第23話 まちあわせ:田中雄一

「このマンガがすごい!2015」オトコ編第11位にランクインした短編漫画集。

ジャンルはSFファンタジーで、モンスター登場し放題だが、登場人物のリアル日常を抒情的に描く作風。


あらすじ

起;とある町に、「ゆりかごの樹」と呼ばれる巨大な植物生命体がはえていた。その「樹」から人間の赤子が発見され、保護される。赤子たちは、施設で育てられるが、普通の学校に通う。主人公の少年は、そのうちの一人の女の子に恋をする。

承:二人は両思いで、付き合うことになる。デートの場所はいつも同じ「ゆりかごの樹」の下。二人は、プラトニックな愛をはぐくむ。しかし、ある日、女の子は主人公に別れを告げ、彼の元から去っていく。主人公は「ゆりかごの樹」の下で彼女を待ち続ける。

転:成人した主人公は、樹の下でたこ焼き屋をしていた。そして、成人した女の子と再会する。二人は大人の愛を育み。幸せを手にするのだが、それもつかの間、彼女は、突然、主人公の元を去る。彼女の正体は、「ゆりかごの樹」である。そして、その生命体は、妊娠すると同時に肉体が植物化し不死化、もっとも適当な時期まで待って、子供を出産するという特性を持っていた。そして、その時期は、主人公たちが生きる現代ではなかった。それでも主人公は待ち続ける。自分の命が枯れていくその時も。

結:省略


<ジョジョ第2部のカーズは、生殖しない>

→始皇帝から始まり、現代まで、人類はいまだに不死を求めて、足掻いています。不死、それは、人類の永遠の欲求ともいえるでしょう。

→しかし、どこかの科学雑誌をちらっと読んだとき、こんな趣旨の一文がありました。「人間は、デフォルトで不死である」

→おろ?っとなったと思いますが、続けます。

→「人間はDNAの中に個体情報を保存し、生殖によって、その個体情報を伝達し、別の新たな個体を創り出す。別の個体だが、個体情報はその個体に保存される。人間(その他、種々の生物も同様だが)というものは、DNAを伝達することで自分を保存し、生存し続けるという形態を選択した生き物である」

→こんな感じのことを書いてました。「生きるため、愛するのだ」そんな読み方もできます。

→この作品で出てくる植物型生物は、ある意味その逆の形態を選択した生き物です。この生き物は、ほぼ永遠に生きることができるようです。つまり、「生きるために愛する」必要はありません。ジョジョのカーズも生殖しないという設定がありましたが、それも同じです。究極生物に必要ないのです。永遠の命と愛は、相反する概念ともいえます。

→しかし、彼女は生殖し、大事に命を育みます。なぜでしょう。それは、、、と、また千文字超えてしまったので、今日は、この辺で!

→とにかく胸がキュンキュンする感動作なので、ぜひ読んでみてください。埋もれさせるには、もったいない!!

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