第28話 方法序説:デカルト

「我思う、故に我在り」という有名な名言が記載された哲学書。

近代哲学はデカルトから始まったといわれる起点となった書。


あらすじ

起:著者は、若い頃から、「答え」を探していた。そして、有名大学に入り、本を読み漁ったが、納得できる「答え」を見つけることはできなかった。彼は、方法を変える。本を読むことを止め、旅に出て、様々な人と交わり、人から学んだ。そこでも、「答え」は見いだせなかったが、多くの見識を得ることができた。

承:彼は、「答え」を見つけるための方法をまず考えた。その項目は、たった4項目のシンプルな内容であるが、しかし、極めて厳密、厳格であって、一切の懐疑を排除することができた。

転:著者はオランダ、ユトレヒト郊外にて、「答え」を見つける。すべては疑わしい、しかし、それを思考する自分の存在は疑いようのないのである。

「われ思う故に、われ有り」

結;省略


面白ポイント①:インフルエンサーのHow To エッセイ本

→哲学の原著というと、例えば「欲求の対称な、一般的な、滅ぼすことのできない実態であり、流動的な、、、」などという、訳の分からない文章が、ダラダラ、長々と書かれている。そんな、印象ないですか?

→この作品は、そういう観点でいうと哲学書という感じではありません。

→現代でいうと、インフルエンサーの自伝的なHow To 本という印象です。自分がどういう生い立ちだったのか、そして、こんな悩みがあり、それをこうやって解決した、、、そんな内容ですので、気軽な感じで手に取ってよいのでは?


面白ポイント②:数学という学問の性質を要約した4項

→この本で、重要だな、、、すばらしいなというところは、方法に関する4項の内容ですかね。

→デカルトは数学の世界でも偉人です。あのxとyの座標、あれはデカルト座標とか呼ばれたりしますし、関数でx,y,a,b,cといった文字を使い始めた人でもあります。

→「厳密性、分割(簡易化)、順序立て、見直し」ざっくり言うとこんな感じで、なんだ大したことないじゃんと思うかもしれませんが、この視点をあんまり数学が得意でない学生は忘れがちじゃないですかね。

→特に難問は分割して考えるという考えは、あらゆる科学の基礎的な考え方、、、と、大学の先生が言ってたような気がします。


結び:アナログとデジタル(哲学の原著を読む意味)

→アナログ信号とデジタル信号の違いは分かりますか?

→アナログは自然界本来の信号で、ノイズの混じった汚い波をイメージしてください。デジタル信号はいわば人口的な信号で、ノイズの無い、四角く角ばった波です。

→科学とは、いわば、自然界のアナログ信号の本質(意味を持つ形状)を見出し、デジタル化する作業といっていいでしょう。

→一方、いわゆる哲学というものは、ひたすらアナログ信号を見つめ、アナログ信号として処理することを考えるもの、、、私はそんな気がします。

→運動方程式を理解するために「プリンキピア」を読む必要はありません。ノイズをしっかりと排除したデジタル信号(入門書)が、巷にあふれているからです。しかし、哲学書は違います。ノイズをなるべく排除したアナログ信号(入門書)は、ありますが、排除したノイズに意味を見出すのもまた哲学なのではないか、、、そんな、さも学者、専門家、みたいなこと言ってみちゃったりなんかして、、、。

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