第35話 弁証法:中埜肇

高校で倫理なんかを勉強した人なら、ヘーゲルという哲学者の名を聞いたことがあるかと思います。そして、ヘーゲルとセットで語られるのが、この「弁証法」という言葉です。


「へーゲルは、弁証法を用いて、それまでの哲学を統合し、完結させた。現代哲学は、完成したヘーゲル哲学を乗り越えようとする試みである」

みたいな大それた文言で語られる「ヘーゲルと弁証法」。


学校で学ぶのは、<ある「テーゼ(主題)」があり、「アンチテーゼ(反証)」が現れ、二つが「アウフヘーベン(止揚)」することによってさらに洗練された「シンテーゼ(総合命題)」となり、二つの矛盾が解決される>

みたいな話です、、、で?ってなりませんか?言っていることは分かるけど、だから?


ミーハーな私は、どんなものかと色々と解説本を読んでみなした。

この作品はそのうちの一つで、ヘーゲル研究者の中埜肇が、弁証法とは何か、根本的な概略説明から始まり、それぞれの時代での展開を簡潔にまとめたものです。


面白ポイント①:やっぱり分からない。

→体系的にまとめられていて、今まで読んできた「弁証法」解説本の中では、かなり、分かりやすいものなんじゃないかと思います。

→ただ分からんのですよ。何が分からないかというと、<なんでアウフヘーベンするの?>そこが重要じゃないですか?そこが気になりません?

→これぞっていう記述がこの作品にもないんですねぇ

→この作品には、弁証法に対する批判例も記述がありますが、私の疑問と概ね似たようなこと書いてます。


面白ポイント②:矛盾と否定にあふれた浮世

→そんな感じで、ふわっとした理解しかできていないのですが、私はこの弁証法というものが、やはり気になって仕方ありません。

→なぜなら、弁証法は、<否定そして、矛盾を克服する>からです。

→世間は、批判と矛盾で溢れていませんか?そして、そのことに対して陰鬱な気分になることはないですか?

→ヘーゲル哲学は、そんな一見ネガティブな概念を、世界が発展していく契機としてとらえて、ポジティブなモノへと進化させる理論です。息苦しさを感じるこの世界を、建設的な目線で見るために、彼の見出した<へーゲルの弁証法>が必要なのではないか、そんな予感がするのです。

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