第4話 山月記:森見登美彦

ロウサイノリチョウハハクガクサイエイ。

高校の教科書なんかにも載っている中島敦の代表作をユーモア作家 森見登美彦がリメイク。


あらすじ:

起:京都の名門大学に、キテレツな学生がいた。彼は奇行を繰り返し、留年を繰り返した。彼の目標は卒業ではなく、ドストエフスキーばりの大小説を書き上げることだった。そんな彼が、ある日消えた。

承:キテレツ学生の不思議な魅力に、惹きつけられている人もいて、消えてしまった彼に想いを馳せる凡人がいた。かれは大学を無事卒業し、普通に暮らしていた。ある日、祭りの場でキテレツと出会う。

転:凡人の脳内に、彼との思い出が駆け巡る。彼が想起する過去は、甘酸っぱい魅力に溢れていた。キテレツは、凡人に消えてしまった経緯を話し始める。

結:省略


面白ポイント①:文体でお金を取れる作家

→内容どうこう以前に、文章が面白い。歌手に置き換えて考えると、曲や演奏の出来栄えはどうでもよく、歌声が聴きたいというだけでダウンロードしちゃう感じです。中々いないと思いませんか?そうですねぇ、アイナ•ジ・エンドくらいじゃないですか?

→森見登美彦の圧倒的な語彙力から繰り出されるユーモア文章は、日本語の面白味を存分に堪能できます。


面白ポイント②:重なり合う中国官僚と現代の大学生そして、私たち

→中島敦の山月記は、詩人を目指す中国官僚、森見登美彦は文学を拗らせた大学生。時代も境遇も全く違う2人ですが、全く同じ物語が紡がれています。

→自らの理想のみを追い求めるがために、生きる上で見えて来る様々な景色に目を瞑った二人の悲劇は、そのまま、小説サイトに書き物を投稿し続ける我々を投影することができます。

→自らの才能を信じて、夢を見がちな私たちですが、周りを見てみてください。色んな物を否定していませんか?視野を広く持ちましょう。周りの人をリスペクトしましょう。どうでしょう。勇気を出して、馬鹿にしていたクラブにでも繰り出してみませんか?そんな、ことを伝えてくれてました。というのは、言い過ぎですね。

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