隣の席の激カワ美少女は、俺の親友のことが死ぬほど好きらしい
花見 はな
第1話 激カワ美少女と春
桜が満開になり、柔らかな陽の光が降り注ぐ中、家から近く勉強面・部活面がそこそこな私立上総高等学校に俺は入学した。
産まれてから今までマニュアル通りのモブ人生を送ってきた俺は少しばかりいや、少なからず登校中の1人の時間に妄想してしまうくらいには色んな事に期待している。
だが、期待しているだけで穏やかで平和的な高校生活を送るのが目標だったのだがそんな目標は入学1週間で叶えられなくなってしまった·····。
そう、その日は突然やって来た。
いつも通りに眠い朝、同じ学校に通う幼なじみとの登校・少し退屈な授業という風に過ごしぼーっとしていた昼休みにイレギュラーが起きた。
まだ入学して1週間、まだよそよそしい雰囲気はあるものの盛り上がっているクラスのなかでのぼっち飯は少し気まずいが俺には寂しい時間ではなかった。なぜなら隣の席の激カワ美少女【来澤真白】のランチタイムを横目で見ることが出来るからだ!
自分でも結構気持ち悪い事をしている自覚はあるものの、来澤は激カワであり今後の席替えで隣の席になれる確率は少ない為今だけだと思いながら堪能している。
(はぁ、激カワ美少女は食べてる所も絵になるわ。こんな子と付き合える奴とかすげぇイケメンしか居ないな笑笑)
くだらない事を心の中で言っていると、小さな声で誰かが俺の事を呼んでいるのが聞こえた。
「·····かわくん、·····かわくん、、、」
(んー、誰だ?
声が小さすぎて名前も断片的にしかきこえねぇ。)
何回も小さな声で呼ぶ為、可哀想に思い集中して声を聞いた。声が聞こえてくる方に顔を動かすと、そこには予期せぬ相手が居た。
「あ、あの岸川くん、岸川くん、、、。」
「ーっえ、うそだろ……。」
なぜならそこには学校のマドンナ来澤真白が居た。驚きのあまり声が出ず、来澤の呼び掛けに直ぐに反応出来ないでいた。
「岸川くん、えっとお昼にごめんね…。」
(いやいや、なんで来澤が俺に話しかけてんの?
横目でチラッと見てることバレたかな、もう俺の青春終わるかも・・・、、、)
内心ハラハラしながらも普通に会話を続けようと言葉を発したが。
「あー、いや全然大丈夫だけど。
なんかあった?」
(ちょっと冷たい感じに答えちまった、それに俺の声震えてね!?
やべぇ、変に思われてるかも。死にてぇ。)
「あっ、ほんとにごめんね!
えっと、あの、、、。」
彼女は少し話すことを躊躇っているようで、なかなか言葉が出てこないようだが俺は俺で混乱中だった為にその事に気づくことは無く彼女は言葉を発した。
「放課後、会ってもらえませんか?」
騒がしい教室の中できっと俺にしか聞こえていないセリフ。なんて答えようかなど頭で考えている余裕は無かった。
「あー、いいよ・・・。」
「ほ、ほんとですか??
良かったぁ、じゃあ体育館裏で待ってます……。」
「了解。」
教室の外に用があるのか、嬉しそうに歩いていく来澤を見ながら俺は大反省会と何が起こるのか分からない期待感で訳が分からなくなっていた。
(なにが、あー、いいよなんだよ。ちょっとカッコ付けたりしてはずかし・・・。
てか、放課後に会うなんて何だろう。やっぱり横目で見たこと怒ってて、来澤の手下の男に〆られたりして、、、、。こわっ、放課後こわっ。)
もう破綻寸前な脳みそで午後の授業を受けたが、隣には破綻させかけている張本人が居るため眠れもせずただただ震え上がっているだけだった。
「なんか、ここら辺揺れてね?」
「そうかー?誰かが貧乏ゆすりでもしてるんじゃね。」
(あー、その揺れ俺だわ。ごめんな、クラスメイト達よ、今日が俺の命日かもだから許してくれ・・・。)
そんなこんなで午後の授業が終わり、放課後になってしまった。もうその頃には俺の精神は破綻しており、ポジティブに告白とかかもなんてよく分からない事を想像し足取り軽やかに体育館裏へ向かった。
体育館裏に着くともう彼女がおり、俺を見つけたからか満面の笑み手招きしてきた。
「ごめん、待たせた?」
「ううん、全然大丈夫だよ~!
私の方こそ時間作ってくれてありがとう!」
(あれ、なんか教室での印象とちょっと違うような・・・?)
変な違和感を感じたが、彼女以外に誰も居ないことが見て分かり本当に呼び出された意味が分からず戸惑ってしまう。
だが俺の感情などガン無視で彼女は話を続けていく。
「あのね、岸川くんにお願いがあって来てもらったの!!」
「お、おねがい?」
予想していなかった言葉に思わず返答する声が驚きで高くなってしまう。
(えっ、俺に叶えてあげられることなんて何もないんだけど。もしかして貢げってこと?こわっ、こわっ。)
「うん、あのね・・・。
岸川くんの親友の如月達樹君の事が大好きなので協力して下さい!」
「えっ、んっ、えーーーーー!?!?!?」
本当に予想してなかったし急に親友の名前が出てきて、びっくりしすぎてデカい声出しちゃったんですけど。
しかも、来澤なんかお辞儀してるしなんか悪いことしてる気分になるんですけど。
「ダメ~っかな?」
(いやいや、その上目遣いはダメでしょ!?
キミ激カワなんだよ??男はそういうのに弱いんだって・・・、でも絶対面倒くさいよな。
あーっ、どうするどうするよ!?)
色々頭で考えているものの、彼女の上目遣いに俺はころっとやられてしまった。
「うん、いいよ👍」
「えっ、えっ、ほんとに??
嬉しい!!じゃあ相談したいことあるし明日からよろしくね!!」
「オーケー、、、」
明日の約束を取り付け、彼女はハイテンションのまま帰って行った。正反対に俺はその場に立ちつくしたままだった。
(なんで俺、いいよって言ったの?
えっ、明日も会うってことだよな・・・。
しかも俺の親友を落とすための会議ってことだよな。)
「なんなんだよーー、てか俺はまたモブなのかよーー!?!?」
綺麗な夕日に俺は精一杯の気持ちを叫んだ。
出会いと別れの春は、俺にとんでもない出会いをもたらしたのだった。
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