第十二話「行く先」
「うあああああ……!!!! コイツ! 俺の足をつかんできやがった!!!!」
炎は着実に強まっていっていた。
サヤマは撃たれた後も、這いつくばりながらツルオの足をつかんでいた。
「てめえも死にてえのか!! ……わかった、ならそうしてやるよおお!!」
ツルオはサヤマの首を絞めつけた。
世界的なテロリストも、それをいじめていた自分も、この世からいなくなったほうがいい。そう思ったからだ。
死を覚悟したその時、後ろから銃声がした。
銃弾はサヤマを貫き、かろうじて残っていたサヤマの意識は、どこかへ消えていった。
「!! マコト!! どうして!」
「先生に聞いてよ……ほかにもいろいろな事情があってな」
「マコト……!!」
「外にあるの、お前の車だろ? 早く出るぞ」
ツルオは多量の二酸化炭素と、異常なほどのサヤマの握力のせいで、体はボロボロだった。
車に乗せられてすぐ、ツルオは深い眠りについた。
「にしても……こんなことになるなんてな、アキト」
ツルオの車の後ろには、いつのまにか男が乗り込んでいた。
「そうだな……サヤマがベンタくんとかかわりがあるのはほとんどわかっていたが……本人とは……」
「それに健司の行方がな……なあアキトこれで事件は終わりなのか?」
「……ああ……ベンタくんはしんだ……」
ツルオが目を覚ましたのは一週間後だった。
秘密基地でベッドで目を覚ましたツルオは、まずマコトに会うため、彼の場所を幸村に聞きに行こうとした。
そのとき、横から突然声をかけられた。
「おい、鶴島。やっと起きたか」
ツルオの隣にいたのは奥村ヤストシ。高校時代の担任だ。
自殺しようとしたところをツルオに止められ、精神的な問題で秘密基地の病棟に入れられていた。
「先生……僕、わからないことがあるんです」
「なんだ、お前から質問されると、数年前に戻ったような気がするなあ」
「たくさんあります、まず、先生が自殺しようとした理由。今まで聞けなかったけど、なんでなんですか?」
一瞬奥村の顔がこわばったような気がした。
「……疲れてたんだよな……もし俺の教え子が……お前らのいじめのせいでテロリストになっていたとしたら……すべての責任は俺なんだよ……」
奥村はベンタくんの正体をしらない
「そんなことないですよ……きっと先生になに言われようと、僕たちはやめていませんでした」
「そんな反応するところをみると……波留さんは教えてくれんが、ベンタくんはサヤマだったのかな……」
「……」
奥村はさらに話をつづける。なにかにおびえているようにも見えた。
「ベンタくんは……ベンタくんは”神”だったのかもしれないな……」
「……は?」
「きっとそうなんだよ、鶴島」
奥村は突然立ち上がる。ツルオは困惑した。
「間違いない……!! なんてことを……!! お前は神を殺したんだぞ!!」
「せ、先生、落ち着けって!」
奥村はツルオに覆いかぶさり、ポケットから何かを取り出す。
「な、ナイフ⁉」
「クッ! 鶴島アアア、なんてことをオオ!!」
奥村はツルオにナイフを振りかざしたと思ったら、自分の心臓のあたりに突き刺した。
「せ、先生……!!」
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