第10話 人魚の眠る家:東野圭吾

脳死となった娘を、機械的に延命させる一家の話


あらすじ

起:医療機器メーカーの社長とその妻が主人公。ふたりの子供、会社は順調、、、順風満帆な生活を送っていたが、ある日、プールでの事故により、長女は脳死状態となる。

承:正式な脳死診断を受けて、臓器提供を行うよう医者に諭されるが、妻は娘は生きていると判断して、延命治療を続ける決心をする。

転:主人公の会社の最新機器を使って、延命治療をしていくうちに、妻は異常性を増していく。そして、家族がバラバラになっていく。ある日、精神崩壊した妻は、包丁を振り回して問う。娘を刺し殺したら、殺人になるのか?

結:省略


面白ポイント①:理系と文系の融合

→作者が理系大学出身ということもあり、物語に出てくる医療機器アイディアや描写にリアリティがあります。

→そこに、命とは、という普遍的な、人文学的なテーゼを乗せた作品です。その描写には、文学者お得意の逃げや、曖昧さがなく、やはり、具体性やリアリティを持って読者に突き付けられます。


面白ポイント②:すぐにもう一回読みたくなる悲劇作品

→悲劇的な作品は、悲劇的な最後でそのまま終わる。みたいな作品がちょくちょくあります。そういう作品は、名作だとしても、しばらく手に取りたくないですよね?逆に、悲劇がなかったかのように、全く逆のハッピーハッピーで終わらせる作品もあります。

→この作品は、悲劇を捨て去ることなく受け入れ、昇華させて終わります。これほど、綺麗にまとめられる理不尽悲劇系の作品は、あまり無いんじゃないでしょうか。

→題材の重さの割に、読後、もう一度読んでみようかなーと思わせてくれます。そして、命について、もう少し考えてみようかなーなんで、思わせてくれます。

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