第六話「卒業アルバム」

ツルオは急いでマコトのもとへ戻った。


「どうしたんだよ、そんなに息切らして」


「マコト! 卒業アルバムあるか!?」


ツルオはベンタくんの正体がいじめられていたヤツであることを確信していた。


「ベンタくんの話は知ってるよな! 多分、正体が分かった!」


「どういうことだよ、それと卒業アルバムになんか関連って……まさか」


マコトも”同級生がベンタくん”という可能性から目を背けていたようだった。


「そのまさかだ! 俺らがいじめていたヤツが犯人だ! そうとしか考えられない!!」


マコト「卒業アルバムなら…俺の家にある…付いてこい」


ツルオは数駅先のマコト宅まで向かった。道中、いじめていたやつの顔と名前を思い出そうと何度も試みたが、無駄だった。


マコトの家へ着き、早速卒業アルバムを血眼で見た。


高校のクラスは8クラスあった。それぞれ学系で別れており、覚えてもいない人物の顔を見つけるのは困難だった。


いじめていたのは高校二年の時だったはず。その時は健司、マコト、ツルオ三人とも同じクラスだったが、三年になってからはそれぞれ別のクラスになり、疎遠になっていった。


7クラスを隅々まで見終わり、諦めかけていたところだった。


個人写真の最後のページの一部が明らかに故意的に切り取られていた。


「なんだこれ…俺はこんなのやってないぞ!」


「切り取られている…ベンタくんはすでにこの家に入っていたのか!」


「嘘だろ…どうやって……!」


「もうどうしようもないのか…? 俺らが悪かったんだ…」


「いやでも、名前はなんとか見える……」


マコトはペンとノートを取り出し、予測できうる漢字を書きだす。


狭山聡介


これが浮かび上がった名前だった。


「でも名前が分かったところで…」


「いや、幸村さんに頼もう。秘密基地の人たちならわかるはずだ」


弱音を吐くマコトとあきらめないツルオ。


ツルオは少しだけ健司にあこがれていた。


「警察はだめだよな…警察…」


マコトはそう考えこみ、少したってから何かを思いついた。


「そうだ! あいつならなにか協力してくれるはずだ!」


「あいつ? 怪しいやつじゃねえだろうな」


「いや。俺の中学からの親友だ。頭のいい高校にいって警察になったんだ。まだそんなに偉くはないだろうけどなにかしら力になってくれるはずだ」


「信用できるやつなら、警察が動かない理由も教えてもらえそうだな…」


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