第21話 12歳の少年が書いた量子力学の教科書:近藤龍一

タイトルの通り、作者が12歳の時に書いた量子力学の入門書。

内容としては、大学3年くらいまでの範囲を網羅している。


あらすじ

起:万物の根源は何か。それは、古代ギリシャ哲学からはじまる、人類の根源的な関心事項であった。水、火、エーテル。哲学者たちは、各々の理論を持って、根源とは何かを推測した。そんの中で、原子という概念を導いたものもいたが、数ある推論の一つとして埋もれていった。しかし、中世の化学の発展と共に、原子論は発展の兆しを見せ、そして、アインシュタインの登場とともに完結する。

承:近代。力学体形そして、電磁気学が一旦の終着を見せ、物理学は完成したと思われていた。しかし、中には説明不可能な実験結果も報告されており、大きな壁にぶつかってもいた。新たな理論を打ち立てることが必要であった。

転:完結した原子量の向こうががあった。それは、それまでの古典力学の概念、、、それだけではなく、我々の日常感覚からも乖離した理論であり、受け入れがたいものであった。しかし、古典力学の抱えるすべての理論を説明することができた。量子力学の誕生である。

結:省略


面白ポイント①:ちょーどいい!

→量子力学の入門書は数多くありますが、難しすぎたり、簡単すぎたり、読み物としてちょうどいいものは中々ありません。

→この作品が一番ちょうどいいです。私は大学で量子力学関連の研究をしていたので、若干素養があるのですが、高校物理程度の知識があれば、量子力学の専門的な世界を垣間見ることができるんじゃないかと思います。


面白ポイント②:量子力学は、現代でSFを描く絵で必修

→昨今、SF小説や映画でで量子力学の概念を利用したものを結構みませんか?

→量子力学や相対性理論などの現代物理の面白さは、上記の通り、日常感覚から完全にかけ離れた理論である思います。

→何が言いたいかというと、ガチガチの難解な学問でありながらも、ロマンがあるのです。現実でありながら非現実の世界を見せてくれる。ロマン、、、創作において、必要な要素が揃っているのです。


結び:なぜ非現実性を帯びるのか

→少し、私なりの量子力学入門を。

→現実を記述するはずの物理学がなぜ、非現実性を帯びるのか。

→答え方は色々ありますが、私はこう答えましょう。

「単位が違う」

→カントも言っていましたが、私たちが世界を認識する時、"空間概念"というフィルタを通してみることになります。

→ではその空間概念とはどういったものでしょう?それは"m"、"cm"、"mm"その辺りの単位で記述されるものではないでしょうか?これらの単位の意味するものを考えたことがありますか?

→基本的に人間の視覚は"mm"以下のものを認識することが困難です。指先の動作は"cm”単位の精度が一般的でしょう。体の動きはだいたい"m"単位じゃないですか?つまり、良く使われるこれらの単位が、人間の世界なのです。

→一方で量子力学の世界はどうでしょう。量子力学の世界の単位は、プランク定数というものです。ググってみてください。馬鹿みたいな桁数の数字ですから、、、

→難しい言い方をしましたが、もっと砕いてみると、、、そうですね。例えばあなたの目の前の机。私からしてみれば、完全な隙間のない個体ですが。原子の世界から見るとスカスカです。さらに小さい量子から見たら、全く違う世界に見えてしまう。量子力学は、そのことを教えてくれます。

→世界の別の姿、、、見たくないですか?

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