第3話「悪霊」:ドストエフスキー

サイコパスなカリスマが、故郷の街を崩壊させる話。

ドストエフスキー後期五大小説の三つ目の作品。

ニーチェが愛読したそうな。


あらすじ

起:ロシアのとある小都市。その街の有力者である未亡人には、一人息子がいた。彼女はその息子を溺愛していたが、彼の周りには常に黒い噂が流れていた。ある日、外国で退廃した生活を送るその息子が、友人、、、そして、障害者の婚約者と共に故郷に帰ってくる。

承:その友人は、未亡人の息子に心酔していて、自らが所属する怪しげな政治団体のシンボルにしようとしていた。しかし、息子は素知らぬ顔。友人は組織の影響力拡大のために街の有力者の懐へと入り込み、そして、民衆を操ってゆく。

転:街が狂い始め、暴動や殺人が横行していく。未亡人の息子の婚約者も殺されるが、彼はやはり素知らぬ顔。彼の関心は街にはなかった。彼は、寺院へ行き、高僧にある”告白”をする。

結:<省略>


面白ポイント①:ドストエフスキーは「邪悪」を描くのが得意!

⇒難解で冗長と感じられがちなドストエフスキーですが、作中に登場する「邪悪な人間」に注目すると結構普通に、エンターテイメントとして面白く読めます。

→「罪と罰」のスヴィドリガイロフ、「カラマーゾフの兄弟」のスメルジャコフが代表ですが、彼らの出番のところに注目して読むと何とか読み切る気力がわいてきます。

→上記二人は、脇役という扱いですが、この作品は違います。主人公が「邪悪」なのです。フルで面白ポイントなのです。そういう意味で、個人的には一番とっつきやすいドストエフスキー作品なのかなぁ、、、なんて思っています。


面白ポイント②:”動き”が多い!

⇒ドストエフスキー作品を読むとビックリするのですが、とにかく会話が多い!登場人物全員が情緒不安定で、一人一人が滅茶苦茶しゃべる。会話ばかりで、あの長さの割に物語の動きが少ない!完全に間違った言い方ですが、「罪と罰」なんて大きなイベントは最初の殺人くらいで、あとは主人公の葛藤を延々聞かせられているだけ、、、エヴァンゲリオンの最後の方みたい、、、な感じです。

→その点この作品は、物語としての”動き”が大きい!街が一つ崩壊し、登場人物の大半が死にますからね。そう言った意味でも、とっつきにくいドストエフスキーの長編の入りとして、オススメしたい一冊なのですよ。

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