れたが学校の近くまで来ていたので多くの生徒達の声によってかき消されたみたいだった。そのまま正門をくぐり、下駄箱に着いたら達樹とは別れるのがいつも通りの流れでお互い特に言わずにそれぞれのクラスに行くのだが今日は達樹が急に話しかけてきた。
「なぁ、なんかあったら言えよー。
話聞くくらいなら出来るからよ。」
「おー、ありがとな。
でも、なんともねーから大丈夫だ。」
俺の返答にとりあえず納得したのか、そのまま達樹は自分のクラスに向かったようだった。無駄に心配させたと少し反省しながらも来澤とちゃんと話そうと覚悟を決めることが出来た。
(来澤がどんな奴なのかはっきりさせて、危ねー奴なら俺が達樹を守んねーと!)
「覚悟しとけよーー!!」
気合いが入りすぎて声に出てしまった。朝の下駄箱には多くの生徒が居るはずなのに俺の言葉で静寂が訪れ、恥ずかしくなった俺は猛ダッシュでその場を去った。
ダッ、ダッ、ダッ、、、
(全部全部来澤のせいだーー!?!?)
この時、走っている俺の事や登校中に達樹とした会話など色々と影から見ていた奴の存在など知るよしも無かった。
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